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こ、こんな事してる場合じゃないんだからねっ!

「……。」

「……。」




うううん! 気まずくて会話が出てきません!!

ボクは恋愛経験とかないから、そういうのには初心(うぶ)なのは知ってますよね!? もうあれかな逃げてもいいかな!?


「わり。可愛くて……つい」

「~~~っ!」


思わずこの国の王子様を突き飛ばして立ち上がり、砦の行き止まり側へと走ってしまった。

は……恥ずかしすぎて思わず逃げちゃったよ!!


ご、ごめんなさい……リンク様。

理屈とかじゃないの。あの場にいられなかっただけなの!!


行き止まりに、追いかけてくる足音に後ろを振り向く事すらできず、転移で砦の屋上まで逃げた。




「ああ、やっぱあいつ、転移できんだな」







「はぁ……何で逃げちゃったんだろ……」


砦の上から下を除くと、歩いて帰っていくリンク様の姿が見える。


確かに、一時期苦手かなぁ~とか思っていた時期はあったけど、リンク様のことを嫌いになった事は一度もないし、色々あってからはむしろ気を使ってくれていて好印象しかない。

逆に、アレクとの接点がすごい減ってしまったせいか、アレクの不甲斐ない面が目に付くこともあって、最近はリンク様のほうが接しやすい気もしてきてたりするんだよね。



ドオォォォォン!!



「うぇぇっ!?」



突然大きな音が鳴り、砦が揺れる。


砦とは反対側を見ると、ついにモンスターの群れが隊列となり、大型危険種の砲撃が始まってしまったようだった。1匹の大型危険種の肩に付いている筒のようなものから煙が上がっている。

肩というべきなのか判らないような形状をしている大型種で、イメージとしては武装している大型スライムだろうか。

無形状の姿をしており、そこまでどろどろしているようなスライムではなく、どちらかというと粘土くらいには硬そうだ。ある程度の形は保っている。


そんなスライムが、無数の大きな武装を纏っていて、その殆どが筒型の遠距離武器。

背中? っていっていいのかな? こちらから見て向こう側から砲台がずらっと生えているように見える。その数……9門。

近くでよく見ないとわからないけど、装備しているっていうよりも、その武器自体がスライムの一部みたいだ。擬態……とでも言えばいいのかな。




ここは学園じゃないんだった。

変な事に意識を取られている場合じゃないのよ。

気を取り直して次々放たれる弾頭を設置盾(アンカーシールド)ではじき返していく。

設置盾(アンカーシールド)を連発するくらいの魔力は当に回復しているのだ。


それを皮切りに、モンスター群の遠距離一斉射撃が始まった。


物理的な攻撃もあれば、魔法も無数に飛んでくる。

モンスター自身が突っ込んでも意味はないと悟ったのか、航空戦力が自分から攻めて来ることは無いようだ。

未だ統率されたような動き。


多種多様なモンスターが一同に合わさり、知能指数もまばら。

黒幕だったはずの悪魔はもう倒されているはずなのに。


どう考えてもまだ終わっていないようだ。

まだ何かある。

それを確信できるくらいには異様な光景が広がっている。





「主様」

「ルージュ! 何かわかった?」


突然ボクの真横にルージュが現れる。

転移ではなく“影踏み”と言うらしい。


転移ほどの利便性はなく、契約者の影の上に移動できる被召喚者専用スキル。契約者である召喚者の影が出ていないと使えないので、夜や建物の暗い場所では使えないし、移動先は召喚者の影の上のみ。


そうは言っても、ルージュからしたらそれで足りるんだろうけどね。


「ここから北西に約120キロの地点にて戦闘を確認。そちらにて特徴の一致する人物を見つけました。他、生存人数11名。人族の死体が約3名程確認されました」

「特徴の人物は!?」


「生存を確認しております」


犠牲が出てしまっている。

多分戦術兵の人達だ。

戦術兵が3人は、決して少なくない被害だろう……。

さらに言えばかなりまずい状況ともいえる。今まで15人で保っていた戦況が、3人でも減ってしまえば一気に崩れかねないのだから。


「見つけた人物の戦闘相手は懐かしい相手でしたね……。個体名を“ラーズニクス”。神魔戦争時代の生物遺品。生きたアーティファクトですね。……このままでは数時間後には人側の生存者は全滅することになるかと」




ボクが3人にお願いした事。


それは、罠で転送されてしまったシルの両親を見つけて貰う事だ。

影を移動できるように、悪魔の特徴の一つとして影になることができる。


ボクの転移眼とは違い、知らない土地でも安全に偵察ができる。どこに飛ばされたのか判らない手前、3人で手分けして探してもらっていたのだった。


ちなみに特徴は、「シルによく似ていて、金髪であれよりも大きい胸をした女性」

ヴィンフリーデさんに教えて貰ったとおりに指示したら見つかったんだからすごい。




「生物遺品?」

「はい。わたしも久しぶりに見て驚きましたが。まだあんなものが動いていたのですね……。あれは神陣営が創り出した、生きた兵器かと」


神魔戦争って、神話の時代の出来事じゃなかったっけ?

それって何千年前なのよ……。


「な、なんでそんなものが急に?」

「わかりませんが……レクゼが動かし方を知っていたとは考えにくいですね。そもそもあの巨大な生物には魂がありませんので。レクゼの行動原理とは合致しません」


「魂が……ない?」

「ええ、確かアーティフィシャル・インテリジェンスとかいう魂に変わるシステムが搭載されているとかで……。無限に生成・成長していく兵器として厄介だった敵の一角ですね」


……どうやらルージュは神魔戦争時代の記憶がちゃんと残っているらしい。

ってことは、シルが言っていた心当たりの悪魔で間違いないってことか。


……いつかシルに相談する時が怖いなぁ。


「あーてぃふぃしゃる……いんてりじぇんす?」

「はい。システムそのものが学習をするというものでして。1匹を倒すと、その情報が他の個体に流れ、どんどん進化し強くなっていく厄介な敵です。幸いな事に、ここにいるのは1匹のようですので、進化してしまう恐れは少ないかと思いますが」


あーてぃ……ん?


……んん??


あーてぃふぃしゃる……いんてり……AIじゃないっ!!




神様はなんてものをこっちの世界に持ち込んでるのよっ!!!





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