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シルの近衛隊、なんていうか個性溢れる人達だよね。。。

「フィリシア・ライツです。よろしくね?」

「レイラよ」

「ライラだよ。よろしく!」


姫騎士隊って言うだけあって、やっぱり全員女性だった。


「ど、どうも。レティーシアです。よろしくお願いします……」


っていうか、このレイラさんとライラさんて……?

顔を見比べても違いが全くわからない。似方が姉妹のそれじゃない。


ってことは?


「あ、うん。私達双子だよ。髪の毛が濃い金色なのがレイラで、薄い金が私ライラね」


やっぱり。というか不躾に2人を見比べてしまってごめんなさい……

そう言われながら顔を寄せて髪色の違いを見せられるけど、正直1人ずつ会ってすぐわかる程の違いがあるわけではない。


かといって他の特徴があるわけじゃないのは双子の2人の方がよくわかっているだろうし、見分けるならそれくらいしかないんだよね……?

顔は全く一緒だし見分けられる自信はちょっとないかな……。


まぁいざとなったらグリエンタールさんに聞けばいっか。


ちなみに3人とも私よりも年上っぽい雰囲気で、レイラさんとライラさんは20歳前後くらいかな?

フィリシアさんは2人よりももう少し年上だろうか。


双子の2人は肩くらいまでのウェーブのかかった綺麗な金髪。

瞳が青と緑の間みたいな……マリンブルーっていうのかなぁ。

綺麗な瞳がぱっとみてすごい特徴的だと思う。

お目目が大きいのかな? ぱっちりしてるし。


体格も2人とも一緒。

すらっとしている。イオネちゃんよりは胸もあるかな?


……いないところでごめんね、イオネちゃん。


フィリシアさんは着ている鎧の印象からかな?

髪色は淡い空色で短髪の麗人!って感じなんだけど、鎧も青いせいで全体的に青い印象。


3人ともヴィンフリーデさんと同じコンセプトの鎧を着ていて、細かい所に違いはあっても同じ騎士団所属なんだろうなっていうのは一目で見分けがつく。

全員の装備に同じ家紋?かな。紋章が左胸の所に入ってるしね。



特徴の大きな違いは、全員が違う色を基調としていて装飾に花の模様があること。

ヴィンフリーデさんのベースは白色。

フィリシアさんは青。ライラさんはピンクでレイラさんは赤。


そんで、胸部に装飾されている花の種類も全員違う。

ボクは花の種類に詳しいわけじゃないからわからないけど、多分色に呼応したお花が装飾されてるんじゃないかなぁ。なんて予測してみた。


他にも、双子の鎧はかなりカスタマイズされていて、結構肌の露出が多いし、フィリシアさんの鎧は皮の部分が多くて、ヴィンフリーデさんのものと比べると金属部がかなり減っている。



あ、そうだ。あの左胸の紋章。シルの鎧についていたやつだね。

やっぱりあれ、ラインハート家の紋章なんだ。


「私達はね? 今日は別の遊軍隊に配属されているからここにはいないけど、同じ騎士隊に所属しているティオナ様の従者なの。だから身分は平民よ。歳はお姉さんかもしれないけど貴族様に畏まられるのはむず痒くてしょうがないから、平民として扱ってくれていいからね?」


そう言ってくれたのはライラさんだ。


あ、見分け方その1!

