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モンスター撃破数は1位なんだからね?

あー……うん、あれはやばいわ。

何がやばいのか全っ然わっかんないけど、とにかくやばい。


ヴィンフリーデさんが次元収納じゃないであろう空間から1本の剣を出した瞬間から、ゾクゾクが止まらない。


「引くか。」

「ええ。」


先生とフィリシアさんがせき止めていたドラゴンを放ってこちらに引いてきた。


「レティーシア、見とけよ。あれが特殊技能と固有技能を極めた戦力だ。開放してる力はまだ一部だけどな。」


あれのまだ先があるの?

見てみたいような、見たくないような……。


さっきまで突撃をかけ続けていたドラゴンが、ヴィンフリーデさんが剣を手にしてから睨みあい、一向に動こうとしない。

ブレスを吐こうとしていたので、クリアの魔法で口から出る瞬間に消してあげた。


ちなみにドラゴン自身は、何故ブレスが消えるのかわかっている様子はない。

つまりばれない限りは無害なボクとウルさんは攻撃対象外だったのだ。

まぁここにはさっきまで邪魔してた先生とフィリシアさんが引いてきてしまったので、もう攻撃対象外の範囲からは外れてしまったのだけどね。


とはいえ、こことドラゴンの間にはヴィンフリーデさんがいるのだ。

遠距離攻撃は届かないのだし、ドラゴンがこちらへ来るにはヴィンフリーデさんを倒してからじゃないと無理。


超級危険種で難易度が振り切れてるだけあって、あの紫色のドラゴンは強い。

その強さは今まで見てきたモンスターや魔獣と比べても異常で、ボク1人で対処なんて以ての外。絶対に無理。ってかやっちゃだめなやつ。見たら逃げろ! 的な?

次元魔法が使えたとしても、当てられるかどうかわからないってくらい動きが早いし。あの図体してるのにだよ? 空気が啼くんだもん。めちゃくちゃ早いよ。


攻撃力ってのは、もちろん人の世界で考えれば武器の性能っていう面もあるだろうけど、本当に単純に考えれば質量×速さじゃない?

そのイコールの先が振り切れすぎててボクにはどうしようも出来ないかな。


もちろんさ、単純に突進してくるだけならどっかの熊さんよろしく次元盾を1枚置いとくだけで自滅してくれるんだろうけど、このドラゴン知能もめちゃめちゃ高いし、高速移動上で体を制御してるんだから意味もない。


トップスピードからいきなりゼロへ減速できる体の強さがあるのだ。


まぁそれに対処できる先生とフェリシアさんもどうかと思うんだけど……。

あの火力と切り結ぶとか正直どうかしてるレベルだし。

切り流すだけで腕持ってかれちゃうよ。普通。




っでね?

