パーティは初めてなんです!
「う~~う~~おっなかいったぁぁい……」
お腹が痛い。聞けばわかるって?
だって痛いんだもの。仕方ないでしょ……
「レティ……。食べすぎよ……まだダンスも始まっていないのよ? つまりパーティ、始まってないのだけど」
「うぅ……ボクダンスなんてできないもん。食べるだけ食べたら後は見てようかと……」
「貴女ね……。とりあえず先にお外に行ってらっしゃいな。始まる前に戻ってくれば変わらないわ」
「ご、ごめんシル。ちょっとお花を毟りに行ってくるね」
「毟らずに摘みなさいよ」
とりあえずダッシュでトイレに駆け込む。
まだパーティが始まっていないのは、制服ではなくドレスに着替えたりしている方が多いからだ。
特に女性の支度には時間がかかる。
入学式典は12時前には終わっており、会場は式典があった体育館のような場所の隣に併設されているダンスホールで開催される。
ダンスホールがあるなんて。
まぁそれは置いておいて、隣に併設されているのだから移動時間など5分もかからない。
なのに既に午後は4時になろうかという時間。
まだ大半の方の支度が終わっていないのか、全然人も集まっていない。
貴族様の支度はほんと大変そうだ。
とりあえずおトイレも済ませ、ダンスホールに戻りたいのだが、道を間違えたらしい。
来る時には通っていない道にでてしまった。
大きな中庭の脇道に出たんだけど、中庭から見える向こう側に背の高い建物が見える。多分あれがダンスホールだろうから、方向はきっと間違っていないはず。
そう妄信しながら建物から目を落とすと、中庭のベンチに一人で座っている子を見かけた。
制服の色が同じだから同級生のはずよね?
中庭は、芝生と緑が生い茂っており、光の入る角度が計算されているかのような光のカーテンが緑に映える。中央には3段ほどもある大きめの噴水が勢いよく水を噴出したり、小さくなったりしており、水のしぶきが光に映ってきらきらしている。とても幻想的。
そんな中、これからダンスパーティのはずなのに、支度をしているわけでもない女の子が一人でぽつんとしているものだから、とりあえず声をかけてみた。
「どうしたの? お腹でも痛いの?」
「え……?」
お、可愛い系美少女。
少し長めのボブにゆるふわっとした髪型。前髪も長く、耳に流しておでこを出すタイプ。
かなり薄いブロンドの子で、薄めの茶色い髪にブルネットの瞳。
目が少し垂れ気味なのも可愛いね!
目の前の少女の顔が赤くなった。
「あれ? ボク、声に出してた?」
「か、可愛いだなんて言われたことないのでっ……」
「ボク、レティーシア。貴女は?」
「やっぱりそうですよね。私はイオネと申します。テュリス男爵家の4女になります。」
「あれ? ボクのこと知ってたの?……あ、ごめんね、あんまり敬語みたいなの得意じゃなくて。なんか失礼だったら言ってね?」
「いえ、我が家も爵位などあってないようなものですので、お気になさらず。レティーシアさんは平民さんで入学された珍しい方なので有名ですよ。容姿もとっても目立ちますもの」
「あ~、ボク真っ白だもんねぇ」
「ええ、レティーシアさんほど白い人は初めてお見掛けしますわ。白というより透明で透き通っているようですね」
「えへへ、ありがとう! ところでイオネ様は何をしていらっしゃるのですか? パーティ始まっちゃいますよ?」
「……ええ、私、賑やかなところは苦手でして……」
「イオネ様は華やかなのにもったいないわ」
「……えっ?」
心底何言ってるのかわからない。みたいな顔はやめてほしい。
とはいえ、これからが長いのに、こんなところで一人で座っていても楽しいわけがない。
ちょっと強引にでもいいから連れ出してしまえ。一緒に楽しめば問題ないよね!
「さ、パーティが始まってしまいます! 行きましょう!」
手の平を上に差し出すと、条件反射だろうか? すぐに手を乗せてくれた。
あれ? こんなこと貴族の方に言ったら不敬罪だろうけど、わんちゃんみたいで可愛い。
そのままぎゅっと握り返す。
会場はもう、支度のできたご令嬢で華やかだ。
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