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愕然、唖然、呆然

2019年もよろしくお願いします。




地下都市


雲のない、翠色の空


○○ドームの何十倍も広くて、終わりがわからないほど遠くまでどこまでも続いているように見える。



「トリックアート館みたいだ」




1


押して開かず、引くノブもなし。

高所に見つけた鍵石。

どう開くか相談をしていると轟音とともに開く扉。




「まだ何もしてないけど?」




開いた扉の高い位置に大きな指が目に入る。


「まさか…」


開いた隙間からゆっくりと顔を出す、

20メートル近く高い位置に。



(巨人とかそういうのはどうしたら産まれるんでしょうねー…)



「セイ!!」



『ナニコレー、、』と見てる間、いつの間にかユーに抱えられていた。その直前に爆音がしたような、耳鳴りで何も聞こえないのはきっとそのせい。

何が起きたのか、すぐに察した。

先程までいた位置には大木のようなシルエットが突き刺さっているのが見える。



お供のひとりに連れてきた攻防型人形ユーに助けられた。

これまで危険がなかった油断、

ユーがいなかったら今頃ミンチになっていた。


ユーに抱えられての回避で10メートル程距離をとったが、ディオンたちはまだ巨大生物の近くにいる。


突然のこと過ぎて声も出ない。

街で知らない人物にすれ違い様殴られた時を思い出す。


『呆気にとられる』と言うヤツ。


暗くてよくわからないが巨大な人のシルエットなのは確か。


突き刺さった大木に見えるのは巨人の腕、

シンプルに潰しに来ていたようなその姿。


その近くにまだいるはずのディオンの姿が周囲に見えない。


「セイあぶなかった」


「ダあーっ!」


ディオン、ジー、ギーともに背後にいた。



「脅かすな!」


「扉の向こう、光ってる」



その方向、巨人が出てきた扉の向こうを見ると光が指している。


これまでになかった光景。


向こう側に行きたい、その前に目の前のデカブツと、

中にもそんなのばかりだとしたら


中になんて入れない。

なんて臆病になってるとネコサンが切り出す。

『中に街がある、街というよりも都市?』



「巨人だらけの?」

『アレはただの大型人形』


「人じゃなかったのか」

『中は普通じゃないけど普通』

「どっちだ!!」

『大量の人型と人形、不思議な建物、色々』


その巨人なドールは最初の一撃の姿勢のまま止まっている。


中が気になるがあのデカいのが動いたらと考えたら迂闊に近づけない。



扉の隙間と大型人形を交互に見て数分、

扉から人が出てきた。



確かに人だ。




2


「お前さんらコッチから来るなんざどこの所属だい?言語はコレで通じてる?」


出てきた人物は逆光で顔が見えないが渋めの声でこちらへ話しかけてきた。

男性っぽい、それと銃を構えているようなポーズに見えなくもない。


「言葉はわかりますが!所属ってのは何かわからない!こちら2人と1匹と3体、怪しい者じゃない!」


「怪しいモンかどうかはコッチで決めるよ。外じゃ暗くて顔もよく見えんから『中で話そう』って、こん中の偉い人が待ってるよ。両手あげてこっち来な。」



『従う?』

「しかないでしょう、デカいの操ってんのあの人だったらまたどうにもならないし」

『あの人は誠と同じ型、人形は動かせない』


???


「フツーのヒト!?」

ディオンが食いついた。


何もわからないよりは情報も欲しい、

両手をあげて近づいていく。



暗がりから扉向こうの光がさす方へ行き。

だんだん相手の様子が見えてくる。


銃を構えたオールバックの中年、歳は50代前後か。


「そのコワイの下ろしてもらえます??」


「小僧コレが何かわかるんか」


そう言って笑っている、銃をコワイと思うのは一般的ではないのか質問の意味がわからなかった、と言うか銃と言う文明のない国か何かと争いでもしてるんだろうか。


「アンタの後ろの3体のんがコイツの比にならんほど怖かろうが」


確かに構造のわかる銃なんかよりも何だかわからない人形のが遥かに怖い。

そういう意味だと解釈した。



「おしゃべりは中で落ち着いてからだ、そのまま少し待ってな。後ろの3体動かしてるのは嬢ちゃんか?妙な命令させるなよ。」


銃を下ろし服から出した板?に話しかけている。

この世界のスマホみたいなもんだろうか。



「こちら225西の壁外路から、ドームの回収要請!壊れちまったみたいだ。あと予見の客人とその連れ、人形3体そっちへ連れてくのに警護人とソルまわしてくれ」


(あのデカイの壊れて動かなくなったのか、…客人??)



