ボクだって女の子なんだから!
さて、学園生活2日目。
今日から本格的に授業がスタートする。
スタートするとはいえ、最初の2週間は授業体験期間があり、そこで履修する課目を選択するのだ。
今朝はシルに髪の毛もセットしてもらい、るんるん気分で登校している。
登校っていったって歩いて10分もかからないんだけどね?
学園の中に入ると、すぐにイオネちゃんを見つけた。
「おはよう、レティちゃん。今日は可愛い髪形ね」
「でしょう!? シルにセットしてもらったんだ!」
「まぁ! シル様に?」
イオネちゃんも、昨日まではボクをちゃん付けで呼ぶことになれていなかったようだけど、さすがにもう慣れたみたいだ。
シルに関しては、どうしても抵抗があったようで愛称のシルに様付けで落ち着いた。
ちなみに、どんな髪型にセットしてもらったのかというと、
ボクはママの長い髪がとても好きだったので、それを真似て腰より少し短いくらいまでは髪を伸ばしている。
ママとは違い、真っ白な髪の毛でちょっとくせっ気。ウェーブがかかっているのでボリュームもある。
真っ白な毛糸の被り物をしているよう。
誰かにそう言われたのを覚えている。
それをシルに
「すごい綺麗な髪なのに、ただ伸ばしてるだけなのはもったいないわ。それに毛先が広がりすぎてて少しやぼったいわ」
そう言われ、のばした髪の毛を4分割し、両外側を後頭部で重ねてアップ目のポニーテールを作る。
残った内側の半分はそのまま流し、腰上辺りのウェーブをわざとサイドに広げる。すると、腰上辺りのボリューム感がとてもすっきりして、頭から流れている長めのポニーテールが立体感を出してくれる。
毎朝セットするのは大変そうだけど、とても気に入ったので、30分早く起きて頑張ろうかな?
最初は30分じゃできないだろうけど、そこはシルに手伝ってもらおう。
そんなこんなでご機嫌なボクは、イオネちゃんと早速授業体験の相談を始めた。
シルは入学早々生徒会やらなんやらで先に登校している。
件の王子様たちも生徒会選抜員であるらしい。
ボクは農家の癖が抜けないのか、朝の4時には起きてしまうのだが、シルも同じ時間に起きていた。
不思議に思い聞いてみたら、毎朝生徒会の仕事があるらしいことをそこで知った。
「大変だね」
と言うと
「恵まれた家に生まれ、恵まれた教育を受けたものには、相応の義務があるものよ。こんなこと、領民の皆さんの苦労に比べれば大したことですらないわ」
とボクの髪をセットしながら言われた。
「レティもこんなに早くに起きているじゃない。この時間にはいつも起きていたのでしょう?」
うちの国は統治者に恵まれているのではないだろうか? それとも、たまたまうちの領主とか、シルがすごい尊敬できる人なのだろうか……?
ボクは貴族の生活というものを知らない。
公爵だからどういう生活なのか、男爵は? 子爵は? どんな生活をしているのか? 知る余地もなかった。
だから、イオネちゃんが男爵の4女というのを聞いても、それがここ魔法学園で珍しいということは、本人に聞いて初めて知ったのだ。
今年は、平民出身のボクがいたものだからあまり目立たなかったのかもしれないが、イオネちゃんの家系は領地を持たない貴族なのだそうで、領地も持たないような男爵位のしかも4女で魔法学園に入学するのは、学費を捻出するのがとても大変で、本来は難しいのだそうだ。
ではイオネちゃんは何故ここにいるのか?
答えは簡単。イオネちゃんも特待生なのだ。
何も特待生制度は平民だけに適用されるわけではない。貴族にだって適用されるのだ。
一つ違うのは、ボクは魔法適性で特待生となったが、イオネちゃんは薬学の研究で、大きな功績が評価されたのだそう。
特待生制度の条件で、それぞれの特待理由である科目の履修は必須なので、ボクの場合は魔法科、イオネちゃんの場合は研究科の科目は必須となる。
どうせ受けられるのなら、お互いの科目も受ければいい。
イオネちゃんと話して、お互い魔法科と研究科の履修科目を体験することにした。
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