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すべての試験が終わりました!

ボクの実技試験が始まろうとした時、奥で見ているだけだったギルドマスターが試験官の元へ歩いてきて試験を止めた。


「レティーシアちゃん。先日ぶりだね。君の活躍はよく耳にするよ。」

「あ、ありがとうございます。」


なんだろう。嫌疑を掛けられたイメージからなのか、おっさんだからなのか、あまり好印象ってわけじゃないんだよね、あのおじいちゃん。


おじさんかおじいさんか微妙な見た目なんだけど、多分おじさん。

でもあんまし好きじゃないからおじいちゃんでいいや。適当。


「ところで今回の試験についてなんだけどね。登録冒険者から飛び級で上級冒険者への昇級試験っていうのは過去に例がないんだ。」


ギルドマスターがそういうと、一般参加者の方が少しざわついた。


「そこで、君にも先ほどの一般冒険者への昇級試験を受けていた彼等と、同じ内容をクリアしてみてほしいんだ。もちろん君は1人で挑戦になる。いいかね?」


まぁこの人の前でボクは魔法を使ったりクエストをこなしたわけじゃないからね。能力を疑われてもしょうがないんだろうけど、なんかこういうの釈然としないんだよね。


「はい。いいですよ。」

「その上で、クリア後に上級冒険者への昇級試験も受けてもらうが、それもいいかね?」


「はい。」

「ではその通りに。」


試験官に向かって指示を出すと、また奥へ戻って観戦を始めた。


「で、では上級昇級試験前提試験。一般昇級試験を執り行う。内容は先ほど見ていたものと同じものだ。」


試験官がそういうと、最初にでてきていた丸い的が這い出てきた。

確かあれは赤丸をくり貫けばいいんでしょ?


方法は色々あるんだけど、やっぱり断面を綺麗にくり貫くなら次元魔法でしょ。

転移眼……転移スキルを千里眼スタイルで使うのをそう呼ぶ事にしただけね。

を使って的に意識を近づけ、赤丸の縁沿いに次元断面を構築する。


「はじめ!」

「できました。」


「は?」


ぽろ。っと積み木が落ちるように。中心の赤丸だけが的から抜け落ちた。

ギルドマスターがめちゃくちゃ驚いてる。なんかすごいざまぁって気持ちだよ。

ふふふ。


「い、今何をしたんだ!?」

「え? 魔法の説明までする必要があるの?」


「い、いや……そうじゃないが……。」


なんか試されてるのが気に食わないので、強く当たってしまう。

いや、試験なんだから試されるものなんだけど、これ試験とは別の試され方してるよね?