レイラさんはどちらかというと無口でライラさんは結構しゃべりたがりさんだね。


「え? あ、うん。ボクも平民だから一緒だね!」

「あら?」


「え?」

「へ?」


双子は流石。出る声は違ったけど驚き方が全く一緒だった。

シルの姫騎士隊ってくらいだから、ボクの情報とか知っているのかと思ったけれど、そういうわけではないのね。


「だって魔法学園の生徒でしょ? 魔法使えるんじゃないの?」

「うん。使えるよ?」


「ええ!? なんで!? 私もお姉ちゃんもどんなに頑張って訓練しても使えなかったのに!」

「私はそこまで頑張っていないけど……」


レイラさんがお姉さんなのね。


「ああ、もしかして君が姫様が確保に奔走していた、例の平民で魔法学園に前提教育すっとばして入ってくるって言ってた神童ちゃんか」


フィリシアさんは知っていてくれたようだ。

なんというかその伝わってる内容がびっくりすぎて恥ずかしいだけなんだけど。


ヴィンフリーデさんは全く驚いていないので、知っていたんだろう。


「我々は昨日、姫様にイオネ殿を紹介して頂いたところだったのでな。皆はレティーシア殿も貴族位のご学友のお1人かと思っていたのだ」


なるほど、先にイオネちゃんを紹介されてたからか。


この後全員で少し雑談をしていると、皆の準備がまだ終わっていないとのことで昼の召集までは解散ということになった。

ちなみにシルはフィリシアさんたちを連れてきてもらっている間に仕事があるからと抜けていったんだけどね。


今の所イオネちゃんの姿は見ていないけど、調合錬金施設が仮設されている建物からは、朝からひっきりなしに人が行き来している状況から見て、かなり忙しいのだろう。

ボクが行っても邪魔しちゃいそうだし、この時間でてんやわんやしているって事はかなり切羽詰っていそうで顔を出すことすら憚られるような雰囲気だ。


「ボクもちょっと早いけど準備だけ済ませちゃおうかな」


独り言を言いながら転移専用の部屋に入り、寮へ転移した。

飾ってある漆黒天(シュヴァルツ)使メイル(アンゼケーニヒン)を着て、いつも出かける際にもって行く一通りの回復薬を多めに加え、日持ちする食料を王城区内にある販売店で買い足していく。

魔法のお陰で重量のかかりやすい飲料水を持っていく必要がないのはとても助かるんだよねぇ。


そうは言ってもこんな買出し1時間やそこらで終わってしまう。


買出しを始めたのが朝の6時前だった事もあり、終わってしまった今もまだ7時前。

自分1人分の準備なんてこんなものだよね。


昼の召集まではまだまだ時間があった。


魔道具はそんなに安いものじゃないし、魔道具を使うのに魔力もいるため庶民の生活は基本的には日が昇ってから日が落ちるまで。

少し繁盛している商店であれば光を灯すくらいの魔道具はすぐに買えるので、持っている人も少なくはないが魔力が使えなければ他の人に魔力供給を頼む他ない。


魔道具がなければ蝋燭やランタンになるが、油代だって馬鹿にならないからね。

半永久的に使える魔道具の方が将来的には割安だったりする。


実際、魔道具に定期的に魔力を流してまわるっていう商売すらある。

魔力さえ供給できれば元出も必要なく仕事がとれるっていう素晴らしい仕事だけど、それだけに大した利益の出る仕事ではないから、たまに纏まった依頼が冒険者ギルドのクエストとして張り出されてるのを見る程度だけどね。


「なんか掘り出し物とかないかなぁ?」


王城区内の商店街には店舗を持っているお店しかお店を出せないらしいんだけど、王都の商店街に行けば店舗の他に露天を開く事が許されている。


露店は商業ギルドに登録さえすれば冒険者でも開けるから、ダンジョンで見つけてきた掘り出し物や原材料・鉱石等、クエストで買い取り発注されていない物や、いらなくなった魔道具や装備を売ったりなんかもできる。

魔道具製作をしている駆け出しの魔道具屋さんなんかも露店で売りにだしているので、たまに掘り出し物なんかがあって楽しいのだ。

駆け出しでなければ魔道具屋さんは店舗を持てるくらいには儲かるから、殆どの場合小さくとも店舗と工房を持っているんだけどね。


暇つぶしに王都の商業区に転移して店舗と露店を見て回る。


7時ともなると冒険者の買出し班が軒並みいなくなるのでそこまで人通りは多くない。今日なんてさらに戦争にモンスターパレードに山脈侵攻軍と、戦闘要員はこの時間にここにいるわけがないので閑散としていた。



