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遅刻はしませんでしたよ?

ご意見・ご評価・ご感想お待ちしております!

是非よろしくお願いします!

「今日から、諸君はここ魔法学園の生徒となる。

今年の入学者数は123名。そのほぼすべてが爵位を持った家系である。

つまり、今後この国は君たちを以って成長していくことだろう。


今年はとても珍しいことに、貴族籍を持たぬ子も入学しているが、それはとても素晴らしいことである。

そんな子が、我が国に出てきてくれていることをとても誇りに思う。


さて、これから君たちは3年間、この学び舎で色んなことを経験するだろう。

君たちは既に貴族学校までの教養を終えているため、この魔法学園では受けなければならない授業は存在しない。

つまり、なんでも受けられるし、何も受けないこともできる。

どんなことを経験するかは、君たち次第である。


ご存知の通り、ここ魔法学園には大きく3つの学科が存在する。

一つは騎士位の皆さんが目指すであろう兵科。

一つは専門を極める研究科。

そしてもう一つは魔法を扱う魔法科の3つ。


すべてを受けるのもいいだろう。

一つに絞るのも構わない。


これからの諸君の3年間が、有意義であることを。

そして君たちの未来に期待する」


ぱちぱちぱち……



学園長の長い話をかいつまむと、つまり授業はなんでも受け放題! ということね?

一人で図書館かよって勉強してきたボクにとっては天国じゃないか。


次は、新入生の挨拶があるらしい。


「新入生代表 アレキスウェルト・リア・グルーネ君」


ん? グルーネ?


「ねぇねぇシル、グルーネってことは、あの人王子様なの?」


グルーネとはこの国の名前。国の名前がついてるのは王族しかいないはずだった気がする。


「あら、知らなかったの? 袖にいらっしゃる在校生代表もアレク……様のお兄様の第一王子のリンク……様よ」

「ふーん。……アレク?……まぁ珍しい名前じゃないわよね?」

「ん? ああ、アレクっていうのは呼び名よ。アレキスウェルトって長いし言いづらいじゃない? 知ってる者や家族はアレクって呼ぶのよ」

「へぇ。シルは王子様と仲がいいの?」

「従兄弟ですもの。子供の頃から知っているわよ」


ああ、だからさっき2人の名前を紹介しながら様付けする時に少し抵抗のある言い方をしたんだね。きっと普段は呼び捨てなんじゃないかな。


「公爵家って何気にすごいのね」

「何気にってなによ」


王子様がこちらに向きなおし話し始める。

アレク……アレク……うーん似ている気がする。けど男の子の9歳と15歳ではとてもイメージが変わる。声も全然違うし、さすがにボクの知ってる子じゃない……よね?


「今年の同級生は、結構豪華なのよ? (わたくし)も公爵家の次期代表候補ですし、そのくらいの肩書きの方が多い年だといわれていますわ。レティはとてもラッキーね。色んな方と面識が作れるもの」


「う~~ん、最初に出会えたのがシルだったのは本当にラッキーだったけど、正直ボクみたいな平民の子がこんな貴族だらけの中に入ってったらね……。ほら……いじめられないかとか、心配しかないよ……」


「あら、貴族ばっかの中で勉強についていけないとは言わないのね。自信があるのはいいことですわ」

「そ、そんなんじゃないけどぉ……」


「それに、そういうことの無いよう配慮して私が同じ部屋にしたのですもの。さすがに次期代表候補の公爵令嬢である(わたくし)に泥を塗るような真似ができる方は、こんな貴族だらけの学園ではそうはいらっしゃいませんわ」




どうやらアレキ……なんとか様の挨拶が終わったらしく、袖にいたもう一人の王子様が出てきた。

つまり兄弟で挨拶しあってるのね。なんか面白いわ。


袖から出てきた王子が顔を上げると、顔中から脂汗が噴出した。

額の不快感がやばい。


いや、そんなことはどうでもいい。


……あの人、ボクが今朝突き飛ばした人だ。

王子様だったの?……え? ボクやばくない? 不敬罪とかで死刑とかなんない?

この式典終わったら連れ出されたりしない???


きょろきょろと辺りを見回してみるが、衛兵のような人が控えているようには見えない。


「どうしたの?」


急に焦りだしたボクにシルが声をかけてくれる。

相談してもいいものか。さっきの話じゃ、もしここでシルに切り捨てられたら、ボクはいじめられる可能性があるってことじゃん。


……しかし相談できるのはシルしかいないのも確か。


「そ、それがね……」


かくかくしかじかで……


「へぇ、入学1日目で王子様を押し倒すなんて、レティやるわね」


「シールゥゥ……」


ほんとに涙でてきた。


「冗談よ。別に学園で起きたハプニングなんて王子本人だってそんな気になんかしないわよ。悪意を持っていたわけでも、怪我させたわけでもないんだし」


「ほんと? 大丈夫かなぁ……」


「気になるなら後でもう一度謝っておけばいいのではなくて? 大体、武勇を売りにしてる第一王子が後ろから女の子に突っ込まれて押し倒されました! なんて恥ずかしくて誰にもいえないから大丈夫よ」


そ、そうなんだ。余計悪いことした気がしてきた。

今度会ったらもう一度謝っておこう。




どうやら第一王子様の話も終わったようだ。


……王子様の名前なんだっけ?……ま、後でシルに聞けばいっか。




入学の式典が終わると、午後からは貴族らしくパーティとなり、新入生は強制参加。

上級生が魔法やそれぞれの科の(すい)を凝らした出し物などをやってくれるらしい。


ボクは踊ったことなんてないから、パーティといえば食べるとか飲むとか食べるとかだ。


えへ。おいしいって素晴らしい! 期待に胸が膨らむね。


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