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こういうのってボクのキャラじゃないんだけどなぁ。

「レ、レティ!?何王子様に啖呵切ってるのさ!?流石にまずいって!」


キーファがボクとアレクの間に入り、静かに怒鳴っている。

流石にアレクにも聞こえてるけどね。


「え?え?そうなの?ボクって平民じゃなくなったから大丈夫とかじゃないの?」

「いやいやいや!!そういう問題じゃないから!いくら将軍騎士でも王子様貶したりしたら流石にやばいからっ!!」


そ、そうなの!?

平民と貴族の違いがボクにはよくわかりませんっ!


「あはは……。まぁ、確かによくはないかも……。」


……アレクがそんなことを言ったことにちょっとイラっとしてしまう。

アレクの為に言ってるのに。今はボクをフォローする所でしょ?


「いいよアレク。それならボクは不敬罪ってのが怖いからこの国を出て行くことにするね。困るのは誰なんでしょうね?シルと後……リンクにも。アレクのせいだって泣きながらそれはもう~~~~!ボロカスに言っておこうかな!!」


まぁそんなことするわけないんだけど。


「ま、待ってよレティ!違うって!世間的にって話でレティをどうにかしようなんて思ってないって!!」


この話の発端はリンクに教えてもらったんだから、リンクだって知っている。そんな話をシルが知らないわけもないからね。ボクがアレクに対して強気に出れるのは、主にシルのおかげだったりはするんだけど。


「じゃあアレクが今するべきことって何?」


「……ふっ。ふふ。レティってばほんと、シルヴィアに似てきたよね。」

「あら、ありがとう。」


「あ、それシルヴィアの真似?似てるよ似てる。」


アレクが笑った顔を見たのはなんだか随分久しぶりに感じる。


「でしょ?」


「……気概を持てかぁ。僕は自信がないからなぁ。僕はさ……。幼い頃から姉さんと兄さんとの才能の差に打ちのめされて、それでも足掻いて魔法を勉強したりしてさ。最初に僕の心の拠り所だったのは君だったんだよ。レティ。君がいてくれたから頑張れたんだ。」

「ふ、ふぅん。」


ストレートに言われるとすごい気恥ずかしくも嬉しい。

けど嬉しがってなんてあげないんだからねっ!


「だからかなぁ。レティに格好いい所を見せたくて。子学校に行って成績がよかったのもあって気が緩んでいたのかもしれない。ちょっと魔法で事故を起こしちゃってね。一時期魔法も怖くて使えなくなっちゃったんだ。」


ああ、なるほど。それであの頃、会いにこれなくなったんだね。

ボクに会いに来たら、魔法を使わなきゃいけなくなるから。


流石に王子の周りなんだから高名な治癒師くらい宮廷にいるだろうし、怪我は大丈夫だったのだろう。魔法が使えなくなるっていうのは、どちらかと言うと心の問題だ。

よく聞く話ではある。魔法が暴発してしまう事でトラウマになり、魔法が2度と使えなくなってしまうっていう話は。それでも今は普通に魔法を使えるってことは、克服したんだろうね。


「その時に……ね。支えてくれたのがイリーなんだ。僕の唯一の拠り所だった魔法が扱えなくなって、何の才能もない王族の落ちこぼれに戻ってしまった僕を。その頃は自暴自棄になってたんだろうね。自分じゃ全然わからなかったんだけど……。その頃かな?なぜかイリーと婚約が決まってしまったのは。もうどうにでもなればいいとか思ってたせいで誤解も解かずにさ。そのせいで彼女を深く傷つけてしまった訳なんだけどね……。」


間に入ってきたキーファが、事態の上手く把握できていない中でイリーとの婚約が誤解だと聞かされものすごい顔で驚いている。

知らなかったのも無理はないかな。アレクだってそれが誤解だってことを吹聴して回るほど恥知らずな人じゃないだろうし、ましてやイリーは願っていたんだもの。誤解だと確信に変わったのはこの学園に来てからだろうけど、もしかしたらもっと前から気付いていたのかもしれない。だから何時気付いたのかはわからないけど、自分から人に言うはずもないだろうし。




「ならアレクが本当に大切にすべき人は誰かなんて、明白じゃない?」


ものすごい口を出したいであろうキーファは、それでも何も言わない。

どういう話をしているのか、把握はできていないにせよ口を出す場面じゃないと感じてくれたのだろう。どこぞの第一王子とは違って空気の読める子だよね。


「……そうだね。でも……。」

「でもじゃないんだって。」


「いや……」

「『いや』『でも』ってアレクは言い訳ばっかだね。」


「……。」


「だ・か・ら!アレクはどうしたいの?自分の好きなようにすればいいじゃない。国王の継承権は放棄してるっていったって、どうせ貴族として学園卒業したら国の政治やらなんやらに携わっていけるんでしょ?危険も少ないし収入だっていいんじゃないの?ボクがいなくなっても国は回ってくけど、アレクがいなきゃ国は回らないんでしょ?」


「ちょ、ちょっとレティ流石に言い過ぎだよっ……!」


流石にキーファがとめに入ってきた。


「僕がいなくても国は回るよ……。」

「それなら、あんたがいなきゃ回らないって言われるくらい頑張りなさいよ。才能はなくても努力はできるんでしょ?才能があるだけで努力をしない人間なんかより遥かにいいじゃない。努力して、皆幸せにしてやるくらい言ってみろっての。」


なんとなく、ボクの頭の中にはシルがいる。

シルだったらどういうだろう?とか、どう考えるだろう?って思ってたら、いつの間にか引けないところまで言ってしまっていた……。

うぅ。ボクはシルとは立場も頭の回転も全然違うのに。


「レ、レティってばぁ……。」


絶望顔で、やめよう?って懇願してくるキーファの顔が目の前にあった。

右手を包んでくれているキーファの両手が少し震えているのがわかる。

どうやら相当まずいようだ。教室の外にはギャラリーがいて、今更なかったことにもできそうにもない。正直、もう引くに引けないのだ。


「……。」


「ねぇキーファ。」

「な、なに……?」


「イリー連れてきてよ。今日、学校きてるよね?」


「……え!?」

「いいでしょ?アレク。」


「……。」

「お願いキーファ。」

「う、うん……わかった。」


キーファと一緒に来ていた友達は、講義室の入口に固まったまま遠めに聞いていただけだから、そこまで話の内容を把握しているわけではなさそうだ。


キーファが皆のところへ行くと、一緒に講義室から出て行った。

一緒にイリーを探しに行ったのだろう。




2人残された部屋で、沈黙が続く。





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