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兵科やばくない?

履修できる単位というのは、

週7日のうち、月曜から金曜で午前と午後の2回。土曜の午前に1回の週間最大11単位。

もちろん、各週で受ける単位を変えることもできるけど、受けたい課目の履修回数を年間授業数で割って、週単位で管理したほうが楽なので、あまり週によって履修課目を変えることはない。


例えば、魔法科のエレメント課目では、履修10回目までは初級魔法筆記講義。

11回目からが初級魔法実践講義となるため、実戦経験を積みたいのであれば11回以上の履修が必要。

実践講義まで考えれば、実際1課目をある程度まで履修するのに20単位は必須ということになる。

中級以上ともなればもっと必要。


全科の全課目で17課目あり、月の授業日数は24日44単位。

全課目を平均的に受けたら、月に1課目につき2,3回しか講義を受けることはできないことになる。1年かけても初級講義が終わらないので、万遍なくといっても、ある程度絞る必要はある。


年間では、9月~2月と4月~8月の2期構成。実質2月3月8月は休みになるので、授業月数は9ヶ月。


つまり全単位を頑張れば、1年で396単位という計算になるが、その他祝日や実習日、イベント日などがあるので、正式に取れる年間単位数は360単位になる。


360単位全部とる生徒は珍しいようだけど、できる限りは頑張ってみたいところ。




こうやって履修項目を決めるのって、なんだか()()()()()




さて、薬剤課の体験授業が終わり、研究室から出てきた。


薬剤課の体験授業は、午後までは準備してないから、今日はこれ以上できないとのこと。


イオネちゃんは先輩と話に夢中になっていたから、体験授業なんて受けていないけど、あれはあれで実践的でいいんじゃないかと思う。

ってことは午後はボク一人かな?


……なんて考えていると、研究室のドアが開き、イオネちゃんが出てきた。


「あれ? イオネちゃん、薬剤課はもういいの?」


「はい、大丈夫です。どちらにせよ、ここは私には必修なので授業でいくらでもこられますし、……その……今日はレティちゃんと一緒に体験授業を回る予定……なので……」


ああ、イオネちゃんにも犬耳と犬尻尾生えてないかなぁ。

そしたらずっともふもふなでなでするのに……


「午後はどうしようか? 研究科の他の課目は皆出払ってて居なさそうね」


シーンとした研究棟の廊下を見渡す限り、人の気配が全くと言っていいほどない。

もちろん、今出てきた部屋にはあるんだけど。


「兵科に行ってみませんか?」

「お?」


まさか、イオネちゃんのほうから兵科に誘われるとは思っていなかった。

魔法科は人ごみで、研究科はそもそも体験授業をやっていないのだから単なる消去法かもしれないけどね。


「イオネちゃん、兵科は嫌なんだと思ってたよ。いいの?」


「あ、私もしかして顔に出てました……?……その……嫌いというよりは……苦手といいますか……。でも、レティちゃんと一緒なら頑張れるかなって。ちょっと……その……思ったり……なんて」


イオネちゃんは刺客かな? 刺客なのかな? ボクを萌え殺そうとしているの?

ボク女の子だけど、まだ転生前の男の精神ちょっと残っちゃってるんだよ! もう! イオネちゃん気をつけてよね!? 男は皆ケダモノなんだから!


……ボクは女の子だけどね!!



イオネちゃんから言ってくれるのであれば、遠慮する必要もない。


午後は兵科の体験授業に行くことにした。

兵科の場合、体験授業というか体験訓練といった方が正しいかもしれない。


兵科棟に移動すると、魔法科棟ほどではないけど人がいた。

午前から連荘で受けている人も多いみたいで、魔法科とは違った熱い空気に包まれている。


体験履修の場所となっている所は、闘技場のような丸い大きなスペースになっていた。イメージとしたら中世にあったコロッセオみたいな場所かな?観客席はないけど、空は吹き抜けになっている場所。かなり広い。

その方々で各課の体験訓練や、上級生の模擬戦や演舞などが披露されており、既に上半身裸で素振りをしている同級生もいれば、上級生の模擬戦に列を成して歓声を上げている同級生もいた。


「わぁ、す、すごいですね……」


既にイオネちゃんが一歩身を引いてしまっている……

今日は実践的なものを体験するよりは、視覚的なものを体験するべきかな?と思い、演舞?が行われている一角へ足を運んだ。




兵科といっても、ここは魔法学園 兵科である。

つまり、ここの兵士は全員“魔法戦士”ということ。


ガイィィィィィィィン……!!


金属の塊を金属の塊に打ち付ける音が鳴り響いた。

上級生の男性が二人で打ち合っているのだが、一人の装備はわかりやすい。

剣と盾をもつスタンダードなスタイル。


身軽に剣を扱い、刀身に色んな魔法属性を上乗せして、上に横にと攻め立てている。


とは言え剣といっても片手剣という大きさとは言いづらいほど大きい。

剣と鍔の付け根に3つ縦に穴が空いており、そこに1cm大の魔水晶がはめ込んであるのが見えた。




それに対して、受けているもう片方は盾を持たないが、見たこともないような剣を装備している。

あれって剣だよね? ものすごく物々しいというか、なんというか……。


どうやら、ものすごい大きな片刃で、両手剣の持ち手部分に色々な魔道具がいくつも取り付けられており、それを保護するために、剣自体の両側に盾が取り付けられている。

見てるだけでものすごい重そう。




「な、なに?あの大きな剣。扱いづらくないのかなぁ」

「ですよねぇ。私には持ち上がる気がしません……」

「ボクも無理かなぁ」




一瞬の攻撃の隙間を狙って、見た目ものすごく重そうな重剣を軽々と持ち上げ、腕力と斥力で上段から薙ぐ。


さっきとは打って変わり、


ドオォォォォンという音と共に、盾で受けた生徒が吹き飛んだ。


砂埃が舞い上がる。




盾がひしゃげているが、どうやら受けきったようだ。

盾のひしゃげ方が剣のような細長い物質を受けたような感じではなく丸くひしゃげているってことは、どうやらあの盾に保護魔法をかけて受けたのだろう。保護魔法をかけたうえでのあのダメージ。あんなの普通に受けたら即死なんだけど……。演舞怖い。


剣盾の上級生は、盾で相手の武器をけん制しつつ、剣で攻め立てるスタイルだが、剣が届いていない。

盾にも魔水晶が設置してあるのだろう、接近して、盾で突っ込み、盾自体に土魔法の棘を出現させたりと、試行錯誤しているが、相手の重剣の重量とリーチを押し切れずにいた。


一方、重剣の上級生は、相手の体が一瞬でも流れると、その隙を使って回避不可能な攻撃を入れていく。

盾で防ぐしかなくなり、その都度盾がひしゃげ、削れ、壊れていく。

さらに重剣は、剣に纏っている魔道具が『剣が当たった瞬間』を認識して、追加効果を与えているみたいだ。

相手の装備だけではなく、地面にも当たる度に爆発を起こしたり、砂嵐が不自然に舞っている。



ペースは一方的だった。


「……ボクたち最低でも2年後にあんなのできるのかな……?」

「少なくとも私はちょっと……自信ありません……」


あ、ついに盾が吹き飛んだ。

決着。



鳥肌が立った。

確かにすごいのは判るし、格好いいとは思うけど……普通に怖いよね。

ああ、ボクも15年生きてきて、大分前世の精神がこちらに定着して薄くなっている気がする。男の子達が興奮しているのを見ると、なんとなくそう思ってしまう。


記憶は残ってるんだけどね。

やっぱりボクは女の子なんだなって思う。





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