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試験内容って?・・・あれ?

うんうん。何々? 名前?


レティーシアっと。


で? うん。



……………………え?



あれ? ボクは目なんて悪くないはずなんだけど、答案用紙がおかしい。

何度か目をこすって見るけど間違い……じゃないよね?

すぅ~~~っと自分が吸い込む息が聞こえる。


あっれぇ……?

何度目を瞑ってから開いてみても一緒。


うーん、試験官の先生、答案用紙間違ってます!!!


これ、”上級冒険者昇級試験”って書いてあります!!

ボクが受けるのは一般冒険者の昇級試験ですよ!!


でも声を出したら失格だと言われたので、目で訴えるけど一向に気づいてくれる気配すらない。


あ! 目が合った。

……睨まれた!!!


あう。

おっさんなので怖い!!

思わず目を逸らしてしまった……。


あうぅ。これではどうにもならない。


……まぁいいや。先生が申し込む試験を間違えたのかもしれない。それならそれでしょうがないし、落ちたって文句を言われる筋合いもないよね。


あれ? でもおかしいな。昇級試験資格がなければ試験自体受けれな……あ~もしかしてここに来るまでの先輩達と受けたクエストやら、特に最後のロカスエロ150層までのクエスト報告で上級試験受ける試験資格クリアしてるのか……。

あれって一般冒険者が受けるものであって、登録冒険者で一発上級冒険者試験資格って貰えるものなの?


う~ん。わからないや。


暇だし問題解いとこ。




問題用紙を開くと、ここ4日間頑張ってきた試験対策内容が使える箇所が一切ない。

当たり前だよね。ボク一般昇級試験の勉強をしてきたんだもん。上級昇級試験の勉強なんてしてないし。使えるわけがない。


ただ、不幸中の幸いなのか……? 試験内容が前世側によっていて、数学の問題であったり、理科系の現象問題に、時事問題。

そして魔法知識に関する問題になっていた。これは普通にわかる。魔法構造の理解や、構造陣の問題なんかはボクにとって問題にすらなっていない。


理数系の問題が3割。さらに魔法知識に関する問題だけで4割を占めていた。

これなら何とかわかりそうな気がする。


一番簡単だったのは国語系の問題。

グルーネ国語は自動翻訳なので全部読めるし全部書けてしまう。

さらにグルーネ国語じゃないものは翻訳されないので、グルーネ国語にはない引っ掛け問題みたいなのが一目瞭然だったのだ。


問題がわかるって楽しい。


ここ数日間知識だけを詰め込んで呪文のようにぶつぶつ呟いていただけの日々はなんだったのか。そんな疑問も頭をよぎるけど、まぁいっか。



……



よっし。


あれ? 思ったよりも解けてしまった。

というか空欄が一つもない。


試験は時間が余ったら見直しをする物だと思っていたんだけど、見直す箇所すらない。

とりあえず暇なので、字が汚い所を消して直して時間を潰した。


30分で試験は終了し、最初説明をしていた職員と、後ろで見張っていた職員が問題用紙を回収していった。


「これからすぐに採点を行う。10分程度で戻ってくるのでそれまで各自自由にしていてよい。」


今度はため息と安堵の吐息が部屋に響いた。

職員が答案用紙を持って部屋から出て行く。


「はぁ。」


ボクもため息が出る。


流石にこの状況であれば部屋を見回していても怪しまれないでしょ。もう試験終わったしね?

多分、ボクは廊下側に座るはずだったんだと思う。

向こう側には20人の受験生がいて、思い思い採点時間を過ごしているのが伺える。


後ろのおっさんは目が合うのが怖いので見れないけど。この人は普通に上級試験受けにきたんだろうな。そう考えれば辻褄が合うのだ。


どっちが間違えたんだろ。


先生か、ギルドか。




ああ! なるほど。


そりゃここの人たちとよく目が合うわけだ。

ボクはまぁ見た目が珍しいし、見られることになれていたから気づかなかったけど、上級試験受けに来てる15歳の女の子なんてみたらそりゃ珍しいもんね見ちゃうでしょ。ボクだって見るよ。珍しいもん。


ただ、誰一人知り合いもいないのかしゃべる空気でもなく10分の時間が経過し、先ほど出て行った職員が戻ってきた。


「では筆記試験の合格者を発表する。座っている机に番号が貼ってあるからそれで判断すること。まず一般昇級試験から!」


そう説明を始めると、持っていた小さいメモを読み上げ始める。


「1番、2番、3番……6番、10番、11番、14番、19番。以上だ。」


20人中8人合格ってことかな。


「やった!」


一番前に座っていた男の子……といってもボクよりは年上だろうけど。や、その後ろの男性が喜んでいる所から見て、番号は到着席順だろう。


「次、上級試験筆記試験合格者。1番以上。」


突然部屋のざわつきが、今までの一般昇級試験合否に対するものから一遍した。

皆気づいているのだろう。番号が席順なことに。

そしてボクは上級昇級試験で一番前に座っている。

そりゃそうだ……。手ごたえがあったどころの話じゃないんだもん。

間違えを探す方が難しかったんだから通ってないわけがないんだよね……。


あっ……おじさん。後ろからすごい殺気飛ばすのやめて!