……ヴィンフリーデさんから感じる怖さの比は、そのレベルじゃないんだよ……。


剣を持ってからヴィンフリーデさんの神々しさも増してるんだけど、なぜか感じる印象は邪悪さ。見た目上めちゃくちゃ勇者様なんだけどなぁ……。


多分そんな異質さをドラゴンも感じているのだろう。


GURU……


出しても意味がないと悟ったのか、マグマのようなブレスが口の中で渦巻いて度々炎が口から噴き出しているもののブレスの様に扱う事はない



瞬きをした瞬間にヴィンフリーデさんの姿が消えた。


ボクの転移よりも遥かに早い。



キィィィィン



甲高い音がしてドラゴンを見ると、両手の爪を重ねて剣を受け止めるドラゴンとヴィンフリーデさんが見えた。


あの剣を受け止められるだけでもあの爪はすごい。

ただ、亀裂が奔ったのが見える。あれでは爪が使えない。


上段から切り下ろす形になったヴィンフリーデさんの体が、そのままドラゴンの下方へ流れ込んでいく。こういう時は胴体が大きいっていうのは不利に働くよね。


胴体が大きいモンスターは絶対越えられてはいけない一線がある。

それは速さと堅さを完全に上回られる事だ。


その優位が消えてしまえば、1対1の勝機はほぼ無いに等しいだろう。

偶然振り払う拳や牙がヴィンフリーデさんを捕らえればあるいはわからないけど、そもそもドラゴンの攻撃がヴィンフリーデさんの防御を上回っていると言う保証がない。


今まで一度たりとも攻撃があたっていないのだから。


体を張って止めていた先生とフィリシアさんにはかなりのダメージはあったけど、それはウルさんのヒーリングで既に完治してしまっているし。


「ねぇ先生、ボク達ここで見てるだけでいいの? 地上の援軍とかに行ったほうがいいんじゃ?」

「ヴィンフリーデの戦闘データはお前の為になるからな。戦況は完全に傾いてるし、混戦状態だ。お前の魔法精度じゃ味方も巻き込みかねん。援軍に行くなら地上に落ちた魔人の方だな。」


「了解した。私が向かおう。」


ボクと先生の会話を聞いていたフィリシアさんが、これ早速と上空から降りていった。

フィリシアさんもどこかへ援軍には行こうとしていたのだろう。


「ボ、ボク達はいいのかなぁ?」

「お前はあいつからスキルを出来る限り盗め。グリエンタールで固有技能や固有魔法がもし模倣できるのであれば、あいつのスキルがこの世界で最も効率的だ。」


「いやぁ……見ててもわかんないし……。そもそもヴィンフリーデさんの速度がボクの目で追えないしね? どんなスキルなのかさっぱり。」


にしてもすごいな、あのドラゴン。

あんな劣勢なのにヴィンフリーデさんの攻撃で未だに致命傷を受けていない。

めちゃくちゃな爆音とソニックブームを起こしながら2人で切り結んでは往なしてを繰り返している。ただ、攻撃力は完全に防御を上回っているので、鱗も剥がれ落ち、滴る血が痛々しい。


ヴィンフリーデさんもヴィンフリーデさんだ。


足場がないからドラゴンを足場にして飛んでいる。どういう物理法則でドラゴンを足蹴にしてから、足蹴にしたドラゴンに攻撃を仕掛けているのか意味がわからないけど。

たまに足を着きにだけ戻ってはくるけどね。

まぁそのせいで十分に離れる事もできず、攻撃が十全にできないのだろう。


つまり、次元魔法を妨害しているであろう魔人の生死次第でこの決着は一瞬でつくという事。


あのスキルは置いておいて、魔人のほうの状況が知りたい。

転移眼で探すと、ここよりも低空の地上から50メートルほどの所で慌てている魔人が目に入ってきた。


ティオナさんを黒いオーラが形を成して覆っている。

これは魔法だろうか?

それ自体が推進力を成し、空での機動を可能にしているようだ。


「はぁっ!!」


うわっ……。


転移眼だと戦闘がめちゃくちゃ近くで見れる。

ヴィンフリーデさんとドラゴンの戦いは、ずっと音速で動き続けられていて目で追えないけど、こちらはそうでもないので特等席で見ているようだ。


■■(くっ)■■■■■■■■■■(じゃまなやつがひとり)■■■(ふえた)■■■■■■■■(あとすこしなのに)。」


言語を理解できるようにはなったけど、すっごい聞き取り辛い。

これはもうしょうがないのかなぁ。

多種族の言語は、理解スキルはあっても話せる様になるスキルはないようだった。

ってことは発声自体が無理ってことなんだろうね。


「あと少し?」

「あん?」


「なんか下にいる魔人の人があと少しなのにって呟いてるから……。」

「あ? もしかしてお前、悪魔言語を理解できるスキルが取れたのか?」


「やっぱあれ、悪魔なんだ。」

「あれは上位悪魔だな。あいつ単体で難易度ZXは余裕で越える。上位悪魔ならモンスターを使役して扱う知能だって、強制的に支配する魔法すらもあるだろうしな。ただその目的はわからん。」


「何のお話?」


ちなみにここにはまだウルさんもいるんだよ。

可愛くて忘れがちだけどね!


