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後期最初のイベントといえば・・・?

ダンスパーティも終わりを告げ、その後は自由解散となった。


あれからイリーは押し黙ったまま、席を後にしてしまった。気まずい。

怒っていたとか、悲しんでいたとか、そういう訳ではなく。きっと自分の中でいろんなことを考えていろんな事に整理をつけたかったんだと思う。


イオネちゃんは、


「私、ちょっといいすぎちゃったかな?」


って心配したりしてたけどね。

大丈夫だよ。イリーはそんなに弱い子じゃないから。


心配した友達も一緒にイリーと席を後にしてしまったので、その後残されたのはボクとイオネちゃんだけ。2人で暗くなっていたってしょうがないからね。テーブルに残った料理やデザートを平らげ、寮へと戻った。


帰る途中にシルを見かけたけど、色々と忙しそうで。

寮へは夜になってもついに帰ってはこなかった。




翌日からは普通に後期の講義が開始され、それぞれが思い思いの授業へと顔を出していく。

ここにくるのもなんだか懐かしく感じる程度には、時間も過ぎていたようだ。


「おはよーございまーす。」


がらがらと扉を横に開くと、見慣れた先輩達の顔。


「お、レティーシアちゃんきた!」

「昨日赤いドレス着てたのレティーシアちゃんだろ!?すげぇ綺麗だったよ!」


「えっ!?あ、ありがとう……ございます……っ。」


ここの研究室の先輩は、何故か女の扱いに長けている先輩が多いんだよね。

イケメンも多いし。


急に直球で褒められると恥ずかしくなっちゃうよ。


「あれ、耳まで真っ赤になっちゃったね。ドレス色に染めたのかな?」


「もう!先輩っ!からかわないでくださいっ!!」


「可愛かったのは本当だけどさ、そんな事より受勲式のあれ、マジなの?」

「ああ、レティーシアちゃん将軍騎士位受勲ってマジ?」

「マジなら俺なんか一気に階級抜かれたんだけど。マジ?」

「いや、俺もだし。ってかこの研究室の奴等軒並みごぼう抜きじゃね?」

「確かに。で、どうなの?本当なの?」


「えっと……。一応王様が態々来てくれて、勲章みたいなの3つ貰いましたけど……。」


「うっわ、やっぱりマジでレティーシアちゃんなのか!」

「やっべぇ、レティーシアちゃんとか呼べねぇぞ俺等。」

「レティーシア様……。」

「ははぁ~。」


「ちょっと!やめてくださいってば!!ボク自身よくわかってないですし、爵位だか騎士位だか知りませんけど、今まで通りでいいですのでっ!」


「って言われてもなぁ。」

「なぁ?実際俺等よりいきなり偉くなっちゃうんだもんなぁ。」


「……じゃあ命令です。」


「……命令かぁ。命令なら聞くしかないよなぁ。」

「まぁしょうがないかぁ。」


絶対この人達楽しんでるでしょ!

顔を見れば一目瞭然。

驚いていたのは確かだろうけど、ボクを敬うなんて気は毛頭なさそうだ。


自分達でも言っていたように、騎士位としては上の人に対してそれはどうなの!?って思う所もありはするけど、実際ボク自身が実感なんてないんだから。別にいいんだけどね。


にしても、この先輩達とのやり取りをしていると、あの先生の顔がちらついてくる。無駄にニヤニヤした顔で煽って来るあの先生の。


なんて考えていると、やっぱり兵科の研究室の奥にある扉が開き、見慣れた人物が顔を覗かせた。こちらを見つけると、にやっとした表情をすることも予想通り。


「よう!レティーシア!お前」

「もうその話終わったんで。」

「あ・・ああ?なんだ?あたしまだ何もいってねぇぞ……。」

「いいの、先生は。さ。授業を始めましょ?」

「お、おう……。どうした。今日はやる気じゃねぇか……。」

「いつもやる気はあるでしょ?」

「おお……?ど、どうしたんだ?こいつ。」


戸惑いながら先生が先輩達に助けを求めているけど、全員が目を合わせようとしない。

ふふふ。先輩達には先にボクが睨みを利かせておいたからね!




後期は月曜から始まり、月曜は総会とダンスパーティで1日潰れたので今日は火曜日。特殊魔法課の講義を取れる時間帯は前期と変わらないので、今日は午前が特殊魔法課の講義の日なのだ。


朝一から研究室に顔を出すと先輩達が当たり前のように既に研究室にいるんだけど、まだ朝の6時前なんだよね。講義の開始時間は8時からだから、少し早すぎる気もする。


実際フラ先生もコーヒーを淹れ一息ついていた時間のようで、魔法科用の研究室に行くと、少しゆっくりとした時間を過ごす事になった。

ボクが研究室に勝手に置いておいたコーヒーカップで、先生がコーヒーを淹れてくれる。


先生は家柄もすごいし、冒険者としても大成しているだけはあって、コーヒーの品質も格別なんだよね。先生の入れてくれるコーヒーはすごくおいしいのだ。

まだうら若き乙女であるボクですら、この味の深みがわかるくらいだもの。


「コーヒーの味がわかるってお前、本当に15歳か?」


「もう16歳になりましたー。」


「そうなのか。成人まで後2年か。お前なら酒の味もわかりそうだし、成人したら酒を飲むのもいいかもな。」


この国の成人は18歳から。


「お酒は飲んだことないから、わからないかも。飲めないかもだしね。」


「魔法に長けてるお前が、アルコール程度でどうにかなるわけなさそうだけどな。」


魔法で毒素が分解できるから、アルコールで酔うのもある程度緩和できるのだそうだ。


「おいしいのかによるかな?」


「ま、そん時にはあたしが取って置きのワインでも開けて祝ってやるよ。」


「あっ!それはお酒好きになっちゃうかも!」


「現金な奴だな。」


「えへへ。」


先生の取って置きとか、この国じゃ手に入らないレベルで間違いないしね。

2年後だけど、期待しちゃうんだよ!


「ところでレティーシア。学祭のほうはどうするんだ?」


「うん……?」


「……お前もしかして、まだ行事予定表もちゃんと読んでないのか?」


そういえば忘れてた!

学園自体が楽しくて、学園の行事があることまで頭が回らなかったんだよ……。


「え!?……い、いや学祭……学祭ね!知ってるよ!?」


「知ってるよじゃねぇよ。参加はどうするんだよ。」


「参加!?」


参加とは、なんでしょうか??

研究室単位で屋台でも出すんでしょうか??


「はぁ……。お前なぁ。学生ってのはこういう行事を楽しみにしてるもんじゃねぇのか?」


「いやぁ……。なんというか、学園自体が楽しくて……。」


「そりゃ……まぁいい事だろうがよぉ。それくらい把握しとけ。……ほれ。」


先生が棚から薄い冊子を取り出して投げてくれる。

コーヒーに当たりそうになって、慌ててカップを避けた。


「ちゃんと読んで置けよ。今日の授業はそっからだな。」


「はぁい……。」


ふんふん、何々……?

学祭、学祭っと……。


なるほどなるほど。


……うわぁ。お約束イベントだぁ……。




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