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戦争なんてしたくてしてる人なんていないのにね。

「たっだいまぁ。」

「レティ? どうしたの? ちゃんと泊まれなかった?」


あ、そっか。ボク今日はラインハート領で泊まって来る予定だったんだよね。


「ううん。大丈夫だよ。それよりシルは? 寝てないの?」

「さっき寝たわ。」


「寝てないよね?」

「……。」


「将官は体調管理が大前提なんだよ?」

「……まさかレティにそんなことを諭されるとは思ってもみなかったわ……。」


「ボクもまだ寝てないから一緒に寝よ? 疲れちゃった。」

「しょうがないわね。奥の部屋にベッドがいくつかあるから使いなさい。(わたくし)も後で行くわ。」


「報告はシルが寝て起きたらね。」

「折角、いち早く持ってきてくれた報告が台無しね。」


あら。やっぱりシルの為に情報をとってきたのもバレバレか。

なんかボク達、幼馴染かってくらいお互いの事わかりすぎじゃない?

……幼馴染! なんかいいね! 憧れるよ!!


「ま、ボクにとってはシルのほうが大事だし。」

「……わかったから。先に行っててちょうだい。」


あら? シルさん照れました?


……にやにやしてたら追い払われました。

ものすごい距離走ったり他国に進入したりと精神的にも肉体的にもかなり疲れた。


あー。ベッドに入ったらすぐ寝れそう。


ああ……


……


すやぁ






……むにむに。


ん? ……むにむに。


「わぉ。」


目を覚ましたらものすごい肉厚感が目の前に。

シルの胸って大きすぎて重そうなんだよねぇ。寝てる時でも苦しそうだし。


むにむに。

おお? 感度も良好。シルさんが気持ちよさそうです。

あ、寝てる時も下着着けてるんだ。そうだよねぇ。


「ちょっとレティ。何してるの?」


おおう。目が合いました。寝起きなのにそのぱっちり感。流石です。


「え? なんか気持ちよさそうだったからつい……。」

「ちょっ! (わたくし)が寝てる間に何やってるのよ!」


「ボクも気持ちよくてつい……。」

「もういいから! 起きて仕事の続きよ。」


「はぁい。」

「着替えながら報告して頂戴。」


あれ? そういえばこの部屋、ベッドはいっぱいあるのになんでシル、ボクと同じベッドで寝てたんだろ? ……もしかして寝ぼけてたのかな??

そ、それとも……ボクと一緒に寝たかったのかな!?


も、もうシルったら! 可愛いとこあるんだから!


「何にやけているの? 気持ち悪いわよ?」


……。


「はいはい。とりあえずロト国まで潜入してきた結果だよ。」

「……はぁ。ロトには潜入なんてしなくてもいけるのに。わざわざ危ない橋を渡らないで頂戴。」


「いいじゃん!予行演習だよ。予行演習! それにいい情報……じゃないな。悪い情報だって聞けたんだから!」

「悪い情報?」


ロト内にてモンスターパレードが認識されていること、そしてその規模が例年よりもかなり大きい事を聞いた限りで伝える。


「……はぁ。最悪を通り越して最悪ね。そんな規模のモンスターパレード過去起きたことなんてないはずなんだけど……今回の山越え侵攻といい、何か裏で繋がっていそうね。」

「そう見ておいた方がよさそうかもね。」


「レティ。ラインハート領の街へは寄ったのよね?」

「あ、うん。通っただけで特にどこにも寄ってないけど。」


「それでもいいわ。あそこの街にはラインハート家の別荘があるのだけれど、そこにこの書簡を届けてもらえる? モンスターパレードの情報は少しでも早く伝えたいの。」

「おっけぃ。ロトに戻るついでに寄っていけばいいね!」


「お願いね。」




外の時間は少し寝ていたのでもう朝と昼の間くらいの時間だろうか。

時計はここにないからわからないけど、太陽の位置からして大体9時か10時くらいかな?

疲れはある程度寝て取れたので、このままラインハート領に一度寄ってロトに戻ることにする。


ラインハート領の街テークライド。


ここはシルの家がある街ではないけど、色々な交通の間にある街なのでそれなりに大きい街だ。


街中で聞き込みをする必要も無くラインハート家の別荘はすぐにわかった。

なんと観光地のような案内がそこかしこに立っていたのだ。これなら迷うはずもなく、たどり着いたお屋敷ではいかにも執事さんという外見のおじいさんに迎えてもらった。


手紙にはシル特製の封蝋がしてあったので疑われる事もなく。

すんなりと渡して次はロトへ。


ロトの街並みや、観光なんかにも興味はあるけれど、今はそんなことをしている場合でもないのでそのまま街を出て南下。


そうするとエリュトスとの国境が見えてきた。

かなり厳重な武装兵が門番をしており、警戒兵が巡回しているのも見える。


見えた先から魔法で姿・音・気配をすべて消して忍び込む。

見えないとわかっていても怖いものがあるのは確かで、胸がバクバク言っているのが聞こえる。

音も聞こえないのだから聞かれるはずもないのだけれど、静かにして欲しい。




まぁ、通ってみればなんてこともなく。

ここからは魔法を掛けたままで動いていく。


自分ひとりに掛けている分には魔力量も減らないし問題はないしね。


目的地はグルーネとの国境にある大きな砦だ。

もう侵攻まで1ヶ月を切っている今、砦には相当数の兵隊が詰め掛けているはず。


さらに、少し離れた場所に町があり、そこでも兵士が戦争準備で待機しているらしい。

その2箇所の状況を確認して、シルに報告すればとりあえずの任務は完了だ。



砦を越えてエリュトスに入ると、すぐに地形が砂漠に変化した。

砂嵐が顔を襲って息がしづらい。


エリュトスは、その国土の大半がこんなような砂漠といった不毛の土地と化している。

そのため、他国への侵攻なくして未来がないのも確かな国なのだ。


まぁ、だからといって戦争がいいものだという気は毛頭ないけれど……。

確かに、この現状を見たら何もせずにいられないだろう。


ロトとグルーネとは本当に環境の辛さが段違いだ。

日照りもかなり強く感じるし、見る限り肌色一色。

オアシスのような水場もなく、これじゃあ農作物だって育たない。


なるほど。戦争をしたくてしているってわけでもないのかもしれないね。

しなければ後は日に日に干からびていく自分達を見ていくしかないから。


……う~ん。あんまし知りたくなかったかも。

戦争相手の背景なんて目の当たりにしてしまったら……。


今までは敵だからと割り切れた感情も、無条件でエリュトス人たちを嫌いになることができないと感じ初めてしまっている。


ただ、嫌いになった時には多分もう遅いのだけれど。




仕方ないのかもしれないけれど、それ以外の道だってあったはずなんだから。

砂嵐の中見えてきた砦を見つめながら、そんなことばかりを考えていた。








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