ほんと、それ無理だから……。


「うっわ、あの子すげぇ。上級試験合格だって。」

「制服着てるし魔法学園の子よね? あの学園在籍中に上級資格ってまだ10代じゃない……。」


部屋中から漏れてくる呟きが聞こえる。


「くそっ……。」


後ろのおじさんがすごい小さな声で呟いた。

本当に悔しそうな声と、ぎゅっと握ったグローブの音が聞こえる。


「君、今何歳なんだい?」


ギルド職員で試験概要を説明していた人に話しかけられた。


「じゅ、15歳ですけど……。」


さらに部屋がどよめきたった。

なんか異様に恥ずかしいんですけど。


「そりゃすごいな。15歳で上級試験満点とは。魔法学園の生徒ってのはやっぱりすげぇんだなぁ。」


あ、やっぱ間違えてるとこなかったんだ。よかった。


「ちなみに、15歳での上級試験筆記試験合格自体がもう全世界最年少記録だ。この後の実技はさらに厳しいが頑張ってくれよ。」

「は、はぁ……。」


まぁ間違えて受けた試験なんだし、ボクとしては今日昇級できなくてもいいんだよね。


「よし、じゃあ筆記合格者は隣の実技室に集まれ。この後、実技試験を執り行う。」



そう言われ、筆記に受かった人は明るい顔で部屋の前にある出入り口に。

落ちた人は暗い顔で後ろ側の出入り口に。両極端に分かれて部屋を後にした。


一番悔しそうなのは、やっぱりボクの後ろに座っていたおじさんだね。

この世の終わりのような顔をしているけど……。そこまで思いつめないでね?

試験や資格がすべてじゃないんだよ……?




部屋から出ると、これまた一般試験受験者の人たちと一緒に実技部屋とやらに入る。


あ。知っている顔が一つあった。

あれギルドマスターのおじいちゃんだ。


ボクの顔を見るなりため息を()かれた。

むぅ。失礼な。


全員が部屋に揃うと、説明が始まる。


「すまんが、今の情勢からフィールドへ出て実技試験という訳にはいかない。何があるかわからない時期に、もし外に出て万が一取り返しのつかない事態でも引き起こしてしまったら、ここ1週間準備をしている連中に申し訳が立たないからな。ここの実技部屋内のみで実技試験を執り行う。ただしそれだけに試験内容は普段よりも厳し目でいくから覚悟するように。」


えー。やってもダメなのならいいけど、やる事自体が辛いのはやだなぁ。


400km短距離走とか。まぁあれはサポートメンバーがいなきゃフラ先生ですら無理だろうし、あれよりきつい事はないか。


「ではまず一般冒険者試験からだ。採点項目は6つだ。正確性・適応性・多様性・対応性・迅速性・殺傷性。それぞれの項目で採点されるからな。覚えておけ。」


そう試験官が話すと、実技場の奥側に丸い的が這い出てきた。

赤と白のよくあるやつで、赤白が中心に向かって交互に丸くなっている。

中心は赤で、ここから見ると目測、的の大きさが60センチ程度。中心の赤丸の大きさが10センチ程度だろうか?


「では1,2,3番前へ。」


「「「はい!」」」


3人の声が重なる。


1番と3番の人は男性。2番の人は女性だ。

1番の人はこの中では比較的若そうで20代前半くらいかな。2番の女性も同じくらいの年齢かな? 女性的な贔屓目無しでね。そして3番の人はもう少し上の30台中盤ってところだろうか。


3人が的に向かって横一列に並んだ。


「まず最初の試験だ。その位置からあの的の中心にある赤丸を射抜きなさい。武器の使用は何を使っても良い。遠距離、近距離問わない。武器の種類によるペナルティは発生しない。魔法が使えるものは魔法の使用も許可する。」




最初の試験ってことは、試験はこれだけで終わりではないということか。

ってことは今回求められるのは6つの強化項目のうち5つ。殺傷性以外すべてが採点対象となりえるだろう。


近接武器でしか戦えないとなれば、多様性・適応性・対応性・迅速性の評価が著しく下がるだろうし。投擲が出来れば近接武器しか扱えなくてもこの4つの評価はあがりそうではあるけど。


懸念どおり、1番と3番の男性2人は腰につけていた剣を抜いた。


確かに剣は万能性が高いから、今回のようにどんな試験が出るかわからない場合は、相当武器種によって腕の差が出ない限りは剣を選びそうだ。


「はじめ!」


合図と共に男性2人が的へ走り込む。

女性は弓を構えている。


最初に的に当たったのは、2番の女性の矢だ。

ちゃんとど真ん中である赤丸を射抜いている。その1発で終わりと判断したのか、女性は矢を射るのを止めた。

男性2人は剣で貫き、止まる。


1番の若い方の男性のほうが少し早かっただろうか?


「次、6,10,11番。前へ。」


それぞれで採点がでるわけではないようで、同じ内容の試験が全員分続いた。


あ、ボクを除いてね。


ボクも本当はあの中にいたはずなんだけどね……。




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