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研究科に行って見ます!

今日はイオネちゃんがいるから兵科にはいけない。と言うか行かない。

履修選択は、午前と午後で1単位ずつで、1日2単位を履修できる。


そして、体験授業1日目。明らかに人が集まっている科があった。


魔法科だね。


そりゃ、これを教わりに来てるようなものなんだから、こうなるのも当然といえば当然なのだけど、それにしても多すぎる……。もうちょっとほら、混雑を避けようって気はおきないのかな?


最初は……


「やっぱり魔法学園に入ったんだし、魔法科覗いてみる?」

「そうですね。せっかくですし、行ってみましょうか」


という流れになったのは自然な流れだったと思うんだよ?

で、魔法科棟まできた時点で察し始めて、講義室の前に着いたらまぁこの有様。

部屋の外まで人がいるんですけど……。


「うあっちゃぁ~……すごい人だね~」

「ですねぇ……」


とてもじゃないけど、これじゃあ体験も何も無いからね。


「しょうがないね。別のとこ行こ?」

「ですね」


となって、また学食の片隅に戻ってきた。

魔法科にあれだけ人がいるってことは、今日は他の科はとても空いているはずだよね。


「じゃあせっかくだし、イオネちゃんのお得意分野、研究科に行っちゃわない?」

「お得意だなんて……そんなことはないです……」


はいー、照れイオネちゃんいただきましたー!




研究科の学舎である研究棟に着くと、学園の雰囲気が一風変わって見えた。


この学園に着いた時は、魔法科が主な玄関口になっているため、あまりにイメージ通りすぎてなんの違和感も感じられないような“魔法学園”の典型的な造りだった。


そりゃ、この時代にこんな大きなお城のような建物見て、驚かないわけはなかったけど、期待通りだったので違和感を感じることもなかったんだよね。

背の高い校舎に石づくりの頑丈な壁。

外見は灰色と緑の無骨な建物なのに、中は綺麗な装飾と豪華な天井。


兵科も同じような感じだった。


それが一転して、研究棟はかなり穏やかな造りになっている。

灰色よりも緑の多い外観。光が入る設計になっていて、とても柔らかく感じる。

学園の敷地内なのかわからなくなるくらい、ものすごい広大に造られた庭には、色鮮やかな建物が一定間隔ごとに建てられている。風車かな?羽根車のついている、そこまで背の高くない建物。


庭、という表現は正しくないのかもしれない。もはや牧場か草原だね。


「すっごーい! 見て! イオネちゃん。庭の向こう側に森まであるよ!?」

「あれも学園の敷地内なんでしょうか?」


「そうよ」


突然イオネちゃんの疑問に答えが返ってきた。


大人の女性が研究科の部屋からでてくる。

モノクルを着けた長身の女性。

お尻の下まで伸びた長い白金髪。

体のラインにフィットしたちょっと大胆なカットのローブ。

髪の毛と同じ色の狐耳と尻尾。


初めて見た。狐人族のお姉さんだ。


ボクの出身村は、人族の辺境だからあまり見かけなかったけど、さすが王都。亜人族の人を見かけるようになった。何人か同級生にもいたかな?


「あの森は色んな薬草なんかも自生したりしているわ。研究科の、特に薬剤課なんかではしょっちゅう駆け回るところね。ちゃんとモンスターもでるんだから」


ちゃんとって……。学園でモンスター放し飼いにしてるの? 危なくない?


「えっ……怖い……ですね……」


「錬金術士や薬剤士は、自分で現地へ材料を取りに行くことが多いわ。だから自衛も必要。なんにも知らずに知識だけ与えて放り出してしまったら、社会ですぐに命を落としてしまうもの。ここで学べるうちに学んでおくのよ」


「なるほど~」


「ところで、もしかして貴女たち研究科の体験履修にきてたり?」


「あ、そうです」

「はい」


「あら、初日は研究科って体験履修に来る子ってほとんどいないのだけれど。珍しいのね」


「イオネちゃんは研究科の特待生なんです! 薬剤……課だったかな?」

「はいっ……」


「ああ、貴女がイオネ・テュリスさんなのね。話は聞いているわ。なんでもエルダーポーションの純度を10%近くも改善したらしいじゃない。うちの期待の新星ね」


「えっ……いえ、その……あれは共同で研究してくださった……方が優秀で……その……」


両手の人差し指をちょんちょんしながら照れるイオネちゃんが、見る見るうちにちっちゃくなっていく。


「いえいえ、私も研究発表会を見に行っていたもの。あれもすごいよかったわね……―――――」


それに気づいてか気づかずか。まだ名前も知らない狐のお姉さん先生が、ボクもまだ知らないイオネちゃんの功績を嬉々として披露していく。話し方はとても静かなのに、すっごい嬉しそうだ。




せ、先生! もうやめてあげて! イオナちゃんのHPはもうからっぽよ!

それ以上ちっちゃくなっちゃったら小動物になってしまうわ!


あっ、それも可愛いからいっか!!



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