友達は少ないけど、すごい人は多いんだよ!
「おいしかったね!」
「お、おなかいっぱいです……」
「意外に全部食べられたわね。最初は量も辛さもあって絶対無理だと思っていたのに……。不思議な料理ね。」
「でしょ!?すごいでしょ?また食べに来てよ。まだまだ色んな味のカレーがあるんだから。辛いのが苦手ならココナッツミルクを入れたグリーンカレーなんておすすめだよ?」
確かにカレーの辛さに苦戦していたせいだろうか?
薬の効果とは関係なく、悪くなった体調もすこぶる調子がいい気がする。
お腹が膨れすぎて気持ち悪いのは、体調不良のせいじゃなくて食べ過ぎが原因だろうしね……。ナンってお腹の中で膨れるせいか、食べてる最中よりも食べ終わった後で満腹感が膨れ上がる気がするよ……。
でもまぁ、一応イオネちゃんに貰った薬も飲んでおこう。
風邪はひき始めと治りかけが大事よね。
「あれ?その丸薬どうしたんだい?」
「え?どうしたって?一応飲んでおこうかと思って……?」
「いや、見たところすごい精巧に作られてるけど、うちのママに作って貰ったの?」
「うちのママ?いや、イオネちゃんにだけど……。」
そういいながらイオネちゃんに視線を向けると、お姉さんも理解してくれたようで。
「へぇ、君すごいんだね。こんなちゃんとした丸薬、うちのママが作ってくれた奴以外で見た事なかったから。もしかしてママの研究室にいたりしないかな?」
「え?どういう事?」
「だって君達、魔法学園の生徒さんだろ?うちのママ魔法学園の研究科?って所で講師してるんだよ。すごいだろ?」
「え!?まさかノイ先生のおうち!?」
「あ、やっぱりそうなんだ!ノイはうちのママの名前だよ。」
ノイ先生って、セト先生のことだよね?
あの体験履修の時に案内してくれた狐耳の先生だ。
ドヤ顔がすごい。あ、顔だけじゃないや。尻尾もぶんぶん言ってるし、耳もピンと反っていてわかりやすい。
でもまぁ、自分の事じゃなくて身内の事を誇れるってなんかいいよね。
「って、えぇ!?セト先生ってこんなにおっきなお子さんがいたの……!?」
「おっきなって……。まぁママが若く見えるのは認めるけどさ……。」
だって見た感じあの先生20代中盤くらいにしか見えないんだよ?
獣人の人達って皆若く見えるのかな?
……このお姉さん何歳なんだろ。
確かにセト先生なら薬草や香辛料に詳しくても頷ける気がする。
研究科の中でも薬剤課の講師なわけだし。
このお姉さんは猫人族に見えるので、お父さんが猫人族なのかな?
「私、ノイ先生の研究室でお世話になってるんですよ……!」
「え?じゃあ今日ママうちにいるよ?呼んでくる?」
「え?」
「ママー?お客さんだよー?」
猫耳のお姉さんが厨房に声を張ると、すぐに狐耳がひょこっと現れた。
猫耳もいいけど……っやっぱり狐耳のもふもふ感……たまらないよねっ!!
「あら?どちら様かしら……あれ?イオネさんじゃない。どうしたの?こんなところまで。食べに来てくれたの?」
「ノイ先生、お家でお料理屋さんしてるなんて教えてくれなかったじゃないですか!」
「そ、そうだったかしらぁ?別に秘密にしてるわけじゃないのよ?私はお手伝いだけで、基本は旦那のお店ですしね?」
いやね。このお店に呼ばれた時、魔法学園の生徒さんかい?って声を掛けられた様に、ボク達魔法学園の制服のままここに来てたんだけど。
いかに王都とは言え、下町まで降りてくると魔法学園の生徒って、実はちょっと敬遠されてたりもするんだよね。わざわざ気位の高いかもしれない貴族を店にひきずり込んで問題でもあったらたまったもんじゃないっなんて思うこと自体は普通なのかもしれない。
それなのに、魔法学園の生徒だとわかって店に招いてくれたこのお姉さんに、多少の違和感が無かった訳ではなかったんだよね。
そりゃ抵抗が無いわけだよ。お母さんが魔法学園で講師やってるんだもの。
珍しく話の弾んでるイオネちゃんを横目に、シルとカレーという料理について話をする。ボクがカレーを知っていた事で、カレーと言う料理がボクの前世の世界から来た物だと当たりをつけたようなのだ。流石シル。鋭い。
「ねぇレティはこのカレーって料理、作れるの?」
「う~ん……。正直ボクの前世では、肝心な部分は全部作られた物が手に入ってたから……。1から作るのはボクにはちょっと難しいかなぁ……。」
「そう……。もっと売れそうなのに。もったいないわ。」
やっぱり。商業モードに入っておりますね……。
このカレーは門外不出だ!ってさっきお姉さんが叫んでませんでしたっけ?