それから程なく、明らかに異文化な衣装の方々が登場し囲まれ、内部へ連行された。



最初に出てきた中年男性だけ、フォーマルなスーツだったな。





3



「おお、アクション映画で見た外国の街みたいだ」


SF感のある都市を勝手に想像していただけに少し残念と言うか気が抜けた。



「黙って歩きな」

先頭にオールバック、スーツの中年紳士


その後ろについて歩き、左右後ろを数人に囲まれて行進している。


この街の住人の視線を感じる。

自意識過剰とかでなく、こんな連行されてたらきっとみんな見る。


他人に無関心な大都会でなければみんな見る。



街並みは普通、

通りには人が行き交い、日常な風景。

ただ、周りを囲んでる方々もこの街に住んでるだろう方々も服装が独特、異文化的と言うか、神話的と言うか。

古代なんちゃら帝国のような。

スーツの紳士だけ普通すぎて逆に特別感がある。



今日までのナンヤカンヤが普通じゃなかっただけに。

不思議な感覚。



そして、迎えてくれたのは


「コイツに乗ってく、ソルキャリーって言う…アンタにわかるように言うなら馬車とかタクシーみたいなもんだ」


タクシー…?

馬車っぽいナニか…ではある。

馬のいる部分が馬ではない何か。

四足歩行な動物なのはわかるが、見たことのない。

全身に鳥のような羽、顔には嘴。

四足の他に手と思われるモノがある。


それも驚きだがそれよりもその後ろの四角い荷台には車輪等無く、浮いている。


奇妙すぎて言葉が出ない。


スーツの紳士はその荷台に上がり奇妙な動物を背に腰掛ける。


「早く上がりな」




乗る。


ディオンを引っ張り上げる。

荷台の空間は二畳より広く三畳より狭い。

人サイズなら余裕はあるが、2m3mな人形のスペースはない。



「人形たちは…」



「すまんがどうにかして全員乗せてくれ、客ったのに慣れてないもんだから、気が利かんでこんな狭いもん用意しやがって」



俺とギーが向かい合わせに、スーツの紳士と向かい合わせにジーが乗り、ジーの腕にディオンとユー。



結構狭い。



馬車のようなものは自転車より速い程度の速度で走り出した。


行き先、不明。





4



「自己紹介は城についたらしてやるよ」


そう言ったあと中年紳士は寝た。






「ディオン、空と人を見た感想は?」

「普通?」


「こんな色の空は見たことなくて俺はいま普通じゃない」

「そう?」



もっと喜んではしゃぐものかと思ってたが反応が薄すぎて会話は続かなかった。

ディオンはもともと話す方でもないし緊張しているんだと思った。



それからネコサン体内時計で約55分。



城、到着。


城と言うより、断崖に築かれた要塞。


中へ案内される。



入ってすぐの広間はホテルの広間のような造り。

男の後をついていき、その先にあったのはエレベーター。


男と俺たちが入っても先の荷台よりも広い。

ボタン類はなく、通信に使っていたと思われる板を取り出し壁にかざすとエレベーターは動き出し上へと動き出した。


数十秒、エレベーターの扉は開き豪華な部屋へと出る。

通路はなくいきなり部屋だ。



なんて豪快な造りなんだろうか。



見覚えのある風景、側面には人形が並び立ち、ロッキングチェア。


違うのは広さと明るさ。

装飾品の数々。


ド派手で寝心地もよさそうなベッド。


空、街がよく見えるバルコニー。



そこに、翅のある人。


金髪に白い肌、金の瞳、天使っぽい天使。




「ディア4へようこそ〜、幾番目かの妹とそのパートナー!待ってないけど待ってたわ!アタシはルーニー、そこの彼はロバート、たぶんアタシのパートナー!ヨロシク〜!」


ご陽気なテンションにナイスな笑顔で手を振る天使。


天使は半裸と言う、ほぼ全裸だ。





また、声も出ない。






JCG 004 愕然、唖然、呆然




まいどここまでありがとうございます。


専門用語?


ソルキャリー?

タクシーみたいなやつらしいです。


巨大人形はドームって呼ばれてました。


何故壊れたのか?

ユーが誠ちゃんを助けると同時に破壊したんだと思います。きっと。


中年紳士のロバートについて?

そうです、彼が変なおじさんで…はないです。

察しのいい人は想像してるとおりだと思います。


ディオンのテンションの低さは…次回わかります。

たぶん。



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