ボクも爪痕を残すくらいには頑張ります!
《右翼B2部隊、隊列を交代して!B1,B3はB2の交代が終わるまでサポートを!》
《左翼、フェーズ4へ移行するわよっ!!》
《持ちこたえなさい!負傷兵はすぐに下がらせていいわ! 戦術兵はあの超級危険種との戦闘準備! 今のうちに回復と支援を掛けなおして!!》
「シルヴィア様っ!!」
「何!?」
「ご、ご報告がっ! 敵本隊が急に崩れだしました!!」
「は? まだ5万から6万はいるのよ!? 何があったの?」
「そ、それが突然モンスターの大半がナマス切りになって崩れ落ちていくと報告が……。」
「え? …………な、何……? あれ……?」
「さ、さぁ……? し、しかし好機かとっ!」
「……っあれ!? もしかしてレティ!?」
《敵後方部隊が遊軍によって大量に殲滅されたわ! 全軍突撃!!!》
《怪我人はすぐに下がって治療をなさい!》
ものすごい怒号と共に味方が近づいてくる。
「よし、お前の仕事はひとまず終わりだ。空に戻るぞ。」
がしっ。
「先生! ボクは自分で戻れるから! ってか転移できるから!!!」
「あっまてっ!!」
なんかもう嫌な予感しかしないからヴィンフリーデさんのとこに転移して戻った。
……あ。やらかした。
転移スキルばれたじゃん……。
ま、いいよね? フラ先生のクランの人達にもばれてるし、ここにいるのはシルの姫騎士隊だし。
先生のせいだし。
「え?」
「……?」
「はい?」
「あ、おかえりー。れてぃーしあちゃん、大丈夫だった?」
「あ、は……
《レティ。報告にきなさい。》
……大丈夫じゃ……ないみたいです。」
「あはは、いってらっしゃい。」
遊軍は全員、受信用魔道具を着けているのでシルの指示が聞こえるんだよ。
ウルさんにも聞こえたらしいシルの指令に、素直に送り出された。
ボクのせいじゃない。ボクのせいじゃないのにっ!!!
「ちっ、違うんだよシルッ!!」
「何よ。別に怒ってるわけじゃないわよ?」
「フラ先生のせいでね!? ……ってえ?」
「いや、だから報告に来なさいって言ったじゃない。どうなったのか把握しないと次の手が遅れちゃうでしょ?」
「あ、怒られるわけじゃないの?」
「なんでよ。むしろよくやったじゃない。あれ、やっぱりレティなんでしょ?」
そう言いながらシルの指出す方向に、大量のナマス切りになったモンスターの山が築き上げられている。邪魔なので1箇所に積み上げてどかしているようだ。
「う、うん。右翼側モンスター群の一番後ろに上から落とされて、右翼友軍の最前線まで次元魔法で殲滅できたと思うんだよ。あの魔法を回避できるモンスターがいればわからないけど。」
「どういう魔法なの?」
「こういう魔法だよ?」
ナマス切りになっている大きなモンスター肉を持ってきて、縦に持ち、また白虹暴風でナマス切りにする。
「……範囲は?」
「見える限り?」
実際真っ暗だから大して視界はないけど、ボクの言う”見える限り”に転移眼が含まれていることを、シルは知っている。
「……」
シルが何か言いたそうにしているけど、どうやら飲み込んでくれたらしい。
《殲滅戦!殲滅対象がいなくなった部隊からすぐに本部へ報告!!戦術兵、また出番よ!》
すぐに次の指示へと戻っていった。
「わかったわ。貴女も超級危険種と戦うのでしょう?」
「う、うん。そうみたい。」
「死ぬのは許さないわよ。」
「死なない程度に頑張るよ……。」
なんでだろ、戻りたくないって気が全くしない。
怖いけど、戻りたい。
戦いたい。
「じゃ、行って来るね。」
「いってらっしゃい。」
「よっと。」
「おお、本当だ。おかえり。レティーシア殿」
「戻ってきたな。」
「あらぁ……本当に転移できるのね……。」
「れてぃーしあちゃん。食べる?」
戻ってきた瞬間に、ウルさんにサンドイッチを渡された。
おいしそうなので頂きます。
「効果はブレイブハート。恐怖心をやわらげてくれるよ?」
なんと! 流石ウルさん。今一番欲しい支援魔法だよ……。
あ、でもここから落とされる前に貰ってたら、もっとありがたかったんだよ……
「ふぅ。おいしかった。ありがとうウルさん。」
「いえいえ、どういたしまして。」
どうやら転移スキルの事をフラ先生あたりが説明しておいてくれたらしい。
「よし、じゃあ飛行型の奴を釣ってくるか? 友軍上空で戦ったら被害が及んじまう。山脈まで移動するだろ?」
「ああ、そうしよう。」
「そうね。」
フラ先生の提案にヴィンフリーデさんとティオナさんが同意する。
この3人が決めてしまえばボクやフィリシアさん、ウルさんの意思など関係なさそうだ。
とはいえ足場を作れるのはボクだけ。
飛べるティオナさんが先行していく先々に足場を作っていった。
決戦を想定した場所にも複数張っておく。
「こんくらいでいい?」
「これだけあれば十分です。」
「ありがとう。レティーシアちゃん。」
「ウル。お前はここにいろ。もし危なくなったらすぐに下に逃げろよ。」
「フ、フラ!? 下にってここがどれだけ高いかわかってるの?!」
「大丈夫だ、死にゃしねぇよ。」
「死ぬよ!! 普通死ぬからね!?」
ちなみにここは上空200メートルをゆうに越えております。
通常、飛天を使っても降りられない距離。
ウルさんの言ってる事が正しいと思いますけどね。脳筋には伝わらないかなー?
とりあえず階段状に上空10メートル地点まで繋げてあげる。
「ありがとう! れてぃーしあちゃんっ!!」
「先生の脳みそは筋肉で出来てるからね、しょうがないよ。」
「ああん!?」
先生の乗っている足場を消してあげた。
「うをっ!? おまっばっ!!」
「ばいばーい。」
さっきはボクを担いで落ちたんだから一人だったら余裕でしょ?
そう思っていたらどうやったのか途中の足場に乗り移ったらしい。
すぐに戻ってきた。
……ちっ。
「こ、殺す気か?!」
つい数秒前に死にゃしねぇとか言ってたのはどこの誰ですかねぇ?
「え? うん。」
着地できるのに殺すもなにもないだろうけど、あれも一応何かのスキルなのかな。
何かしら準備をしないと死ねるのね。惜しい。
「……。」
「あ、貴女達仲がいいの? 悪いの? よくわからないわね……。」
「まぁフラ殿が悪いのはなんとなく予想がつくな。」
「あーあー! わぁったよ! あたしは釣ってくるからなっ! 用意しとけよ!」
先生は都合が悪くなると話を進めようとするらしい。
前にもこんな事があったからね!!
そういいながら精霊武装し、足場から飛び出していく。
どうやら炎のお陰で浮力が働くようだ。
足場を抜けても全くとは言わないが、中々落ちていかない。
そのまま山頂に見えている大型超級危険種に向けて巨大な炎の渦を放った。
最初に光源魔法として打ち上げた光に、森を切り裂く光の十字架。
そして巨大な炎の渦。
映し出された戦場は、森に流れて込んでいた濁流はすでに通り過ぎ、今度はモンスターの足場にぬかるみができている。
悪い足場に入らないように立ち回る防衛軍と、足場の悪さに思うように動けず苛立ちを隠せないモンスター軍。
真夜中だと言うのに、昼かと思うくらいに明るく照らし出す。
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