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やっと着ました真っ赤なドレスの出番だよ!

「うをっ……!?」

「おい、あれ……あいつ……。」

「まじかよ!すげっ可愛いな……俺、ちょっとタイプかも……。」

「よせよせ、あいつ第一王子がご執心らしいぞ。」

「……あれが未来の王妃なら俺この国に骨を埋めても後悔しねぇわ。」

「お前腰低すぎじゃね?王子から奪ってみるくらいしてみろよ。」

「そうだよな!恋愛は自由だよな!よし行ってく」

「「「やめとけ。」」」

「っておい!!」




……恥ずいわ!!


よく皆平気でこんな格好できるね!?

いつもはあんなに肌を露出しない服を着ているのにドレスになると大胆になるのは、欲求が押さえつけられでもしてるんじゃないだろうか?


……う~ん。


ああ、ボクのドレスが露出高いだけ?

まぁシルに選んでもらったからね……。仕方ないよね。


「あらレティ。似合ってるわよ?」


忙しいのか、それだけ言うとシルは人ごみの中へと消えていってしまった。

あっ!ダンスホールの隅っこで小さくなっているドレスにも見覚えがあるぞ!


「イオネちゃん!」

「れ……レティちゃん……。」


イオネちゃんは、普段、装備で肌を晒しているボクよりも露出耐性なんかあるわけもなく。ボクなんかよりかなり恥ずかしそうにしている。

それでもドレスを着てここまでこれたのは賞賛に値するんじゃないだろうか??


「大丈夫。ちゃんと可愛いよ!」


強引に立たせてみた。

ほら、普通に可愛いじゃない!


「ちょちょっ!は、恥ずかしいよ……。」


「レティ!……あら?そちらはもしかして、イオネ・テュリス嬢ですか?」


イオネちゃんで遊んでいると、始業式から一緒のイリー達も着替えを終わり合流したようで、沢山の華やかな群れがこちらに向かってきた。


「レ、レティ!?そのドレス、どうしたの!?アルカンシエルの最新モデルじゃない!?」

「シルヴィア様に借りてるの?」


「ううん、自分で買ったんだよ。」


「すっすごいじゃない!やっぱり戦争で活躍すると報酬もすごいのね……。」

「あ!私達まだその話聞いてないですわ!」

「丁度イオネ嬢もいらっしゃることですし!皆でお話して貰いましょう!」




と、いう事で。

イオネちゃんも巻き込んで、戦争の話を皆にすることになってしまった。


ダンスホールには、沢山の料理がでているので、ダンスフロアの脇には沢山の椅子に、沢山のテーブルも用意されている。

そこの一角を陣取って質問の嵐に対応することになってしまったのだ。



もちろんイリー達女性組は戦争になんて参加していない。

いくら魔法学園の生徒だとは言え、参加できる程度の実力がある生徒とそうでない生徒はいるのだ。むしろ参加してもよいとされる生徒なんて一握りくらいじゃないだろうか?

イリー達はどちらかと言うと実務向きで戦闘向きではないだろうからね。

フラ研究室の生徒が殆ど参加していたのは、単純にフラ研究室の生徒の質が高いのだろう。正直実践指導を受けたいのなら、あそこ以上の研究室なんてないだろうし。


どうやら、皆してボクが受勲している事を知っているのは、受勲式に参加していたからなんだそうで、受勲式の際、ボクとイオネちゃんの名前も呼ばれたんだそうだ。

なるほど、それでこんなに注目されているのか。

ドレスに目を奪われてくれているのかと勘違いするところだったよ。

危ない危ない。


イリー達に聞いた話では、実際受勲までに到る功績を挙げたのは10人しかいなかったみたいで、10人しか呼ばれない名前の中に知っている名前があれば、そりゃわかるでしょ?って事なんだそうだ。

そもそも他に呼ばれたような人達は知っていて当たり前の名前ばかりで、かなりボク達の名前は浮いていたらしい。なのに当日受勲式に参加してこないから、ずっとこの休みの間聞きたくてもやもやしていたんだそうで。学園が始まり、イリー達の血圧が爆発してしまう結果となったわけだ。


