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激突。

後発部隊に召集がかかり、ある程度部隊ごと纏まったことが確認されると、シルが取り仕切りながらすぐさまモノブーロ跡地を発った。

隊列を組みながらの行軍はあまり素早い移動が出来ない為、馬車で4時間程の距離なのが、徒歩で6時間くらいはかかってしまうのだ。


つまり到着は夕方の17時を過ぎることになる。




まだ日が完全には傾ききらない夕方頃。

何の問題もなく進軍は終わり、決戦地であるシルロ村北部の大きな平原へ出た。

ここは山脈から降りてくるモンスター達の、出口である山道が一望できる為対策が取りやすく、さらには山道の出口には森ができているのでモンスター側は列を成して行軍しづらいという立地。


後発部隊であるボク達が到着すると、先発部隊が丁度モンスターとの交戦を終えた跡が残っており、後処理をしていたところだった。

先発部隊はここ数日間この場所を封鎖して連戦と監視で相当疲れているはず。

後発部隊が処理と監視を代わり、先発部隊は決戦の夜へ備え休みを取りに下がる。


モンスターがすべて夜行性というわけではないが、人間とモンスターのスペック上、夜に戦えばモンスターに明らかな分があるのだ。山脈を越えてきた疲労の蓄積もあるし、モンスター側としては夜に戦いたいという動きをするのは当然となる。


山脈防衛軍。現状の総動員数は約9万7千とのこと。


大隊が9部隊。1部隊約1万人規模で、残りの7千人は衛生兵や補給兵に工作兵、ボク達遊軍もそちらに含まれる。




辺りが暗くなり始めるころ。

シルの号令を受け、部隊が隊列を組み始めた。


ど真ん中に本隊であるS大隊が3部隊。

横長に並び、左からS1・S2・S3部隊と分けられている。


さらにその本隊の前方に翼型に左右に3部隊ずつ。

ちょうどAと言う文字を逆にしたような形に布陣されていた。

右翼と左翼はそれぞれ内側から左翼がA1・A2・A3。右翼も内側からB1・B2・B3となり、シルのいる本陣は本隊S2の後方にあたり、衛生兵などはそちらに配属されている。


ちなみに遊軍であるボクらも、M1・M2・M3と割り当てられ、3番隊であるボク等の隊はもちろんM3。他の部隊とは明らかに規模の違う部隊だ。

ボク達M3は、シルたちのさらに後方。

小高い丘になっているあたりに布陣しており、命令待機中。

他の遊軍も別の場所で待機しているようだ。




遠く山脈に蠢く影が見える。

モンスターの群れだ。


モンスター全員が夜目が利くわけじゃない為、所々火の明かりが蠢いているのも見えた。


モンスター軍20万 vs 防衛軍9万7千。


本来であれば問題になるような数字じゃないはずらしいんだけど、今回の場合何があるかわからない。もしかしたら上位モンスターがかなりの数いることだってありえるのだ。




開戦の合図は、モンスターが打ち鳴らす武器の音で知らされた。


ここまで地響きが伝わってくる。


「開戦は姫様の読み通りのようですね。」


ヴィンフリーデさんがそう言ってみている先には、先陣を切って走ってくる大型モンスターの群れが見えた。

オークやオーガといった種族で、さらに体が大きい種類のモンスターが先陣を切って突っ込んでくる。


「ヴォォォオオオオオオオオオオ!!」


数もすさまじい。森から抜けてくる大型種が60体以上一気に駆け抜けてきたのだ。

後続がまだまだ続いている。この分では大型種だけで100体は越えるだろう。


《A1とB1は左右から前へ。本隊S全軍は予定通り待機。》


シルの指示が聞こえる。


右翼と左翼の中央が、中央突破を狙ってくる大型種モンスターを囲う形で前に出たのだ。

本陣は動かずそのまま。

大型種が地響きを鳴らしながら本陣・右翼・左翼の丁度間に挟まれる位置まで来ると、陣のど真ん中が真っ黒に染まった。


落とし穴が開いたのだ。


魔法で今空けたにしては大きすぎる位の巨大な穴がモンスターを突き落としていく。


ヴィンフリーデさんが言っていた通り、大型種が中央突破を図ってくるだろう策はシルに読まれていたのだ。

言われてみれば確かに。モンスター側からすれば、本来中央突破は有効な戦法だったはず。


もしもこちらの軍隊が、相手がモンスターの軍隊なのにも関わらず、人との戦闘の様に想定して部隊を組んでしまっていたら。


今の中央突破は止められなかっただろう。


いきなり隊列は崩され指揮系統は壊滅状態。

混戦に持ち込めればいい方で、この後のモンスター側の指揮状況によっては一気に押しつぶされてもおかしくなかったのだ。




モンスターは人よりも恐怖に怯えたりしない。

特に知能が低いモンスターはそれが顕著だ。

さらに大型種モンスターは基本スペックが人の何十倍も高い。

皮膚は硬いし重量がある分踏まれただけで潰され、蹴られただけで吹き飛ばされる。


それが数百の単位で一点突破を図ってきたのだ。

人が武器や柵を組んで備えた所で止められるはずもない。


《魔道工作班。穴を塞いで。》


シルの指示で巨大な黒い穴が一気に土で埋まった。

森抜けに手間取った大型種数十匹以外は跡形もなく一瞬で消え去ったのだ。


《両翼遠距離射撃用意……撃て!》


突然消え去った先陣にうろたえたモンスターが、森を抜けた所で足踏みしている中を、両翼に配備されていた遠距離兵と魔法兵が的にしていく。


《両翼横へ広がる様に再配置。本隊前進せよ。》


防衛軍の配置が、横に広がるように動いていく。


《遊軍全隊所定の位置へ。》


「いきますよ。」


指示を受けたヴィンフリーデさんが、全員に確認を取り移動し始める。

ボクもその後に続いた。


もうあたりは真っ暗。


これから人類とモンスターとの戦争が始まる。




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