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危険種はボクにはまだ早すぎます。

耳をつんざくような鳴き声が聞こえ、山の上に見えていた3体の巨体のうちの1匹がフラ先生を追ってこちらにやってきた。残りの2体もゆっくりと動き出している。


同時に地上部隊から戦術兵の精鋭達が一気に山を駆け上っていき、地上の2匹をせき止めにかかった。フラ先生の動きを察したんだろうけど、流石の対応の速さだね。部隊を展開している近くまで超級危険種を近づけてしまうと、被害が広範囲に及びかねない。

モンスターは自軍に被害が及ばないようになど立ち回ってくれはしないのだ。


「■■■! ■■■■■■■■。■■■■■■■■■■■■!!」


よく見ると空を飛ぶその巨体はドラゴンによく似ている。

紫色の光沢を放つ鱗に、巨大な翼。

蜥蜴のような体に、鋭い牙と目。


そして魔人が隣に1人。浮かびながら何かを言っているようだった。

何語なのかわからないけど、何を言っているのか理解できないけど。




明らかに飛行速度としてはフラ先生よりも相手の方が早いせいで、釣ってくる前に先生が追い付かれてしまっている。交戦しながらこちらに引っ張ってきているようだが、ドラゴンと魔人の1匹と1人に絡まれなかなかうまくいっていない。見かねたティオナさんが援軍に向かっていった。


ティオナさんがすれ違いざまに空中から取り出した細剣をドラゴンに突き立てる。


鱗が1枚割れて突き刺さったが、それだけ。

あの巨体にあの程度の棘が刺さろうが痛みも感じないのか、何のリアクションもない。


先生も空間収納から刀を取り出しているようだ。


……ん? 刀?

先生が刀なんて使ってるところ初めて見るけど、使えるのかな?


「先生、刀使ってるけど使えるの?」

「うん? れてぃーしあちゃんはこの距離からあそこが見えるの? フラが刀を使ってるのは本気の時だけだから、流石に今回は本気ってことかも。あれ? っていうか、れてぃーしあちゃん刀って武器の名前よく知ってたね? かなりマイナーな武器だと思うけど……。」


ウルさんがさほど緊張感のない声で教えてくれた。

そうだったんだ……。先生の研究室にも刀のような武器は置いてなかったから、本当にずっと空間収納の中にしまってあったのだろう。

ティオナさんが紫色のドラゴン、先生が魔人をそれぞれ引き連れてこちらに向かってくる。


「足場、あそこまで広げても大丈夫だよね?」

「ああ、地上の部隊に影響はでないだろう。すまないな、レティーシア殿。」


「ううん。今のボクにできることってこのくらいだから。」


足場を交戦区域まで設定して4人で援護に向かう。

ウルさんもヒーラーとはいえ最上級冒険クランのメンバーだ。もちろんヒーラーとして最上級だが、ヒーラーやバッファーというのは機動力が求められる。この戦場についていくことなど朝飯前なのだ。


「おい!レ ティーシア!! こっちだ。次元魔法でなんとかできるか?!」

「え? うん。やってみる! ……あれ?!」


次元魔法を構築しようとすると空間が歪み構造が分解されてしまうのだ。


「■■■■。■■■■■■■■!」

「先生! その魔人の人からなんか妨害受けてる! 次元魔法が構築できないよっ!」

「ああ、やっぱりお前の魔法でもダメかっ……! フリス!! 相手を交代だ! こいつはあたしらには分がわりぃ!!」

「ティオナだっていってるでしょ!! じゃあこの蜥蜴どうにかしてよっ!」


ドラゴンには数本の武器が刺さっているが、血すらも流れていなかった。

ティオナさんが豪華なロングソードで応戦しているが、致命傷どころかまともな傷すらつけられずにいる。


「こいつ固すぎるのよっ! 武器が刺さると抜けなくなるしっ! もう! あの武器全部レジェンダリクラスなんだからね! ちゃんと回収しておいてよ??」

「知らねぇよっ! ……はい! 交代っ!!」


「絶対だからねっ!!」


背中合わせになった先生とティオナさんが、くるっと位置を入れ替わった。


そのまま相手を変えて場所を移動していく。

魔人が次元魔法の妨害をしているため、飛天で足場を作らなければいけないフィリシアさんとヴィンフリーデさんも魔人の相手ができない。


紫色のドラゴンvsフラ・フィリシア・ヴィンフリーデ


魔人vsティオナ


の構図になっていた。


なんとも凄まじいのは、ヴィンフリーデさんの火力。この一言に尽きる。

先生とフィリシアさんが完全にサポートへ回りドラゴンを翻弄してから、隙のできたところにヴィンフリーデさんが剣を振るう。

ティオナさんの攻撃では傷という傷すらもできなかったドラゴンから、大量の血飛沫が舞い散った。


GYAAAOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!


啼き声だけで耳が、頭が。めちゃくちゃ痛い。




……え? ボクは何をしているのかって?