入学式の時と同じく、式典は12時前に終わったけど貴族の皆さんのお着替えでダンスホールに人が集まり始めたのは3時頃から。

ボクも着替えさせられた時は一瞬だったけど、いざ自分で着てみるとなるととても苦戦してしまい、ダンスホールに到着したのは4時頃になってしまった。

正直今でもちゃんとドレスを着られているか心配なんだけど……。

シルは忙しそうで寮にはこなかったし。


ま、最悪間違っていてもバレるのは友達にだけ。

もし間違っていたら教えてもらえばいいか。


丸いテーブルを三角形に3つくっつけて、皆で輪になって囲む。

色んな料理やデザートを取り分けてわいわいと賑わった。


メインはボクとイオネちゃんのお話だったけど、皆忙しかったようで、夏休み中は皆が皆会えていなかったんだそう。

だから、皆の夏休み中のお話も沢山聞いた。

皆溜まっていたんだろうね。相当な割合で愚痴がでてくるわでてくるわ。

こういう年頃の女子会って、色恋話とかがメインじゃないのかな?

戦争の話に、実務が忙しすぎる話。

15,6歳の女の子がする話じゃないよなぁ。なんて思いつつ、皆で笑いあった。


あまりこういう輪の中にボクがいる事も今まで想像もつかなかったけど、そこにイオネちゃんがいる事が今まで無かっただけに、この場にイオネちゃんがいるってことがなんとなくボクとしては嬉しい一つだったのかも。


イオネちゃんと会ったのも、確か半年前のこの場だったっけ。

なんだか懐かしく感じるね。




「よう、ちょっといいか?」




女子でテーブルを囲んでわいわいと盛り上がっていると、ボクの後ろから声がかかった。

まぁよく聞く声だから、誰だかすぐにわかるけど。


「あら、リンク王子様。いかがされましたか?」


気付いた子が声をかける。


「悪い。イリーア、ちょっといいか?」


そう言ってイリーを連れて行った。

ちらっと目が合ったのに、すぐ逸らされてしまった。

むぅ。初めて人前でドレス着てるのに感想もないとは。

何か言ってってよとは思うけど、用事はボクにではないので気にしないでおこう。


リンクとイリーが話している所って言うのは、実際珍しい。けど、イリーが婚約しているアレクと結婚したらリンクとは義理の妹になるわけだから、もう兄弟みたいなものでしょ?


なんか様子がおかしいみたいだ。

確かにリンクが女の子と楽しく話してる所なんて見た事ないんだけど、それにしたって表情が暗すぎるでしょ。特にイリーの方の。


周りのイリーとよく一緒にいる友達もなんか空気がおかしいし。

何かを隠しているというか、触れないように気を使っているというか……。




しばらくすると、イリーとリンクの立ち話が終わって帰ってきた。

やっぱり楽しい話じゃなかったのか、イリーに笑顔は見えない。


「ど、どうしたの?何か言われた?」


「え?ええ……。単なる連絡よ……。」


「そ、そう……。」


……


なんか気まずいのは、周りの友達が気まずそうにしているからだろうか。

きっと皆は知っているんだろう。誰も声を掛けようとしない。

なんでイリーの血圧が急に下がってしまったのか。


「はぁ……。私ね、アレクに正式に婚約を申し込まれたのよ。」


「「え!?」」


ボクとイオネちゃんの首だけ急に動いた。

他の皆はもう知っている話ってことかな。


でも、婚約を申し込まれたなら喜ぶべき話じゃない!?

なんでこんなに皆黙ったままなんだろう……


「でも、断っちゃった。」


「へ!?」

「はぁ!?……え?なんで!?あんなに仲よさそうにしてたのに!」


「うん……。そう……なのかな?」


「ええ?!ど、どうしたの??喧嘩でもした?」


ああ、なるほど。


皆が色恋話をしようとしなかったのは、このせいか。


どうみたってイリーは、吹っ切れている様に見えない。

断っちゃったなんて言う割りに、アレクの事を嫌いになったわけではなさそうだし。


……


ボクもこれ以上聞いてもいいのか、いいとしてもなんて聞いたらいいのかわからずに、沈黙が続いてしまう。


困ったなぁ……。


そういえばアレク、砦で会った時もしゃきっとしていなかったっけ。もしかしてティオナさんにめちゃくちゃ怒られてたのは、この件で身が入っていなかったせいじゃないの?





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