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な、何のモンスターかってそりゃ。。。ね?

あっ……。


うん……。


只今絶賛孤立中でございます。




こういう懸念もあったから、実際雷を降らせるという魔法の使い方はしなかったのよ。


ここにいる皆には、雹と水の塊がラーズニクスを貫いた様に見えたはず。そういう風に見えるようにわざわざ雷だけを落としたりしなかったんだもん。

じゃあなんでラーズニクスはショートしたのかといえば簡単な話。


氷と水が帯電していたからだ。


実は水と氷、それぞれの間ではバチバチ電気の通る音が聞こえていたのだけど、そんな事知識の無いこの世界の住人が知る由もない。

本当は雷を降らせちゃったほうが簡単だったんだけどね。


でもそんな魔法をボクが使用した! なんて話になってしまえば、どういう評価を受けるのか見当もつかない。ただでさえ魔法陣を空中に描くなんていう、見慣れない魔法を使ってしまっているのに。


ここにはラインハート公爵様がいるはずなのだから、あまり国の中枢人物に色々情報が回ってしまうっていうのも、そりゃいいこともあるだろうけど、いいことばかりでもないだろうし。


そういえば公爵夫人はすぐにわかったけど、公爵様本人はわからないんだけど。

だって30代から40代くらいに見える男性なんて、数人はいるんだもの。




とりあえず!

ここで1人突っ立っててもしょうがない。


崇め奉りまくってくるルージュと、きらきらした眼差しが眩しいシトラスとシエルを影の中に押し込んで仕舞い込み。


皆と合流しよう。

とりあえずこの戦争のボス戦は終わったのだから……。


正確には、このレクゼを召喚し、ラーズニクスを扱い、モンスターを従えた”誰か”がいるはずなんだけど……。


人の気配はここに集まっている人の他には無いようだった。


逃げられたのか、死んでしまったのか。

はたまた……ここにいる誰かなのか。

もしかしたら、最初からそんな人物いないのかもしれない。


答えなどわからないのだから、考えていてもしょうがないよね。




あと残すは砦防衛戦と、エリュトスとの戦争。


砦の方は、多分大丈夫なはず。

ヴィンフリーデさんとティオナさんが戦況を一遍に変えてくれたし。

シルがいるんだもん。


エリュトスとの戦争の方は、一度も見に行っていないからわからない。

けど、シルのところに情報は入っているはず。


そのシルがあれだけ砦防衛戦を重視していたのだから、砦防衛線よりは酷い事になっていないんじゃないかな?

期待も……ちょっとは含まれてちゃっているかもしれないけど。




皆がいる場所に歩いていくと、リンクさ……リンク以外はやっぱり歓迎ムードではなさそうだった。


シルのお母さんも含めてね。

なんとなく理解は出来るけど、ちょっと……ね。傷つくよね。


もしかしたらこの状況、リンクが強引に付いてきてくれていなければ、敵対視もしくは拘束に等しい扱いとか受けてたのかもしれないや。

助けに来た相手にそういう風に見られちゃうっていうのは、そこはかとないダメージがございますね。あはは。シルのご両親じゃ抵抗もできないだろうしね……。




そんな事を考えたせいか足を止めていると、リンクがボクを出向かえてくれた。


「こ、この子は……その……王国の隠し玉か何かなのかい?」


優しく頭をぽんぽんとしてくれていると、リンクの後ろから出てきた壮年の男性がリンクに話しかけている。


「はあ? どっちかと言うと叔父さんとこの隠し玉だぜ?」

「は?」


あ、リンクの叔父さんってことは、この人がラインハート公爵だ。


なるほど。言われてみればシルに似て…………ないな。

うん。全部お母さん似ですね。

あー言われてみれば目元が……う~ん。

女の子は父親に似ると可愛くなるとか言うけど、そもそも母親が超絶美人なのであれば母親に似るに越した事などないのだから、これでいいのか。


あ、いや、ラインハート公爵もかっこいいよ? おじさんとしてはね?

でもボクってアンチおじさんフィルターがあるから……。

普通の子よりもおじさんに対して見る目が濁ってしまうのかもしれないね……


「魔法学園でシルヴィアが捕まえた同室の奴がこいつだよ。」


捕まえたって……。


「ああ、君が。」


なんとなく程度の記憶はあるのだろうけど、詳しく聞いているわけではなさそうだ。


「そう。シルヴィアちゃんのお友達なのね? いつも娘がお世話になっています。シルヴィアの母です。」


それは一目でわかります!


「い、いえ。ボクの方がいつもお世話になっていて……。」

「あら! ボクですって。可愛いわっ!」


ええ……。


性格がシルと違いすぎてちょっと戸惑っちゃうよ。

天真爛漫な大人のシルって感じだろうか。


やっぱり両親とも黒髪でも黒い瞳でもない。

賢王の隔世遺伝って本当なんだね。


ラインハート夫妻が打ち解け始めたからだろう。

周りの人達もほっと胸を撫で下ろしながら接してくれた。

状況的にしょうがなかったし、慣れ始めちゃっているのも悲しいけど。

しょうがないよね。


なんかよくわからない魔法ばっかり使うわ、終いには魔法陣を大気中に描き始めるわ……。そんで極めつけに、あまり見かけない肌の浅黒い3人がボクの影の中に消えていったんだから。


ボクの紹介も終わり、リンクがラインハート公爵と数人で輪を作り話を始めた。

何かを相談しているようだ。


それを眺めていると、突然ボクの視界が肉に包まれた。


うぶっ。


肉だ。本当に肉。

顔が埋まるって。


しかもこのお肉って脂肪じゃないの?