「あー……ウルをここで弄ばしてるのはもったいねぇんだよなぁ……。しょうがねぇレティーシア。一旦降りるか。ヴィンフリーデの戦闘は見えないんだろ?」

「うん、全く。むしろ本部で転移眼使ってみたほうが安全だし、どうせ参戦できないのなら降りたほうが有意義かも。」


「ああ……。確かにその通りだな。おし、ウル。本部に降りるぞ。」

「えっ?」


あ、それはやめてあげてよ……。

有無を言わさずウルさんを腕に抱えた。


「ま、待ってフラ! 階段があるの! れてぃーしあちゃんが設置してくれた階段がね!?」

「こっちのが早えだろ。レティーシアは転移できるな?」

「う、うん。」


「れてぃーしあちゃん! たすけてぇっ!!」


ごめんねウルさん。行って見れば一瞬だから……。


「私もサンドイッチ食べとけばよかったぁぁぁぁああああああああああああ!!!!!」


ああ、な~むぅ……

っていうかサンドイッチ自分は食べてなかったんだ……


とりあえず本部に戻ろう。




「レティ。帰ってきたの? 空は?」

「……た、ただいま。」


なんというかここ1週間でボクの転移を気配で感じるスキルを覚えたシルは、ボクが近くに降り立つ頃には既に話しかけ始めている気がする。


「今ヴィンフリーデさんが1人でドラゴン抑えてるよ。次元魔法を魔人の人が妨害してて空じゃあの人とティオナさんしか戦力にあんまりならなくて。」

「そうだったの……。」


「ボクなんて蚊帳の外だったよ……。」

「貴女は15歳の女の子だもの。それくらいがいいのよ。それくらいで上出来よ。」


その戦争を仕切ってるシルさんも15歳なんだよなぁ……。


「おーいシルヴィア、ウル返すわ。」


一足で降りてきたであろう先生たちも合流した。

ウルさんが完全に白目をむいて泡吹いてます。可哀想……。

小ささ的に幼女を虐待してるようにしか見えないからね? 先生。


「……幼女虐待は犯罪よ?」


あ、シルも同意見でした。


「こいつは幼女じゃねぇ。お前らの倍の年齢だぞ。」

「うぼぁ! 色々失礼なんだよっ!! きみたち!!」


おお、突っ込む為に気合で意識戻すって、ある意味すごいな……この人も……。


「まぁ貴重な調理師が増えるのはありがたいけど、空の方はいいの?」

「ヴィンフリーデが覚醒して英雄神器を1本持ち出したからなぁ。流石にあのカオティック・サラマンドラ程度じゃ話にもならんだろ。」


「カオス種……。」


え? あれサラマンドラってことは本当に蜥蜴なの?

ドラゴンじゃないの??

聞いた方が早いか。


「あれってドラゴンじゃないの?」

「あ?あれのどこをどうみたらあれがドラゴンなんだよ。大体ドラゴンはもっと知性があるぞ。上位悪魔如きに操れるわけねぇだろ。」


な、なるほど……。




ドオオオオオオォォォォォン………………。




突然大きな何かが落ちた音と共に地面が揺れる。


「ほら、決着がつきそうだぞ。空が片付いちまえば下にいる超級危険種も一気に片付くだろ。」

「空が片付かなくても地面にいるほうは大丈夫よ。」


「ん?まだ何か策があるのか?」

(わたくし)を誰だと思っているのかしら。」


「お前の知略もエリュトスに生まれていなくて良かったと思うよ。」


すると本部に1人駆け込んでくる。


「シルヴィア様。準備が整いました。」


《対地上危険種戦略兵の皆さん。お疲れ様。15秒後に決行するわ。巻き込まれないように。》


そう指示が流れるとカウントダウンが始まった。




何が起きるんだろう?



転移眼。便利だなぁ。




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