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付け焼刃の強さなんてこんなものよね・・・。

足場にする次元面を広めに取りながら空中を走っていく。


砦から空中に出た瞬間、即座に気付かれ敵の対空射撃が始まった。

その音にぞろぞろとモンスターがこちらに寄ってきて、その攻撃は一段と熾烈さを増していくが、広めに取った次元面によりすべて防がれボク達のところまでは届かない。


今の所設置盾(アンカーシールド)が破られた事はないので、レクゼの時のように次元魔法の設置妨害でもされない限りは問題はなさそうだ。


「……。」


とはいえ、カーペットのように真っ直ぐ歩けるようになど敷いているわけではなく、魔力回復を優先する為に一定間隔ずつ設置しているのだけれど……。


見えないはずの足場を、ボクと同じスピードでついてくるリンク様が真後ろにいる。


まぁこの人、ティグロ先輩を圧倒するくらいには強いからね……。

ボクとは比べ物にならないほどの身体能力はあるのだ。


多少の飛行モンスターの戦闘はあったものの、リンク様がボクの元にたどり着く前に処理して戻ってくる。足場は無くとも飛天は使えるのだから、数歩の間に次元面の足場に戻れれば問題ない。少しはコースを外れることも出来るのだ。




ある程度の距離を空で移動し、モンスターの群れを跨ぐ。

モンスターの群れがもう追ってこなくなった事を確認し、少しずつ高度を下げていった。


次元面は便利だけど摩擦が殆ど無い。

この上で全速力で走るのは難しいので、結局の所地面を走るのが一番早いのだ。


さらには、大群のモンスターが砦に張り付いている状態。

地上を走っていても敵対するモンスターに会うことは全くと言っていいほどなかった。

砦を越えた瞬間からは未開拓地となる。

整備や巡回が行き届いている場所ではないのだから、普段ならこうはいかないだろう。


……まぁ植物型で出歩けないモンスターもいたりするので、そういうのは見つけられる限り避けて通っていくわけだけど。

どうやって避けられたのかというと、モンスターがいる場所や外見をルージュとリンク様が教えてくれたのだ。


ルージュは影の中なので気配を察知することができない。

モンスターの外見や、気をつけるべき地形などを知識で。

契約をしている精霊種……悪魔も精霊種に含まれるんだよ?……とは、会話をしなくても意思疎通が取れるらしく、ある程度近くにいれば話したい時に頭の中で話せるのだ。

自分の影の中にいてくれるときは、それが顕著になる。


リンク様は知識や経験もさながら、気配を感じるごとに先回りして擬態している植物を刺激してまわっていた。それがモンスターだと判れば、後は避けるだけ。


今はそんなモンスターを相手にしている時間などないのだから。




「わっと。」


突然走っているボクの後ろに可愛い声が聞こえた。


「わわっ!?」


リンク様の剣が地面に突き刺さる音も聞こえ、急停止する。


「ま、まってリンク様!!味方だから!」


「ああ?こいつ突然現れやがったぞ?」


「シエル、大丈夫!?」


「は、はい……。」


間一髪で避けたのであろうシエルが、お尻を突いて倒れていた。

止めるのが後一瞬遅かったら、リンク様の振り上げた剣がシエルを切り裂いていたかもしれない。


「ど、どうしたの?急に戻ってきて。」


「いえ……ご主人様の運動量が跳ね上がった気配がしたので、補助魔法のお手伝いに戻りました……。そしたら急に……。」


「そ、そう……でも危ないから急にきてはダメよ?」


「はい……。わかりました。気をつけます。」


「じゃあ、お願いしようかしら。」


「はい!」


そう言われると回復魔法の時と同じように、光の粒子がボクの周りに渦を巻く。小さな妖精でも飛び回っているかのように、ボクの体の回りに光のエフェクトが駐留し始めた。


「疲労軽減の魔法です。では、僕は影に戻りますね。」


「へぇ……綺麗……。」


自分の辺りがふわふわしてなんだか軽く感じる。

ウルさんの疲労を回復する魔法と併用したら、もっとすごいんじゃないだろうか?


ちなみに、当たり前のようにリンク様にサポートはせずに帰っていった。

さっき斬られかけたのを根に持っているのかな?

まぁ当然よね……。

悪魔種なので、あそこで切りつけられていたとしても、多分死んではいなかっただろうけど。


リンク様も特段気にすることもなく、再度ペースを上げて走り出したボクについてきた。ペースを上げているのに涼しい顔をしている……。

ちょっと悔しいけど仕方ない。毎日鍛えてきた男の子と、最近頑張りだした女の子じゃこれくらいの差はあるよね。多分日課のきつさはリンク様のがすごいだろうし。


ボクとしては、自分のペースで全速力で走れるって事が嬉しいんだよ。いつもはひぃひぃ言いながら周りにペースを落としてもらって着いていってるだけだったからね。




流石に未開拓地なだけはあって、舗装されている道なんて一つもない。

あって獣道という、獣が行き来して倒れた草花が道をなしているくらいだ。


それも乱雑に倒れている為、自然の罠みたいに複雑に絡まってしまっている。

このペースで足をとられたりなんかして転んだら、めちゃくちゃ痛いだろうし。一歩が大きくなるし、とはいえ木々や大きな岩など真っ直ぐ進めるわけでもなく。


いつものペースよりは大分時間がかかってしまった。


ちなみにリンク様は40キロくらいなら流しながら10分で走れるそうだ。

そうはいっても、じゃあ120キロなら30分とは行かないだろうけどね?魔力消費量やペース配分が違うわけだし。




1時間と少し程の時間を走ってきただろうか?


木々や岩場など、色んな地形を越えると、開けた草原に出た。

地平線の向こうに大きな崖が見える。山じゃなくて崖。

本当に、そこからいきなり地面が割れて盛り上がったようになっているようだった。

景色一面が崖になっており、雲を突き抜けているようだった。


走りながら魅入ってしまう。

ボクの知らない世界は、まだまだ広く沢山あるんだね。


ここから地平線の先に見える崖までの途中。

めちゃくちゃでかい飛行生物と、戦闘の光が見えている。


どうやら目的地はあそこで間違いなさそうだ。


ボクはリンク様と目を合わせると、後ろでペースをあわせてくれていたリンク様が横に並んだ。


「わかった。先に行く。」


「お願い!」


その一言でリンク様がペースを上げていく。


「シトラス。戻ってきて!」


「はいなの!」


既に影の中に潜んでいたのか、呼ぶと直にきてくれる。

シエルとルージュも一緒に外に出てきた。


どうやら影の中にいると、活動に必要な魔力量が抑えられるらしい。

ボクの魔力も、3人の維持費を支払う量が減り回復量が増えるし、3人としても魔力の回復が早まるようだ。


「リンク様と一緒に行って。これ以上犠牲を出してはダメよ?もちろん貴女もね。」


「了解なのです!!」


ボクを置き去りに2人の後姿を見つめる。




これでもボクね。全速力なんです……・。


……この学園に来てからすごい頑張ってると思うんだけどなぁ……。


はぁ。ちょっと自信なくなっちゃうよ……。




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