ボクの能力が疑われている方の。気分がいいわけはないんだよ。


試験官の人はとばっちりくらってるだけでちょっと可哀想だけど。


「つ、次だ。」


そういわれると、岩がまた地面から這い出てきた。

とりあえず破片が飛ばないように次元牢獄と遮音魔法をかけておく。


「はじめ!」


の合図と共に岩を爆破した。


無音状態で岩が消える。


「……は?」


試験官も今まで一般昇級試験を受けていた受験者も口をあけたまま眺めているだけだった。


「ゴーレムはまだ?」

「あっ!? あ……ああ、次……次だな。」


ゴーレムがまた地面から這い出てくる。


「このゴーレムってもっと強いの出せないの?」

「うん……? あ、ああ上級試験用のゴーレムがいるが……。」


「じゃあ最初からそれにしてほしいんだけど。」


試験官がギルドマスターに目を向けると、やれといわんばかりに頷く。


「じゃあゴーレムはこっちだ。」


這い出てきたゴーレムが地面に戻っていき、黄色かった単純動作のゴーレムが灰色の棘棘しいゴーレムに変わって這い出てきた。


「これって最大何体まで出せるの?」

「うん? 何体まで出せるんだ?」


試験官がサポートをしていた職員に確認する。


「はい、同時進行用に5体までは出せますが……。」

「5体だそうだ。」

「ま、待ってください!5体出して止められなかったら大惨事になりますので、流石に……。」


「5体で大丈夫だよ。」

「……流石に……その……。」


「1秒かからないから。」


ボクのその言葉にギルド職員のプライドが穢されたのか、イラっとしながら5体を召喚する。


流石に清澄次元魔法術式は、世界でまだ認知すらされていない次元魔法なので単純に使ってバレたくはない。

とりあえずロカスエロでボスを最後に倒す時、擬態に使ったように槍を構築する。


「ねぇギルマスのおじいちゃん。そこ危ないからこっち来ておいてくれる?」

「おじっ……俺はまだ50歳だ!」


え、うそ。もう60は超えてると思ってました。ごめんね。

おじいちゃんがこちらに移動してくるのを見て、魔法を構築しておいた。

一度構築して登録はしてあるが、今回はゴーレムが相手。


ダンジョンの150層で使った次元面を広げる魔法”月虹後輪(ルナ・グローリー)”。

あれは1つの次元面を一定の方向に向けて無限に広げていく魔法だ。


もちろん終点も設定できるしなんなら形状も設定できる。


けど、ゴーレムは核を壊すか、動けないくらいバラバラにするかでないと決着がつきそうにないので、もう一度登録をしなおした。


多重複合構造(フルマルチキャスト)清澄次元(ディメンジョン)魔法術式(フィールド)白虹暴風(レーゲンヴィント)


「は、はじめ!」


魔法構築をボクが先に始めてしまったので、試験官が慌てて開始の合図をだした。


髪飾りの魔宝珠に魔力を流す。

同時に演舞の様に突き出した槍を横薙ぎに振るった。


全員が一様に槍に注目する中、ドシドシと走ってくる5体ものゴーレムの重量が、地面を揺らす。




……そのままナマス切りになったゴーレム5体が崩れ落ちていった。




次元面を横に広げていくのは月虹光輪と変わらないが、それを10センチほど間隔を開けながらミルフィーユ状に複数縦に重ねた次元面拡張魔法。


10センチ間隔ほどで断層ごとずれていくゴーレムの塊が、そのまま土に戻っていった。

コアが壊れたのだろう。




「……は?」

「え?」


どうみてもオーバーキルだけどね。むしろ建物を壊さないように境界の終わりを設定する方が苦労したんだよ。


「う、うわぁぁぁぁ! ギルド予算10年分のゴーレム核がぁぁぁ!」


足元に転がってきた半球体の黒い物体を手に取ったギルド職員が、途端に叫びだした。


あ、お高いものなんですか……?

べ、弁償とか言われないよね? 大丈夫?


誰一人として状況を理解していない中、高価なゴーレム核が砕け散っている事実だけは認識できたのだろう。サポートしていた職員が泣いている。




「終わったよ?」


誰も何も言葉を発してくれないので、静かな空気の中、わざと女の子らしい可愛い声で告げてあげた。ボクは子供なので弁償とか無理なんだよ??


あ、親には内緒でお願いします。




「す、すげぇ……。」

「やっべぇ……なんだあれ……。」

「ちょ、ちょっと待って……。上級冒険者ってあそこまで異質な強さがないとなれないの?」

「んな馬鹿な、俺のクランの上級冒険者だって確かにすごいが、あんなのそんな次元の問題じゃねぇぞ……。」


結果待ちをしている一般冒険者昇級試験受験者は、採点だの試験だのが関係ない分先に現実に戻ってきたようだ。


「なるほど……。フラが目をかけるわけか……。おい、レジェド。合格だ。すぐに手続きをさせろ。あんな戦力で登録冒険者と組ませようとした俺が間違いだった。フラが正しかったな。詫びなきゃならん。」

「は、はい……承知しました。」


おお、合否発表を待たずに合格が知れました。


やったぁ。





……ん? あれ?


おかしいな。手続きミスで受けた上級冒険者の昇格試験。

受かっちゃったよ。

ってかこれ、前提試験だったよね?

これから上級冒険者への昇級試験がある予定だったのでは??


完全にすっとばされてるね。




ボク、今日から上級冒険者?


あ、そういえばギルド身分証とか貰えるんだっけ!


そういうの、地味に嬉しいんだよね。

この世界で身分証明って、基本的に貴族しかできないから。


まぁ、また受ける手間がなくていっかぁ……。


槍をマナに還元しながら受験者の中へ戻ると、一般昇級受験者の皆がものすごい歓声を上げながら握手を求められた。


おじさんに囲まれるのは怖いので勘弁してほしい。


とりあえずお姉さんのお尻の後ろに隠れた。



とにかく、これで冒険者ギルドの昇級試験もクリアしたわけだし、明日からは学園も予定通りの夏休みに入る。

シルの手伝いとして、モンスターパレードと山脈侵攻群の対処に、なんの懸念もなくとりかかれるってものだ。


とりあえず里帰りは後になってしまうけどね。




よし! 明日から本格的に戦争と呼べる規模の戦闘が始まる。


気合を入れなおして頑張ろう。





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