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おはよ~!朝だよ~!

「あれ? シル何してるの……?」


朝。


目を開けると、目の前にシルの寝顔が。


ちょっとドキッとしたじゃない。


寝てる顔可愛い。写真とか欲しいな。永久保存版だよこれ。

それができたら売れるんじゃない?

シルのファンとかいそうだし。我ながら名案だね。


そんなことを考えてたら、シルの目がぱっと開いた。


寝起きとは思えないくらいの覚醒速度だね……。


「……おはようレティ。起きたのなら離してくれる?」

「え?」


おお、シルが寂しくてボクの布団に入ってきたものだと思ってたけど、覆いかぶさっていたのはボクでした。もしかして昨日寝る時に布団の中に連れ込んだまま一緒に寝てくれたのかな?


「あ、ごめん。もしかして一晩中ボクの抱き枕になってくれてたの?」

(わたくし)もちゃんと寝てたから別にいいわ。」


「2人で寝てると暖かいね。」

「それは……否定しないわ。」


「じゃあ今度から一緒に寝ようか!」

「それは遠慮しておくわ。貴女寝ながら……まぁいいわ。」


ちょっと。そういう中途半端に言われるのって一番気になるじゃない!


「え!? ボク寝ながらなんかしてた?」

「気にしないで。」


「余計気になるよっ!!」

「時間はいいの?」


あ、こんなことしてたら4時半少し前だ。

準備もしてたら5時になってしまう。


気になるけど支度はしないと。

あの人たちならボクだけ置いて先に行きかねない。


昨日整備した防具を一通り着なおし、出発する。

今日は日曜だし、シルもゆっくりしているようだ。


「いってきま~す。」

「はい、いってらっしゃい。」




「ほ……本当に転移まで取ったのね……。ちょっと今日中にレティの配置に修正をいれておこうかしら。」










「おはよ~ございま~す……。」


寝起きドッキリかというくらいの声量で、昨日転移した場所へ戻ると、少し離れた空間にテントと焚き火が見えた。火はまだ燃えており、火と見張りの番をしている先生が炎の揺らめく明かりに照らされている。


「おう、きたか。お前も飲むか?」

「あ、うん。それなぁに?」


「ただのミルクだ。」

「あ、いいなぁ。欲しいかも。」


「ほれ。」

「ありがとう。」


……


いつもの講義前みたい。


最近は先生の研究室に、結構早い時間に行って。

もう待っててくれてる先生が朝ごはんを用意してくれている。


「うふふ。」

「なんだ突然笑い出して。きもちわりぃ。」


「ううん、なんかこんな所にいるのにいつもと変わらないなって思ったらおかしくなっちゃって。」

「ああ、いつもあたしの朝飯横取りしやがって」


「先生って意外と朝起きるの早いよね。」

「冒険者なんつー活動してりゃな。朝の日の出前には出発。日の出の頃にはクエストを開始してるくらいじゃなきゃ遅えんだよ。夜っつーのはどうしたって人間にゃ不利だ。明かりを必要とするって状況はハンデに他ならねぇんだからな。」


「メルさんは嫌そうだったけどね?」

「夜型の人間だっているさ。別にあたしが正解でメルが間違ってるなんざ思っちゃいねぇよ。」


「まぁ、確かに。夜は夜で動きやすいことだってあるもんね。」


2つ並んだ小さいテントのうち、片方がもぞもぞと動いている。

誰かは起きているのかな。


「あ、れてぃーしあちゃん。もう来てたの?」


顔を出したのはウルさんだった。


「ごめんね、これから朝食を作るの。すぐできるからまってて?」

「いえ、ゆっくりできるので全然……。むしろお手伝いしますか?」


「ううん、大丈夫だよ。それよりも、よかったらあると君とホーラントさんを起こしてあげてくれないかな?」


むむ、アルト様の寝起き? ちょっと見てみたいかも。




ウルさんが出てきた方ではない方のテントに入ると、大きな寝袋が2つ並んでいた。

2人とも顔がでていない。


寝袋に風除けだろうか?

フードのような物が付いており、顔まで隠れている。

困った。これではどちらがアルト様でどちらがホーラントさんなのか全然わからない。


まぁ別に、どっちを先に起こそうが関係ないんだけど……。

アルト様の寝顔をみたいというよりは、ぶっちゃけた話ホーラントさんの寝顔を見たくない。

だって……暑苦しそうじゃん?


