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忘れてたけど、シルって・・・。

「おはようレティ。朝よ。」

「……う、んぅ?」


シルに声を掛けられて目を覚ます。

薄っすら明けた目には、もう着替え終わっていて髪をとかしている姿が目に入った。

半分以上向こう側を向いているので、艶やかで綺麗な黒髪に目を奪われる。




シルの朝は早い。


というかここ数日はボクの知る限りでは1日1時間か2時間程度しか寝ていないはずだ。寝ている姿を確認したわけじゃないので、もしかしたらそれ以下か寝ていない日なんていうのもあるかもしれないくらい。


体調管理も大事だとは言ったけど、今日この日に出来る限りの準備や用意が間に合わなければ国の存亡に関わるのだからある程度はしかたないのだと理解はしているし、シルが日中眠そうにしていたり体調が悪そうな素振りを見せる事もない。


まぁ学園で一緒に生活していた頃から、ボクよりも自然に早く起きられるし、寝る時間もそこまで早いわけでもないから、ショートスリーパーという部類の人なのだろう。


あんまり寝なくても活動できる人ね。


正直魔法のあるこの世界では、睡眠が最大の休息といえるのかというとそうでもないのかもしれない。

そもそもベッドは前世ほど快適に作られているわけじゃないし、ここに設置されているような簡易的なベッドは、庶民のボクからすればベッドがあるだけありがたいはずではあるけど、寝て起きると体が痛いんだよね。そうすると庶民じゃないシルからすれば、こんな簡易ベッドなんてあったところで大して休める物でもないのかもしれない。


それに比べたらウルさんの疲労回復魔法なんてめちゃくちゃ体が軽くなったし、そうまではいかずとも神聖魔法系統の回復魔法は寝るよりも疲労は回復する。


じゃあ寝る必要がないのか? と言われるとそんなことはなくて、脳の整理や体のリズム管理なんかは、脳が活動している限り行えないので、そういう面では睡眠は必要なのだ。




現在朝4時。


シルに起こされて着替えて外に出ると、この時間でも外が明るくなり始めるような季節になってきた。

外ではもう色んな部隊や色んな仕事をしている人が動き回っている。


昨日の夜から寝ずの人も少なくはなさそうだ。

辺りには木を組み上げた焚き火が一定距離間隔で置かれていた。


「皆早いなぁ……。ふぁぁ……。」


あくびをしながら眺めていると、長身でフルアーマーを着込んだ女性が視界を覆い尽くした。

思わず手で口を覆ったまま止まってしまう。


あくびしながら空を見上げていたのに、丁度そこに顔がある……。

素の身長で180近くはあるんじゃないだろうか?

女性なのでアーマー用ブーツのヒールが少し高くなっているのだ。

現在の身長は190近い。150センチ台のボクからしたら普通に首が痛くなるくらいには見上げないといけない。


アーマーの型は軍装を模しているが、華やかな花柄が大きくあしらわれているので、軍用品でない事は流石にボクでも一目でわかった。


ただ、あの左胸の紋章。どっかでみたことあるような……?


「レティーシア殿でよろしいですか?」


不意に名前を呼ばれて思わずしゃきっとしてしまった。


端整な。という言葉がぴったりとくるだろうか。


シルよりは明る目の紺色でお尻よりも長い髪に、女性型のフルアーマー装備。かといってタンク向けの重装兵ほど動き辛くなるような大きさじゃなくて、シュッとしたスタイルが際立つ程細い作り。


言い方が失礼かもしれないけど、とても綺麗な顔をしていて、行動や動作が真面目そのものと言った印象を受ける人。


……ってか睫毛長っ!

あれ、でも殆どメイクしてない天然美女だ。


「は、ハイ……そうです……けど……。」


まじまじと見つめながらも、思わず引け腰になってしまいました。

なんというか、真面目さってボクから一番遠いところにあるんだよね……。

だから違和感と威圧感がハンパない。


「遊軍3番隊を預かるヴィンフリーデ・ドゥーゼだ。よろしく頼む。」

「は、はい! よろしくお願いします。」


「ああ。普段の私はシルヴィア姫閣下・近衛姫騎士隊隊長をしている。貴殿も将来姫様に仕えるのならば同僚ということになる。そこまで畏まる必要はないぞ。」


まぁこのままいけばシルのとこに就職ってのが濃厚なのは確かなんだよね。

いや、ボクとしては冒険者とか色々やるつもりだけど。

そうなったらシルはスポンサーかな?


まぁまだ学生始めたばっかで就職先なんてわからないんだけど。



ただ……ただね?

姫閣下ってなに……?


え? シルってまだ公爵位継いでないよね?

え? それなのに近衛隊なる組織があるの?

単なる公爵令嬢に??


……まぁシルが単なる公爵令嬢じゃないのくらいわかってるけどさぁ。

いきなり出てきた人の威圧感すごすぎるんですけど!


「よ、よろひくおねがいしましゅ。」


慌ててお辞儀しながらしゃべったらめっちゃ噛みました。

シルよりも普通に公爵の人と話してるっぽいよ!


「ぬ……すまぬ。私は軍役が長くてな。姫様にも常々堅すぎると言われるのだが治らないのだ。あまり気にしないでくれると助かる。」


「ふふふ。挨拶は済んだかしら?」

「シル!」

「姫様。」


どこから見ていたのか、シルが歩いてきた。

ぬあ!この人の動作めっちゃかっこいい!


「驚いた?(わたくし)の近衛隊の隊長ってこんなに融通の利かない人なのよ? 笑っちゃうわよね。」

「姫様……。お戯れを。」


「っていうかシルってまだ公爵令嬢だよね? 公爵の人ってそんなに近衛隊とかいるものなの? それともシルが特別?」

「姫様が特別なのだ。我々は志願して今の立場にいる。」


「そ。口説き落とされちゃった。安いお給料に爵位もないこんな(わたくし)の近衛だなんて可哀想よね。何しろ暇でしょうし。」

「暇……」


あれ、ヴィンフリーデさんが何かめっちゃ言いたそうです。

シルの言う暇が、ボク達一般人のいう暇とはかけ離れているのは想像がつくけど、ヴィンフリーデさんも一般人扱いなのかどうかは微妙なところじゃない……?


「レティの配属される遊軍3番隊には、(わたくし)の近衛姫騎士隊から後3人。イオネを含めた計6人での構成になるわ。お昼には召集をかけてしまうから、それまでに顔合わせくらいしておいてね?」


「イエス! ユアグレイス!」

「……はぁ。ヴィンフリーデ。浮いてるわよ?」


「……申し訳ありません!」


周りを見ると、明らかに毛色の違うヴィンフリーデさんの敬礼を見てぎょっとしている人が何人かいる。

むしろ何人かくらいしかいないのは見慣れているからだろうか……。


もちろんボクはぎょっとしている何人かの方に含まれているんだけどね。


「では同じ部隊に配属になる隊員を連れてくる。少しここで待っていてくれ。」


そういうとヴィンフリーデさんがクルリと回転して歩き出した。


動きの全てがめちゃくちゃ軍隊っぽい!

ってか、普通にかっこいいわ。

スタイルいいし、動作が綺麗だし。


なびく髪が朝日を反射してきらきらしているよ。

何あの人、女勇者? 主人公?? これから魔王でも討伐に行くの……?


……いや、本当に今回魔王とかいないよね?

規模的にありえるんだよね……。


まじで。やめてよ……?




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