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ティグロ先輩のせいなんです。他の先輩達はごめんね!

「試験の方はちゃんと開催するらしいよ? 当日8時、各冒険者ギルドで受付だって。」

「あ、忘れてた!」


そうだった。目先の利益につられてて本題を忘れておりました。

元々は冒険者ランク昇級試験を調べにきたんでした。


「それにしても、異常なメンバーと色々行ってるとは思ってたけど、もうこんなランクまで昇級するなんてすごいねぇ。」

「そうなの?」


まぁ確かに登録冒険者のボクとしてはおかしな難易度のクエストばっかり受けさせられてた気はしているけど。


「俺が知る限りじゃ一番早いよ?」

「え、そうなんだ。試験って王都でも年に2回なんでしょ? タイミングの問題かも?」


「う~ん、そういうレベルの話じゃないんだよなぁ。まぁ俺はレティーシアちゃんとクエスト行って規格外なのを知ってるからおかしいとは思わないけど。」

「規格外って……。」


貶されているわけじゃないけど、褒められているわけでもないよね……?


「ま、頑張ってよ。筆記試験の問題集は研究室にあるからさ。」

「え!? 筆記試験とかあるんだっけ!?」


「え? 何言ってるの……? もう今週末だよね?」

「え? だって先生が受けろって言ったの一昨日だもん。」


「うん……まぁ頑張ってね。」


ティグロ先輩の目の泳ぎ具合からして、もしかして筆記も相当難しいの!?

無理難題はいつものことだけど、せめてちゃんと準備くらいさせてよ!?


「ん? あれ? 実技って何するの?」

「その年によって違うらしいよ?」


「へぇ、そうなんだ?」


らしい? あれ? ティグロ先輩も一般冒険者の資格持ってたよね?

あ、一発で受かっちゃえば違う試験内容なんかわからないか。


「じゃぁ今日は先生の研究室から問題集だけ借りて勉強することにするよ……。」

「まぁ時間もないしね。」


そうすれば寮で1人寂しい夜も乗り越えられそうだからね!!


試験まで後5日!


出来る限りは頑張っておこう。


先生が申し込みだけはやってくれていたみたいだし、今回は自分で試験費用を払わなくていいみたいだけど、お金がかかるのに適当になんてできないからねっ!!




急ぐ必要もないし、送ってくれる雰囲気だったのでティグロ先輩と研究室まで一緒に帰る。


こう、ゆっくりしだすと急に防具の布面積の少なさに意識がいってしまうのはどうしてだろう。ちょっと恥ずかしい。まだ慣れないよ……。


あ、なんか上着買おうと思ってたんだった。


とりあえず落ち着いたらシルとかイオネちゃん誘って、また街に買い物にでも出ようかな。

……また前払いとか言ってシルに立て替えられないように気をつけないといけないけど。そういえば折角買ったドレス、まだ着る機会もないよ……。




研究室に着くと、研究員の先生と研究室に所属する先輩が総出で集まっている。


もう大分夜だというのに誰一人として帰っていないし、空気も重いとまでは行かないが軽いわけではないようだ。まぁ現状を確認していきなり事態を軽く見るような先輩達でもないし。


「あれ、先輩誰も帰ってないの?」

「ああ、レティーシアちゃん。お帰り。ティグロも。」

「あ、うん。ただいま。」


「ただいま。」

「そりゃ調べたら思ってた以上に深刻だったからね。モンスターパレードって例年通りでも結構きつめの量がくるんだけど、報告によると2.5倍はくだらないそうなんだ。」


「うん。そうだよ? だから言ったじゃない。」

「例年通りエリュトスの侵攻も同時期にあるらしいんだけど……。本当にエリュトスがこのままの規模で進行してくるかもわからないからね。俺達もできる限り協力しようっていう話し合いをしてたんだよ。」


「なるほど! あ。エリュトスの侵攻は例年通りだよ?」

「うん? ああ、情報にはそう上がっていたけどね。鵜呑みにしてしまうのも怖いしね。」


「え? あ、そうじゃなくて。」

「うん?」


「そのモンスターパレードの規模とか聞いてきたり、エリュトスの砦まで侵入して見て来たのボクだもん。シルにも確かめたから、そこは大丈夫なんだってば。」

「え?」


先輩がすごい顔して一斉にこっち見た。

こっち見んなし。布面積薄いから恥ずかしいし!