体の大きさがあんなに違うのに、なんで大きさが同じ寝袋を使ってるのよ。

盛り上がり方もよくわからない。


ま、どっちでもいっか。はずれは50%だしね。


適当に近くの寝袋を開く。


「あーると様ーあっさだよー……おおぅ……」


なんでホーラントさん半笑いで寝てるのよ。


暑苦しいってか気持ち悪い物を朝から見てしまった。

開いた寝袋を乱暴に閉じる。


「ぐぬぅ……。」


もう一枚の方が正解らしい。


「あっるとっさまーあっさだ……。」


目が合った。


「……朝ですよー。」

「う、うん。」


「……なんで寝てないの?」

「いや、流石に人の気配がすれば起きるよ……?」


それなら起こされる前に起きてよ。

起こされるまで起きないとか、休みの日のパパか!


「さっき顔みたらホーラントさん起きてなかったよ?」

「いやぁ……流石におきてると思うけど……。」


すると、ホーラントさんの寝袋ががばっと起き上がり、フードが外れる。


にかっと笑う顔が気持ち悪い。


「きもっ。」


あ。これは素で口にでました。ごめんなさい。


「ぬ、ぬぅ……素で言われると普通に凹むのであるな……。」

「ま、まぁホーラントさんは女の子受けする方じゃないから……。」


「この筋肉の良さをわかって貰えないのは寂しいのであるな。」


筋肉の良さとかそういう問題じゃないんだよねー。

まぁ具体的に何がだめ?

とか聞かれても詳細に答えられるわけでもないし、別にいいか。


「ウルさんが朝食作ってくれるから、早く起きろだって。」

「おっけー。じゃあ着替えたら手伝いに行くね。」


「はーい。」


着替えると言うのならそそくさと退散しよう。

流石に着替えとか見てても何の得もないし。


後はメルさんだけだけど、起きるのかな?

朝弱そうな感じだったし、ウルさんはアルト様達を起してとは言ったけど、メルさんを起こしてとはいわなかったような。そもそも起こして起きるなら、ウルさんが自分で起こしてから出てくるか。


とりあえずウルさんの出てきたテントに入ってみると、2つの空の寝袋と、1つだけ中身の入った寝袋が敷いてある。もちろん、言わずもがなメルさんだよね。


ささっとフードをはずしてみるけど、メルさんは普通に寝てそうだ。

めっちゃ幸せそうな顔をしてるよ。なんかいたずらしたくなるよね。こういうの。


……んん?


寝袋から出ているのは、大体顔から出ていたとしても首の辺りまでなんだよ。

でも首辺りまででてれば、普通服の襟の部分が見えるんだけど……


ちょっと引っ張って覗いてみる。


「わぉ。」


こういう人の事を露出狂というのであって、ボクには相応しくないと心から思うんだよね。


いや、寝袋の下は何も着てないわけじゃ無かったよ?

ただ透け透けのうっすいランジェリー1枚だっただけで。


シルより薄いよ。


何も隠れてないし、何の暖かさもない気がするんだけど……。

一応これがメルさんなりの旅の配慮なのかな?

う~ん。緊急の時とかどうするんだろ……。


「……。」


ここまでやりたい放題しても起きないってどういう事??

今結構寝袋引っ張ったり、寝袋のチャック開けたり、ちょっと色んなところ触ってみたりしたのに、一向に起きる気配すらない。


メルさん、寝込みを襲われたら完全にアウトだよ……。


ふふふ。


魔法で3cm四方くらいの氷の塊を作り出す。


ふふ。首元から背中に滑らせてあげた。


「ひゃいんっ!! ……あひっ……」


ちょ、ちょっと!

いたずらしておいてなんだけど、変な声ださないでっ!


「な、何……? あひっ……」


まだどこかに引っかかってたのか、またメルさんが悲鳴を上げた。


メルさん……?

テント薄いんだから外まで聞こえるよ?

ボクが何してたのか疑われちゃうよ……。


「め、メルさん。ご飯だよ?」


まだ作ってる最中だろうけどね?


「……なんて起こし方するのよっ……。」

「起きなかったからつい……。」


「ついじゃないわよ。全く! 変なとこに入っちゃったせいで眠気が飛んじゃったじゃない。」


う~ん、それはボクの目的としては成功……なのかな?


なんだかんだ楽しかったからよしとしよう!




「なんだ。随分余裕あるじゃねぇか。昨日の疲れは残ってねぇみたいだな?」


先生とウルさんの下に戻ると、いたずらも大概にしとけよ? みたいな顔で先生がこちらを伺っていたんだけど、先生にだけは言われたくない。

まぁ先生もそれがわかってるのか言わなかったんだけどね。


ちっ。今度先生を起こしたりするときは魔法とスキルフル活用で気配消してってやろ。


あれ。……ボク、先生に似てきたりしてないよね?



う~ん。



複雑。




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