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ラインハート城に着きました!本当はお城じゃないけどね。

一言で外見を伝えようとすれば、西洋風で白い外壁のお城かな!


いち貴族のお家がだよ?

……まぁグルーネにおいてラインハートと言う貴族家が『いち貴族』なんていう枠に収まるのかと言われれば、そんなわけないんだけどね?

そりゃ確かに公爵家っていうのは、王家の血筋の人達だから元を辿れば王家の人間だよ。


それでも公爵家だからと言って、こんなお城のような家なんて、どんな物語でだって見た事もないし聞いた事もない。ボクが住んでいたフルスト領の領主は侯爵で、王家の血筋でなければ最高位の爵位と言ってもいい貴族なんだけど、その侯爵様のお屋敷と比べたって明らかに格が違う。




ま、さすがラインハート家ってことなのかな。


まず街自体がすごく大きい。

貿易、防衛。その両方の要になる場所にある街なんだから当然なんだろうけど、街は建物や建造物で溢れ、人の活気もすごい。

初めて来た街なので全体的な大きさとかはよくわからないけど、建築物の構造がなんか都会っぽい。建築様式や流行なんかも、まるで王都みたいな感じかな。


王都みたいに中央に高級区画があるわけではなく、立ち並ぶ建物の殆どが高級物件って言う感じ。


関所を抜けると1本の大通りが続いている。

石畳になっていて、大きな馬車が4台はすれ違えるような大きな通り。その通りを真っ直ぐ中心まで行くと、この馬鹿でかいお城の城門にたどり着くのだ。


城門とは言え、本物のお城のように閉まりきっているわけでも警備兵が常駐しているわけでもない。

そういう所は、確かにお城とは違うかな。


城門のような囲いはあるけど門自体は無く。

常に開いているようで、外から中が伺えるようになっている。


白に近い灰色の大きな城門に、朱色の屋根と朱色の飾り。

この大きな馬車が通りぬけようとしても余裕があるくらい大きな城門が常に開いているんだから、外からこのお庭も見えるということだよね。


城門を抜けると一本の道がお城まで続いていて、その周りをブッシュフェンスの緑が取り囲んでいた。道は緩やかに左右にくねっていて、庭の景観を楽しめる様に造られているみたい。


手入れの行き届いた芝生に、大通りとは種類も模様も違う石畳の道。

城門からお城まで300mはあるだろう間には池も見えるし、手入れの行き届いたブッシュフェンスには花が咲き乱れ、庭のいたるところを華やかに飾っている。


馬車をお家の前までつけるわけではなく、この道を歩いて進むようだ。馬車は城門の外を通ってつれていかれてしまった。厩が別の場所にあるのかな?




流石にここまで続くと慣れるのか、もう驚きを通り越して感度が鈍くなるのか……。

歩みを進め始めると、白くて綺麗なお城と緑と水の青で風光明媚なお庭に、シル以外の6人がキョロキョロしながら楽しそうに歩いていた。今までのようなおどおどしたような空気もなくなっている。


それとも、この景色が心を落ち着かせてくれているのかな?

……いや、それはないか。どう見てもこんなの異世界だもん。

前世の世界とこの世界とかいう異世界の次元じゃなくて、住む次元の異世界だけど。




お城の前まで着くと、1人の執事と見た事のある男女2人に鎧を着た2人がお出迎えしてくれる。

シルのパパとママ。それに姫騎士の鎧。


「おかえりシルヴィア。」

「おかえりなさい。」


「お友達はそちらの方達かな……? ん?君は……」

「あら、やっぱり貴女だったのね……!」


「あ、どうも……。こんにちわ。」


ラーズニクス戦の時に一応挨拶だけはしてあったけど、覚えていてくれたようで一安心。

ただ、大した挨拶もできていないままだったので、ちょっとだけ腰が引けてしまう。無礼者とか思われていなければいいんだけど……。


「お久しぶりね。レティーシアちゃん。」

「久しぶりだな。レティーシア殿にイオネ殿。」


シルのママとパパの後ろにいる姫騎士隊の2人も良く知った顔だった。

まぁそりゃそうか。ここはシルの実家なんだし、姫騎士隊の隊長格2人がここにいるのは当たり前。むしろシルが護衛もつけずに色んな所に出没しているのは、いいんだろうかと心配になってきたよ……。