「え? ちょ、ちょっと待って? モンスターパレードの規模調査? エリュトスに侵入? え? 何言ってるの?」


一緒に帰ってきたティグロ先輩まで横で何言ってんだこいつって目をしてるんですけど。

ねぇ。先輩はボクの固有魔法見てるよね?


ここからは先輩が助け舟に入るところなんですけど?

なんでそんな目してるの??


「うん? ロトに行ってモンスターパレードの規模を教えてもらって、エリュトスの砦に入ってきて訓練してる軍隊の規模をボク自身の目で見てきたから間違いようがないんだよ??」


仕方ないのでもう一度説明してみたけど、全然納得してくれない。


あ。ティグロ先輩だけなんか腑に落ちてるけど説明しようとしない。

……ああもうっ!! 使えないんだからっ!!


クエストは手伝って貰ったけど、魔法の言葉は先生にちゃんと伝えないとダメみたいだね。

あはは。先輩達頑張ってね。


「いや、ティグロ先輩はボクの固有魔法知ってるでしょ! なんで皆と同じ顔してるのよっ!!」

「あ、いや、ごめんごめん。あまりに現実離れしてる魔法だったからつい忘れてたよ……」


「もういいよ! こういうことだから!」


先輩達の目の前で姿も音も気配もすべて消す。


「え?」

「き、消えた!?」

「転移魔法!?」


あ、それ惜しいけど、今回はそれじゃないので不正解です。


グサッ。


「あいたっ!!」


ちゃんと刃を潰してある訓練用の剣をティグロ先輩に突き刺しながら姿を見せた。

刺したことにティグロ先輩が非難の目を向けてくるが、それ以上に睨んであげる。


あ、目を逸らしたね。


「……消える魔法?」

「気配も感じなくなったぞ?」

「うん。気配も音も武器でも人でも。全部消せるからね。」


「まじかよ……。」

「わかった? ボクの諜報能力。」

「な、なるほど。それで潜入してきたのか。」


「まぁもっと便利な能力もあるけど、とりあえず内緒だよ。」

「いや……。レティーシアちゃんとよくクエストは行ってたけど普通の魔法が異常すぎて、それが固有魔法なのかと思ってたよ、俺……。」

「俺もだわ。」


どうやらティグロ先輩以外の先輩達も納得してくれたようだ。

そういえば固有魔法に関しては研究員の先生達は知ってるはずなんだけど。

研究員の先生達は報告書だけで実際に見てたわけじゃないから、目にしたのは初めてなのか。

その先生達も驚いているようだ。


っていうか手伝ってくれるはずの研究員の先生が、この時点で初めて目にするって……。それでいいのかなぁ。まぁそういうのは全部先生に任せてるからいいんだけどね……。




そんなこんなで、ボクが見てきた実際の映像と、今流れているギルド情報。その2つを足して行き研究室の方向性を議論し合っていく。

ボクもその間にシルに顔を見せに行き、進捗を確認したりした。


どうやら、最初にフラ先生が言っていたとおり、夏休みに入った直後くらいが決戦の日となる見込みのようだ。

あの段階の情報でそこまで予測を立てて動き始めた先生達って一体なんなの?

あれから一度も会っていないけど、どこで何をしているのやら。


とりあえずモノブーロ跡地でボクができる事はまだなさそうなので、もう一度研究室に顔を出して寮の部屋に戻ることにした。

研究室の先輩達と一緒に動いてもいいのだけど、やっぱりシルの手伝いを優先したいしね。


ボクはボクで動いていく事になると思う。





翌日。


学園の掲示板に緊急掲載が張り出された。


モンスターパレードの規模などを加味して、参加する場合は学園への報告を要する旨だったりと色々な特別措置が羅列されている。

そして何より、夏休みを前倒して明日から授業は休講とするのだそうだ。

式典などは執り行われず、パーティ等は後日別で開催されるらしい。


パーティとかあったんだ。ドレス着る機会、意外に近くにあったのね。

まぁ日程延期でどうなるのかわからないけどね。



休講は、やっぱりと言えばやっぱりなんだけど……。

いざそうなってくると、大変な事態なんだなって実感がわき始めてしまう。


あー、普通に怖い。

こういうのは慣れたりするものじゃないね。


1人でいるのは怖いので、日中は研究室にいることにしようかな。

勉強も、少しうるさいくらいの所の方が捗るんだよね。ボク。





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