まず、あの戦闘には参加ができないんだよね。

全員の身体能力が高すぎて、学園の兵科訓練にすらまともについていけていないボクが、突然あんな無茶な、ましてや空中戦闘なんかに参加できるわけないの。

っていうか、身体能力が違いすぎて入っていけない以前に視界が追い付いてないから。

ボクが前線に入っていこうとしたら、それこそ足手まといでみんなが危なくなってしまう。


ボクはボクらしく後衛のお仕事をするために、後方支援でお手伝いだよ。

最近は前衛訓練としての身体能力向上の為、ぎりぎりのラインで先生に前衛に立たされていたけど、ここは本番も本番。見たことのない難易度の敵を相手についていけるなんて自惚れちゃいけない。


何もボクは次元魔法だけが取り柄じゃないんだよ?

ちゃんと固有魔法だってあるし、元素魔法や神聖魔法だって使えないわけじゃない。

っていうか、ボクの固有魔法は本来の使い方をするのであれば、どちらかと言うとこういう戦闘ではサポートの役割が強いんだから。


そして今もう一つやっていること……。

それはグリエンタールのスキル取得だ。


もちろん今やることじゃないかもしれないけど、なんか気になる。

今やっておいた方がいい気がしてるんだよね。


だってあの魔人って、外見からして悪魔でしょ……?


世界言語Lv1 同種族コミュニティ間の言語の壁を取り払う。

世界言語Lv5 同種族コミュニティ間の言語の使用が可能になる。

世界言語Lv10 他種族コミュニティ上で、言語機能を成す音波を理解できる。


ほら、あった。


悪魔ってのは言葉を操る魔人だ。


何かを言っているのがまったく理解できないよりは聞き取れる方がいいに決まっている。




「従霊の儀 英霊の魂を捧げ我が命じる 悠久の安息に終わりを告げ 永久の眠りを願う者よ 」


え? ……詠唱??


悪魔の人に注意を向けていると、突然そんな綺麗な声がどこかから聞こえてきた。


この世界で詠唱を聞いたのは初めてだ。

だって必要がないんだもの。


魔法に詠唱をするのはおとぎ話の世界だけ。

だっておかしいでしょ?


これからボク、火を噴きますよー!

って言った後に火を噴いて攻撃してるんだよ??

……馬鹿なんじゃないの?


これが武器なら、

これからボク、上段から切り下ろしまーす!!

って言いながら剣を振っているようなものだよ?


ね? 普通に真剣勝負だったら死ぬでしょ?


攻撃手段は秘匿するものであって、戦闘相手に伝えながらとか死にたい人がやればいいよ。魔法は魔力を流すだけで発動できるこの世界で、そんなことをしていたら足元を掬われるのだ。


確か、この世界で詠唱が必要なのはスキルの方。それも”お願い”をするんだそうだ。つまり祝詞みたいなもんってこと。

あ、何にお願いするのかは知らないよ?

だってボク持ってないもん。


「 此に集い深淵を奏で 彼を想い神苑を出でよ 其は我が贄 喜せよ我が終焉と成りて 」


詠唱を始めたのはヴィンフリーデさんだった。


完全に無防備になったヴィンフリーデさんを庇うように先生とフィリシアさんがドラゴンを押さえつけている。

ドラゴンもドラゴンで、何かを感じているのかものすごい剣幕でヴィンフリーデさんに一直線に向かおうとしていた。


次元魔法は妨害が入り使えないので、元素魔法や固有魔法でボクもサポートに入る。



固有魔法クリア。

単一次元魔法が攻守に優れすぎてて、戦闘面ではかなり歪なつかいかたしかしてこれなかったけど、本来これだけで相当使える魔法なんだよね。


……あのドラゴンが噴出してくるマグマのようなブレスすら()()()んだから。


今まで使ってこなかったのは、設置盾の方が使い勝手と燃費がいいから。

相手の攻撃を消すには、相手の攻撃軌道上に魔法を設定しなきゃいけないから難しいんだよね。こんな大型1体が相手の時でもなければまともになんて使えない。しかも遠距離攻撃限定。それだったら自分が来てほしくない範囲に設置盾設定した方が楽だったんだけど、今回は次元魔法自体使えないし、物理的な障害になってしまう次元面の設置は味方も危険に晒してしまう。


先生とフィリシアさんが体を張ってドラゴンの進撃を止め、遠距離攻撃はボクがすべて消す。

ヴィンフリーデさんが止まってくれたから魔法を設置しやすくなって、初めてサポートが務まった。

何もできないままじゃなくて少し安心。



あの2人が守っているんだから、ヴィンフリーデさんのこの1手。

無駄なわけがない。





大気が震えている。


見えない何かがヴィンフリーデさんに集まっていく。

魔人の方も気が付いたのか、ヴィンフリーデさんの方に向かってこようとした。


「ふぅんっ!」


■■■(ぐうっ)!」


おっ、魔人が何を言ったか理解できた。

ティオナさんとほぼ互角に切り結んでいたところを気を取られた形になったのか、魔人が一撃を食らって落ちて行った。


ティオナさんも墜落した場所へ追撃をかける。





強圧せし願いの封剣(リスト・スペード)






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