「お?」


ふと目を留めた露天で、シルに支給されたイヤリングと同じ物を見かけた。


「いらっしゃい。テレパス受信用のイヤリングかい? あれ? お嬢ちゃん、もう付けてるじゃねぇか。うちの親っさんの工房製品は皆わかる様に同じ外見にしてんだ」

「あ、これ支給品で今日の大規模侵攻が終わったら返さないといけないの」


「あん?! お嬢ちゃんあの山脈モンスター軍との戦争に参加するのかい!? 何歳だよ?」

「15歳だよ?」


「おいおい、命を粗末にするもんじゃないぜ? 見たところ良い装備はつけてるようだが……。どっかの貴族の嬢ちゃんだろう? お家の命令?」

「ううん。ボクの意志で」


「おいおい……しっかりしてんなぁ。でもおじさんとしては若い子に戦争になんて、でてほしかねぇけどなぁ……。」


女だから……とか言われないのは、この世界の特徴だと思う。

女でも魔法能力で男よりも強いなんて珍しくも無いからね。

ましてやボクの装備を見て貴族だと思ったなら魔法くらい使えて当然だと思うだろうし、そもそも魔法が使えない人は魔導具の露店なんて覗かないしね。


「大丈夫だよ! それよりおじさん、このイヤリングが受信用ってことは、送信用もあるってこと?」

「あ、ああ。送信用は高価すぎて取り扱えないんだよ。この受信用イヤリングですら金貨8枚だからなぁ。送信用となると桁が2つ違くてもおかしくないんだ。」


「はあ!? 金貨100枚ってこと!?」

「ああ。送信用の魔道具は作れる職人がとにかく少なくてな。俺も受信用しか作れんのだ。その割りに需要は高いもんだから金額が跳ね上がんだよ。」


うへぇ、イヤリング分解しなくてよかった……。


ってか受信用も金貨8枚ってたかっ!!!

確かにシルがお高いって言ってたけど……。あ、そうか。シルが高いって言ってるんだからそりゃそんくらいするか。イヤリング1個で金貨8枚……。

そりゃ通信手段が発達しないわけだよ……。


「ねぇねぇおじさん。このイヤリングってどれくらいの距離まで受信できるの?」

「そりゃもちろん送信用の魔導具で消費する魔力量によるよ。ただイヤリングに加工しちまうと魔水晶がどうしても小さくなっちまうからなぁ。あんまり魔力流しすぎても壊れちまうんだけどな。それを考えたらどんなに頑張っても半径50キロくらいが限度かねぇ。」


50キロかぁ。1つの街の中でなら使えるけど、街と街を繋ぐには到底使えないね。

まぁイヤリングみたいに小さく加工しなければ距離も伸びるんだろうし、そこまで問題ってわけでもなさそうだけどね。

ただ金額的には問題が大きすぎる。


「あ、そうだ嬢ちゃん。これから危ないとこに行くんだろ? 俺も駆け出しであんまりいい支援もできねぇけど、こんなのはどうよ? 俺の最高傑作なんだぜ?」


そう言って渡されたのは違う形のイヤリングだった。

シルに支給してもらったテレパス受信用のイヤリングは、銀色の涙のような形に魔水晶の透明な丸がコーティングされていて、それこそ涙を模ったような作りになっているんだけど、こっちのイヤリングは羽飾りになっており、いくつかの羽が翼をイメージしている。


しかもついている羽の1本1本が魔水晶で出来ていて、それが8本ほど重なっている。イヤリング部の殆どが魔水晶を加工して出来ていて、魔水晶の透明に羽飾りの模様が歪に光を反射してきらきらと光っていた。


「わぁ綺麗……。」

「だろ? 嬢ちゃんなんかめちゃくちゃ白いし、こういう透明なのは似合うと思うぜ?」


「ぬぬ。これってどういう魔道具なの?」

「ふふ。これなんだがな。テレパス用魔道具の拡張器だ」


「拡張?」


音量が大きくなるとか?

耳元で大声なんて出されたら逆に聞こえないよ?