めちゃくちゃ弾力があるんですけど!?

谷間に吸い込まれて離れません。


う、嘘でしょ……?

こんなに大きいのにこの弾力って……。


「あら、レティちゃん。お顔が小さいのねぇ。」


違います!

シルのお母さんの胸が大きすぎるんです!!!


「ぶはぁっ!」


後ろから抱きつかれてるのに、口まで塞がれるってどんな大きさよ……

え? この人本当に人なの? モンスターじゃないの?

本当に……?


「ご、ごめんなさいね?つい……。」

「い、いえ……。」


いい匂いがしたし、柔らかくて気持ちよかったけども!


なんだろう、この圧倒的敗北感。

毎日毎日シルを見ていて、そこまで劣等感も感じなかったのに。


こ、この人は……。

イオネちゃんが見ちゃダメな人だよ……。

イオネちゃんの精神が崩壊しかねないっ!!

気をつけなければ!!


いや、まぁ無理だよね。

絶対に会うことになると思うけど。

っていうか、もしかしたら知っているのかもしれないけど。




その後。

シルのお母さんと、シルの幼い頃なんかの話をしながら盛り上がっていると、道端会議が終わったのか輪を作って話していたリンクとラインハート公爵様達がバラバラに各身内の元へ戻ってきた。


ラインハート公爵様とリンクがこちらに戻ってくる。


「王子から砦防衛戦の状況を聞いた。シルヴィアがどうにか応援に駆けつけてくれたそうだが……。状況はかなりまずいようだ。すぐにここを皆と戻ることになる。2人も疲れているだろうが大丈夫か?」

「はい。娘が大変な時に休んでなどいられませんもの。ごめんね。レティちゃん。貴女が一番疲れているでしょうに。」


あーどうしよ。ボク転移で戻れるんだよねぇ。

言うべきかなぁ。

まぁ……あんな大魔法連発して、隠すのも今更なんだよね。


ボク自身もシルの事が心配だし、一刻も早く両親の健在を知らせてあげたい。

でもここの人達もかなり疲弊している。

帰り道にボクの戦力として、ルージュ達の分も含まれているのかもしれないし。

勝手な行動はできないかなぁ。


「お前、転移できるんだろ? 先に戻ってろよ。」

「……え?」


思わず目が点になってしまった。

あれ? ボクが転移スキルを持っている事、リンクには言ってないはずなんだけど?


「お前、転移できるんだろ? 先に戻ってろよ。」


違う! そうじゃない!

聞こえてなかったんじゃないから!!


「はっ!!!」


思わず息をのんでしまった!

人って本気で思い出すとこんなに息がつまるくらい息を吸い込むのか!

逆に苦しい。


そうだ。そういえばここに来る前。

リンクの前から転移で逃げ出したわ……。


見られてないと思い込ませていたけど。

流石に見られてたかぁ……。


「お前、最近転移で移動しまくってるだろ? 行動範囲がおかしすぎるからな。さっき見る前にも大体想像はついてたぞ。」


……。


それ以前の問題でした!!!


え? じゃあ、ある程度は勘付かれてたってこと??

砦の件で確信させちゃったってことか……。

も、問題はそれを疑っていたのはリンクだけなのかって事もあるんだけど……。


ま、まぁ隠さなくちゃ絶対にいけない!

ってわけじゃないからいいんだけど。


「ほ、本当にそんな魔法が使えるのかね? もしできるのなら、私達も砦に連れて行ってもらいたいのだが……。」


あ、そうなるのか。

これはできないと否定するよりも、真実を伝えたほうが正解かな……


「ごめんなさい。ボクの転移はスキルなの。だからボクしかできなくて。」

「そ、そうなのか……。」


シルのお父さんがめっちゃしょぼくれてしまった。

ああ、期待させちゃったかな。ごめんなさい……。


「そうなの。でも、もしできるなら貴女だけでも砦に戻ってもらえないかしら? シルヴィアに私達が無事なこと、伝えてもらえると助かるわ。」


なるほど。流石シルのお母さんだね……。


言葉どおりシルの心配を取り除くって意味でもあるんだろうけど、これはどちらかというとボクへの配慮だろう。

ここから道中を進軍するのはかなりの大変なことだから。

さらに砦に着いたら着いたで、出迎えてくれるのは多数のモンスターの群れなのだ。


それならば。


この人達が戻る前に、シルを手伝って砦にいるモンスターを排除できれば、迎え入れてあげることだって出来るんじゃないだろうか?


……実際ボクの魔力は底をついていて、戻ったところで力になれないかもしれない。

けど、ここに来る途中そこまでモンスターとも会わなかったのだし。


ここはお言葉に甘えておこう。


「はい。では一足先に戻ります。……シエル?」

「はいっ!」


「ここの人達に同行してあげてくれる? 回復したら魔力を使ってサポートをお願いね。」

「わかりましたっご主人様っ!!」


シエルを置いていけば何かあった時も安心だろう。

道中同じ道を通ってきてくれれば、転移で戻ってくることもできるんだし。




よし!


シルにとりあえずはいいお土産話を持って帰ることができそうだよ!






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