ユフィの将来の職業は何がいいかなぁ?
すみません。予約投稿が1日ずれておりました・・・。
「詳細は後程。」
そういい残し、領主様ご一行は帰っていった。
約束どおり、親には別のもっと平和的な名目での依頼をだしてくれるそうだ。
本当はね。いくら名目が優しいものだろうが、実際は危険な事に首を突っ込んでいる事に変わりは無いから。。。結果怪我をしたり、万が一帰れなくなってしまったら何の意味もないのだけれど。
そうなれば心配させてしまうだろうけど……。
いつかはパパやママにも話さなきゃいけない時はくるんだろうね。
「シトラス。」
「はいなのっ!」
この子は呼ぶと、すごく元気にボクの影の上に現れる。
可愛い。
「お願いできる?」
「もちろんなのです!」
冒険者18人という大所帯の行方が知れなくなってからもう丸2日が経っているのであれば、事は一刻を争うのかもしれない。
冒険者というのは、想定外のことにも大概は対応できないといけない。特に今回は新しく出来た未開拓のダンジョンという事なのだから、尚の事。
流石に中堅以上と呼ばれる人達であれば、そういった準備くらいはしているだろうから、2日で戻ってくる予定の調査であっても、最低限1週間分くらいの生活ができる準備はしているはずだ。
ただ、緊急事態というものはそれ自体が自分にとって都合が悪いものである性質上、悪い事だけは簡単に重なっていってくれるもの。
1週間の備蓄を持っていっていたとしても、それが完全に発揮されるとは限らない。
影の中から偵察をしているだけであれば、シトラスが怪我をする心配は殆どないはず。
そういう面でも、偵察にはとても重宝していた。
まぁ余程の事でもない限り、普通に歩いていてもシトラスが怪我をする心配は殆どないんだけどね。ラーズニクス戦ですら大して怪我なんてしていなかったわけだし。
組みなれないどころか、会った事すらない人達とのパーティ。
ボクはどう立ち回ればいいんだろう。
なんだか不安もあるけど……。
前々から思っていたように、こういう冒険がしてみたかったんだよね!
やっぱり、わくわくもしちゃうかな。
領主様が手配してくれた使者は、その日の内に迎えに来てくれた。
名目上は、領主様の孫の魔法学課専門の家庭教師というものだ。
住み込みで3日間という事になっている。
まぁ適正が関係しているとはいえ、国内最難関の学校に通ってはいるのだから道理は通っているのか、パパとママも一応信じてはくれていた。
なぜか疑いの目が止む事を知らない妹は見ない事にして、迎えの馬車にさささっと乗り込む。
「じゃ、お土産買って来るね。」
「こないだ貰ったばっかりじゃない。お土産なんかいいから早く帰ってくるのよ?」
「うん。わかった。」
「レティは忙しいなぁ。」
まぁ実家にいてもパパの手伝いさせられてたからね……。
それをパパに言われても……。
「お姉ちゃん。私も付いていっていい?」
「あ、俺も行きたいな!」
「うん。ダメだよ?」
ジークの方はただ遊びに行きたいだけだろうけど、ユフィの方は完全に疑ってるね。
その鋭い感性はどこから来ているのだろう。
ボクのパパとママを見ても全く遺伝性を感じないのだけれど。
「だっておかしいじゃない。ただの家庭教師なのに急にシトラスとシエルがいなくなったわ。そもそも国外から留学しにきているような学生が、学園で1人しかいない平民であるお姉ちゃんの家に泊まりにくるなんて一番ありえないよ。」
……鋭い子!
確かに!いわれてみればおかしいか……。
あの学園には貴族どころか王子様だっているんだから、態々一番貧乏なボクに着いて来るのは最も不自然っちゃ不自然か。
今更訂正のしようもないので、苦笑いで濁しながら馬車の扉を閉めておいた。
我が妹ながらしっかりしていて将来が楽しみだよ。本当に。
馬車に乗り込むと、御者とは別に暗い顔をした男の人が一人。
20代後半と言った所だろうか。
体はかなり筋肉質だけどそこまで重量感はなく、すっきりした軽装の戦士系。
濃い茶色の髪色をしているのだけれど、下を向いていて表情がわからない。
誰だろう?
不思議に思い様子を伺っていると、項垂れたような格好のまま話しかけられた。
「君がフルスト侯爵様から直接依頼を受けたって言う魔法学園の生徒なのかい……?」
「はぁ……まぁ……。」
「……。」
はぁ。
別にボクは、自分が侮られたりするのは構わない。
それが敵であったとすれば、敵を侮るなんて死を意味するに他ならないのだから、ボクとしては楽ができるというもの。
自分の評価だってそこまで気にしない。
別に一目見て崇められたりだとか、そんな風になりたいとも思わないし。
それに見た目強そう!っていう風に見えないのなんて、自分でよくわかってるし。
そうだとしてもだよ?
ため息吐きながら、明らかに失望した空気だしてるのって状況的に失礼すぎるでしょ。
どう考えても、状況的にこの人って例のクランの人なんだよね。
依頼されたにせよ、言ってしまえばボクには全く関係の無い人を助けに行くんだよ?
そういう心情を考えれば、こんな対応……。
いくら助っ人に来たのが15,6歳の女の子だったとしてもしちゃいけないのくらいボクにだってわかるんですけど。
それともそんなのを遣すほどクランに余裕がないということなのか。
領主様はめっちゃいい人だ。
それはこの領に15年間暮らしてきてよくわかっている。
その領主様が信を置いているクランなんだから、本当はこんな礼儀も知らないのを寄越してくるはずがないんだけどな。
流石に思っている事を口にはせず黙っていると、沈黙が続いた。
馬の走る足音と、車輪が地面にこすれる音だけが鳴り響いている。
そのまま一言も会話をせず、馬が止まるまで沈黙は続いた。
……正直、このクランの第一印象めちゃくちゃ悪いんですけど。
普通であれば、この長い時間で現状の説明やボクに何をして欲しいのか。ボクがどんな事ができるのか。そういう確認をするのが時間の無い今、当たり前なんじゃないでしょうか?
流石にボクからそんな話ができるはずもなく、無為に時間だけを過ごしてしまった。
こんな無駄な移動なら、自分で走ったほうが速かったんですけど。
ちょっと不機嫌になりながら馬車を降りると、岩場の一部にぽっかりと空いた穴が見える場所に降り立った。あたり一面大きな岩だらけで、標高が高いのか向こう側にはどこかの村の光が、遥か下のほうに見えている。
岩と岩の間に出来ている穴からは、ダンジョンという超不自然な自然が作り出した階段が山の中へと続いているようだけれど、ここからは真っ暗で何も見えない。
道だけ整備された場所で馬車を降り、穴まで近づいていくと何人かの人が入口付近で待機しているようだった。一言しかしゃべらなかった男性も、ボクの後を降りて着いて来る。
ほんと、この人何のために迎えに来たんだろ。
「こんにちわ。」
そう声を掛けると、穴の前で待機している人全員がこちらを振り返った。
やばい。全員男性だ。
おっさんまで行っている歳の人は少ないけど……。
知り合いが一人もいない状況で、沢山の男の人に囲まれなきゃいけないのってちょっとどころじゃなくて相当怖いんですけど……。
まぁ、多分。
冒険者稼業としたら、これが普通なんだろうけどね。
色んな不安もよぎるし……。
幸先が不安すぎて胃が痛いよ……。
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