「1から作るより、このお店をプロデュースした方が早いんじゃない?」
「それもそうね。今度人を連れてきてみようかしら。」
連れてくる人は料理人か店舗展開プロデューサーみたいな人だろうか。
「あはは……上手く行くといいね。」
「ああ、そうそう。思い出したわレティ。」
「うん?」
「貴女、保管庫の契約まだ1つもしていないでしょう?」
「保管庫?冒険者ギルドの奴?」
「冒険者ギルドでも、街の銀行でもいいから。1つは作っておきなさいよ。貴女はもう将軍騎士なんだから、仕事をすると国から報酬が出るのよ?その際、銀行か保管庫に振り込まれるから必須なのよ。」
「え?でも仕事とか何にもしてないよ?」
「仕事はまだ入ってきてないかもしれないけど、うちからの支払いが溜まっているわよ。」
うちから?ラインハート家ってこと?何の支払いがあったっけ……?
「まだ戦争関連の報酬でも残ってたの?」
「そういうのは現金払いよ。そうじゃなくて、利権の話よ。」
「利権……?なんの……?」
「ビーチバレーに、トランプね。」
「へ?」
……待って?何の話……?
「へ?って、話したじゃない。これ売れるから、売ってもいい?って。」
「いや、確かに売ってもいいとは言ったけど……。」
「そうしたら開発者である貴女に報酬が入るのは当然じゃない。」
「ええ!?そうなの!?」
「当たり前でしょ?」
「え?だってあれはシルが勝手に商品化するのであって、ボクには何の関係もないのかと……。」
「そんな人の研究成果や開発商品を横から掠め取るようなせこい事しないわよ。」
「だってあんなの前世の知識であって、ボクのものじゃないし……。」
「この世界では、貴女が発案者で開発者なのよ。」
「えええ……。いいのかなぁ……。」
「いいのよ。だから開設したら教えてね。すぐに振り込まれるわよ。もちろん新しい商品の開発もよろしくね?特に服飾関係なんて、私としては大歓迎なのだけれど。」
ええ……。
なんだか盗作したような気もするけど、よく考えたら賢王だって同じ事してるんだよね。
このカレーにしたってそうだ。
流石にここまで一致するものを、この世界で偶々作って偶々同じ名前にしたなんてことはないだろうから、きっとこれも同じ世界の人がもってきたのだろう。
セト先生の娘さんが門外不出って言ってたから、ここの先祖か、その誰かが師事した料理の先生か……。もしくはその人達に関係する誰かが、転移者か転生者で間違いないんだと思う。
それによって利益を得ている点は変わらないのは確かなんだよね。
なのであればいいのかな?
正直、あの程度の発案でお金を貰うのも気が引けるけど……。
まぁ貰えるものがあっただけ嬉しいと思うべきなのかな。
シルが求めてる服飾関係って、シルの用途は清廉なんだろうけど、本来はちょっぴりえっちな方の下着関連だよね?……ボクってば全くそんなものとは前世で関わる機会もなかったからね……。あんましお力には添えそうにないんだよ……ごめんねシル。
なんかボクとしては人の苦労を掠め取るような、後ろ髪を引かれるような思いもまだちょっとあるけど。
お金には代えられないよね!
何があったかなぁ。
思い出したら今度からどんどん言ってみよう。
ボクが欲しい物とかも、案外言ってみたら商品化されるだろうか?
シルの欲しい服とは違うけど、今なら着てみたい服っていっぱいあるんだよね。
考えてるとにやにやしちゃうかも。
持つべき物は友だよね!!
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