「送信用と受信用の魔道具っつーのは、基本1対1でしか会話ができねぇだろ? だけどこれを使えば送信用の魔道具から受信用の魔道具へ出した一定距離間の会話が全部入ってくるって代物さ。もちろん送信用の魔道具と一緒に使えば一気に指示が出せるようになる! どうよ? これ。使えないかな?」


「え?すごい使えると思う」

「だ、だろ!? 嬢ちゃんはわかってくれるよな!!… …まぁ貴族様んとこに売り込みには行ったけど誰も買ってくれなくてなぁ。魔水晶を結構使っちゃってるから高価だし、これが売れてくれないとおじさんも困るんだよなぁ」


ちらっ。


いや、おっさんが目で訴えて来てもきもいだけだから。


「で、おいくらなの?」

「金貨で80枚のところを、売り切り価格50枚でどうだ!?」


「無理。」


金貨50枚って、例えボクが平民じゃなくて貴族の子供だったとしても、15歳そこらの子供がポンと出せる金額じゃないよ……。


「だよなぁ……。」


「ねね。それ、借りる事ってできる?」

「借す……? いやぁ。それこそ壊されたら俺はもう借金から逃れられないからなぁ……」


戦争ではものすごい使えるし、使い道なんていくらでもあるのに。

まぁ金額面は高すぎるけどテレパス送信用魔道具に比べたら安いわけだし……。

多分おじさんの売り方が間違ってるんだと思う。


「それ、売れたら嬉しいんでしょ?」

「そりゃ、まぁ……そうだが……」


「今回の大規模侵攻でもしもの事があれば王都は壊滅状態。おじさんも商売どころじゃないよね?」

「うっ。確かにそれもそうだが……」


「じゃあ貸してよ。ボクが売って来てあげる」

「ええ!? 本当かよ!? ……ううん……」


まぁ初めて会った知らない女の子に、金貨50枚以上もするような高価な物、そう易々と貸せるわけがないよねぇ。普段なら無理だろうけど、今の状況なら貸してくれるんじゃないかと踏んだわけなんだどね……!


「大丈夫、ボク魔法学園にいるから。レティーシアって名前とボクの特徴を魔法学園で言ってくれればすぐ見つかるよ?」

「おお、魔法学園の生徒だったのかい。そりゃいい装備してるわけだ」


おじさんは上位爵位令嬢かなんかだと思い込んでるんだろうけど、残念! 平民でした! この状況でそんな訂正したら借りれなくなりそうだし黙っとこ。


「う~ん。そうかぁ。これも何かの縁か。しょうがねぇ。嬢ちゃんに預けといてやるよ。せめてちゃんと返してくれよな?」

「むしろ今からいっぱい作っておけばいいよ。おじさんすぐに店舗出せるくらい儲かるから」


「ふははっ! 楽しみにしとくわ!」

「じゃ、ちょっと借りてくね!」


「ちくしょう! もってきやがれぃ!」




思わぬ収穫があったね!


テレパス用魔道具だけじゃなくて、魔道具のことって正直さっぱりわからなかったけど、聞いていた話だと指示が個別にしか出せないってことでしょ?

指示が皆に聞こえれば全体の動きもスムーズだし、個別にしか聞かれたくないのであればこちらのイヤリングは使わなければいいだけのはず。

送信用魔道具の使い勝手が値段の割りに悪すぎるだけだと思うけど、この拡張機能は戦争時やこういった軍隊規模での活用といった面で相当有用だと思うんだよね。


しかもここでシルに売り込めるって、おじさんから見ても相当なメリットはなずでしょ?


おじさんは将来儲かったらボクに感謝してくれればいいんだよ!


ふっふっふ……。


儲かったらボクに送信用の魔道具くれたりしないかなぁ。

テレパス系手段欲しいよねぇ。


グリエンタールで修得ってことも、もしかしたらできるかもしれないけど、スキルポイントに限りがあるのだから、魔道具で補えるものは補っておきたいところ。


早速シルに使ってみてもらおう!


ちゃんと機能するかなぁ……





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