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はっ!?ボクはいつの間にか混乱していたようだ!

まずはシルに渡された指示書に記載されていたとおり、モノブーロ村からロカスエロまでの大通りに沿って意識を飛ばす。

転移スキルは発動せず、しかも直接ロカスエロ周辺に意識を飛ばすわけでもなく。通りに沿って景色を確認していくのだ。


初めての試みではあったけど、できそうではあった。

ものすごいスピードで景色が流れていく。

もう既に夜も遅く外灯なんてあるわけもない道沿いで、殆ど何も見えない中、何か動く物はないかと神経を尖らせながら進む。




結局、ロカスエロまで何事も無くたどり着いてしまった。

ロカスエロ周辺キャンプにも今の所異変は見当たらない。


ロカスエロ周辺に関しては、暗かったからわからなかったというわけではなく、もう夜だというのに、キャンプ地には煌々と炎の揺れる光がそこかしこから上がっており、その光の傍には飲食用の屋台が立ち並んでいた。


沢山の冒険者達が酒に酔って快活気に笑いあっている。

とても何かあった雰囲気ではない。

多分、まだ伝令も走っておらず、ギルド情報も入手していない為現在のこの状況を知らないのだろう。




見た光景をシルにそのまま報告する。


その後、いくつかのお使いをこなしに転移用の部屋を一つ貸しきりにしてもらい、学園とモノブーロ村を行き来した。



結論のところ、やはりロカスエロ周辺からのモンスター侵攻はなかったのだ。

ということは山脈からの侵攻と、ロカスエロ東部の森林部からの進行。


この2択に限られる。


そして、ロカスエロ東部の森林からというのは限りなく可能性は低いし、ゴブリンスタンピードの件を考慮するとなると……。


今まで一度もなかった、モンスターの山越え侵攻ということになるのだ。




なぜ山越え侵攻というものが、そこまでありえないとされてきたのか。

それは単純にモンスターの知能に由来する。


もちろんモンスターや魔獣だって、山に登らないわけではない。

行き場所をなくし、仕方なく山に登るしかないだとか、自然災害や仲間間での確執等、モンスターが山に行く理由は、基本的に”仕方なく”なのだ。

もちろん山の上を住処とするモンスターや魔獣だって存在するが、今回はそういう群れではないので、山に住むモンスターが爆発的に増えてしまったというわけでもない。


普通に考えてボクだって山をわざわざ登りたいだなんて思ったりしない。

なんていっても疲れるし、モンスターや魔獣からしたら食べ物だって少なくなる地域に、何故わざわざいかなきゃいけないのか?


そこに山があるから登るって?

そこに山があるなら避けるんだよ?




つまり、今回モンスターの大群がもし山を越えてきているのだとすれば、理由はただ一つ。

指揮者がいるのだ。モンスターの大群を自由に動かせるくらいには強力な。


しかも、今回のように山越えすればグルーネの守りが明らかに薄い事や、夏というこの時期が最悪に近いこと。こんな事を調べられるような頭を最低限持っているということになる。


そして、もしもこの時期が狙われた物だとすれば、これからどんどん最悪の事態が起きる事が予想されていく。


相手は明確な意思を持って侵攻してきているのだ。

それがただ単純に辛い山越えをして、ただ兵力を減らしにくるはずがない。

もし、できる事をしてきたのだとすれば、このタイミングでエリュトスにこの情報をリークするだろう。ボクだったらそうする。


毎年モンスターパレードの時期に合わせて侵攻してくる国があって、その時期がもうすぐとなれば、その国は戦争の準備を確実に進めているはず。


さらに最悪な想定は、モンスターパレードが今回の山越え侵攻とは全く別に、毎年恒例通り行われてしまうことだ。

そうなればグルーネ国は北側全域からモンスターパレードの侵攻、そして北西から謎のモンスター軍の山越え侵攻、さらにさらに東南東側からエリュトスとの戦争により攻められるという事態に陥る。


そうであれば先生達がボクと別れ際に、まだ時間がある。

と言った事にも頷けるんだよね。


山越え侵攻部隊は待っているのだ。

モンスターパレードを。

エリュトスの進軍を。



最悪の事態が頭に浮かんだ。


シルはここに呼び出され、少ない情報からここまでの事態を最悪だと想定して動いていたのだ。さすがの一言。


ならボクができることはシルの負担を軽くしてあげること。


特に、その3方向からの侵攻がもしも現実の事になってしまったら、どう考えても戦力的に間に合わない。2箇所まではどうにか抑えられても1箇所が抜けてしまうだろう。


でも1箇所でも抜けてしまえばおしまいだ。この国の未来は潰える事となる。


一つずつ確実に芽を潰していかなくてはいけない。




まず、ボクがすべき事。




それはここから一番遠いエリュトスへの遠征だ。


もちろん転移ルートを確保しておくという意味もあるけれど、一番欲しい情報はエリュトスの軍隊規模情報になる。

もしもモンスターの2箇所同時進行をエリュトスが把握していたのであれば、エリュトスの侵攻は例年通りのものとはならないだろう。


それこそ今回に全力を注いでくる可能性は大いにありえる。

全力とは言わずとも、最低限兵力は例年を越える規模になっているだろう。

それをまず確認しておかなくてはならない。


幸いといっていいのかわからないけれど、ボクはつい数日前まで400km短距離走という意味のわからないスパルタ訓練を受けていたところ。

つまり体力と筋力は数日前に比べて馬鹿みたいについている。


あれはウルさんあっての走り方だったけれど、ここにはイオネちゃんがいるのだ。

疲れまでは回復できずとも、体力は回復できる。



つまりボクの作戦はこうだ!


エリュトスを突っ切るまで全力で走りきる!!!


いじょ……


脳筋かっ!!




……いや、シルからこんな一大事だなんて紙を渡されてたものだから、テンションが振り切っちゃってたんだよ?


普通にエリュトスまで走りきるのは本当だけれど、一気に走るわけじゃない。

さっきシルがイオネちゃんを調合部屋に送っていたのは、このためなのだ。


ボクはエリュトス内部まで走りつつ、疲れたら転移でここまで戻ってくる。

そしてイオネちゃんに作って貰ったお薬と魔法で回復してもらい、転移でまた戻った場所まで戻り、さらに走る。


それを繰り返せば、救護兵を連れることなく、強行兵が1人で突貫できるという仕組みだよ。


あーこれに対して「名案だね!」なんて思った自分を呪いたい。

どう考えてもブラックな職場ですね。知ってました!


このままあの先生に師事してたらいつの日か黒が白に見えるんじゃないだろうか?



……なんかちょっと考え直した方がいいような気がしてきた……。




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