「お久しぶりですね、ヴィンフリーデさん」

「こんにちわ! ティオナさん、ヴィンフリーデさん。元気してた?」


「大して時間は経ってないはずなんでしょうけどね。忙しすぎて遥か昔に感じるわ……。」

「確かに……。ここのところ体を動かしてないから訛ってないか心配だな。」


「悪いわね2人とも。先に休んでしまって。」


イオネちゃんとボクが2人と挨拶をしていると、後ろからシルが顔を出す。


「いいんじゃない? 姫はまだ子供なのに働きすぎよ。少し位休みなさい。」

「そうですよ。それと姫様、既に今日の宿の方に着いておいでになっておりますよ。」


「あら、そう……。あまり待たせるのも悪いわね。」


ヴィンフリーデさんがシルにこそっと何かを告げると、少しシルの顔が曇った。


「あれ? 今日って、シルのお家に泊まるわけじゃないの?」


おいでになっているって、誰かいるのかな?

シルの個人的な用事なのかもしれないので、そこまで突っ込んでは聞きにくい。


「今はどこも(あわただ)しくてね。家の中も(せわ)しなくてお客様をもてなせる状況じゃないのよ。ごめんなさいね」


そりゃそうか。


「とりあえず温泉街に旅館をとってあるんだけどね? そこまでさっきの大きな馬車で行くことができないのよ。だからここで乗り換えるわ。もうすぐ来ると思うから、それまで客室でくつろいでいてくれる?」


「こちらへどうぞ。」


シルのパパとママの後ろについていた執事の人が案内してくれた。


入口の脇にあったので応接間だろうか。

綺麗な白い暖炉が特徴的で、高級そうな椅子と机が並んでいる。


「ねぇねぇレティちゃん、シルヴィアちゃんが連れてくるお友達の子ってやっぱり貴女だったのね。巨大なお魚と戦ってた時は大してお話もできなかったから。」


親同士の挨拶が終わると、すぐにシルのママがボクの所へ一直線で駆け寄って来てくれた。

シルよりも大きなお胸がいちいち揺れて、つい目が行ってしまう。

……これは男女とか関係ないレベルだと思うんだけど、どうやらパパも目線がいっちゃったらしいね。ママに思いっきり足を踏まれたままぐりぐりされている。地味に痛そうだ……。


まぁなんといいますか。

親のそういうのは見なかった事にするのが子の定めなんだよ。

頑張れパパ。




「先日はどうも、大したご挨拶もできずにごめんなさいでした。」

「いえいえ、いいのよ。あの後砦に戻って防衛戦や殲滅戦にも参加してたんですって? すごいじゃない」


「あはは……。」


その話は家族に内緒にしているので冷や汗をかきながら周りをちらちら確認しつつ話を進める。

まぁ流石に妹や弟も、現公爵夫人との会話に割って入ってこようなんてしないらしく、大人しく大きな椅子に座って小ぢんまりとしていた。


パパとママは、まだ公爵様とお話中。

公爵様が気さくな人なのもあってか、パパもかちこちに固まる程緊張しているわけじゃなさそうで、ちゃんと会話が成立していそうだ。ちょっと安心。


「あら……もしかして、ご家族にお話していないのかしら?」


……流石シルのママだ。

人の考えてる事を読んでくるね……。


「あはは……。」


「親御さんには流石に言っといてあげないと。可哀想よ?」

「そ、そうです……かね……?」


「そうよ。……(わたくし)から言っておいてあげましょうか?」

「あ~……いえ、自分で伝えます……。」


「そう……。ま、いいわ!今日はお休みなんだから、疲れた体を十分に癒してらっしゃいな。私達はまだお仕事があって行けないけど、休める時には休んでおかないとね。」

「はい。ありがとうございます。」


「あ~あ。本当はシルヴィアちゃんの学園でのお話とか、聞きたかったなぁ。」




「何を言っているの? お母様。いつも報告しているじゃない。」


シルのお家の中に入ってから、一瞬姿を消していたシルが戻ってきたようだ。

きっと自分の部屋にでも行っていたのだろう。


「え~?シルヴィアちゃんの報告は定型的なんだもの。お友達から聞いたお話の方が新鮮味があるでしょ?」

「何よそれ。必要な事がわかれば問題ないわ。」


「母としては知りたいのよ!」

「……さ、レティ、イオネ。外に馬車が着いたわよ。行きましょう。」


「あっ、こらっ。」


母親との会話を強制的に打ち切るシル。

きっと学園での出来事を話すのが恥ずかしいんじゃないかな!?

歳相応な、反抗期っぽいような。そんなシルを見られてちょっと新鮮。


「……またしょうも無い事を考えてるわね……。」


なんてことを!


友達の事を知るのは、しょうもない事じゃないと思いますっ!!




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