超常生命
突然ですが、 得体の知れないモノがいちばん【怖い】
目に見えないものだったり、見えたとしても異形のものだったり、形容できないもの?とか。
その現象やら生物に名前をつけたり、
何かしら理由をつけるとそれだけで認識が変わるんです。
現実界であったことで、たしか90年代にあった
【心霊現象かと思ったらダムの超低周波振動でした事件】
とか、…それはまた別例だけど。
わからない事象を突き詰めて名前や理由をつけることで得体のわからない怖さは、それが【有害か無害か】へ変化すると考えられます。
有害なら怖い、無害なら幸福の超常現象。
得体がしれなくても無害な上に幸福になれると伝えられている例として座敷童子さんとか。
未確認生物、未確認物体、何かわからなくても【未確認○○】とするたけで関心の示し方が変わる。
ゴースト、デビル、モンスター、エイリアン、ヒバゴン。
ポルターガイスト。その他色々。
見えないものから見えてるものまで
怪奇現象には名前をつけてあげると、
正体がわからなくてもざっくりできる。
「アレは何だ!!」
「鳥か!?飛行機か!?」
「いやいや、ありゃフライングヒューマノイドだよ」
「なんだフライングヒューマノイドかー」
ざっくり…。
そのフライングヒューマノイドって何なんだよ!
「ご馳走」
無表情だが目を輝かせ喜ぶ姿が可愛い。
テーブル中央にひと皿、そこには照明のせいもあり毒々しい藤色に見える栄養食のような煎餅のような不思議な形状の何かが皿の上に2つ。
ひとり1つと言うことだろう。
これがご馳走とは…期待せずにいたほうがよかった。
異国か異星か異世界か、どこかもわからない現状、期待せずにいたほうがよかった!!
こんな毒々しいバーを前に、はしゃぐしぐさも可愛らしい。
1
窓一つ無い広く薄暗い空間、
天井と壁の光鉱石だけが室内を照らす。
真っ暗闇の中、光の集まっている部分は壁か天井。
闇の中、無秩序に点在する光る部分は空に浮いているかのようにも見える。
発光バクテリアのような、幻想的に美しい光色。
室内には石造りのベッド、テーブル、椅子。
不気味で美しい数十体の人形。
石造りのロッキングチェアにもたれる女の子がひとり。
肌は淡い菫色、深い緑の長髪。
一枚布のドレスを纏い神々しく美しく。
10000時間近くに及ぶ儀式を終えた少女の休息。
彼女の腕には【アメーバ】のような生物が巻き付き、うねるように動く。
休む彼女の目蓋に重なる。
ここにいるのはまるで人形のような少女とアメーバのような生物と人形。
このアメーバ【超古代生物】
人が人型になる前、魚や他の生物の祖。
形状の進化をせずそのままの姿で数十億年生きている。らしい。
目、鼻、口、耳、顔はなく、手足もない、蛇やナマコのようでそうではない。
女の子は見た目は少女のままだが、この空間での生活時間は地球プロト時間で140年を超えている。
この空間は閉ざされた地下深い世界。
この空間での生活。
彼女は昼の明るさ、夜の寒さを知識でしか知らない。
古代生物の能力、テレパシー的コミュニケーションで何百時間の暇な時間【昼と夜の事】【生きる人間の文明】等、様々な事を教えられきた。
昼と夜がある世界、あたたかい食事。
生命体の交流、口から言葉を発し合うコミュニケーション。過去の文明。
【星が輝く夜の空】
憧れるモノ、興味を惹かれないものはない。
彼女のはその話が好きだった。
そしてアメーバ生物に願い頼んだ。
「人に会いたい」
「大地を見たい」
彼女の指示で室内の人形たちは動き世話をしてくれる。
しかし人形は喋らない。
ここには地平線も水平線もない。
星の輝く空もない。
奇しく美しい、部屋も少女も人形も。
奇妙なアメーバも美しい。
それよりも美しいだろう彼方の世界に憧れる。
古代生物は彼女の願いのために時空をこえて…。
2
2088 ディオン
それがわたしのナンバーと個別名称。
不思議な生き物は「ネコサン」
昔々、呼び方に困り名付けた。
特に意味はなく思いついた。
たくさんいる人形たちと違いわたしの命令、指示なしで動く生き物だったから名前をつけて呼ぶようになった。
ネコサンは寝ている時は冷たく硬くなる。
腕に巻き付かれたまま眠られると起きるまで腕が動かせず、無理やり動くと起こしてしまう。
そして機嫌をそこねる。
寝ている時は起こさない。
寝る時は離れる、巻き付かない。ルール。
たまにひんやり感が気持ちいいから頭に乗せる。
起こさないようにそっと。
ネコサンはわたしの生まれたときから側にいるらしい。
わたしとは全く違うつくりのモノ。
ネコサンの思考は頭に伝わってくる。
そして、言葉を学び、歴史を学び、
世話をしてくれる人形たちに育てられてた。
この空間のずっと上には大地と言うものがあると言う。
広くて美しい世界。
かつては多くの生き物がいた空間。
さらにその上には空と言う空間があり、光のある時は澄んだ青をしていて、闇に覆われた時はその闇に数え切れないほどの星という光があると言う。
「昼の青空」「夜の星空」そう言うらしい。
0001 から 2087 の姉たちがいて、
二千を超える私の姉たちは上の世界、《大地》へ旅立っていった。とネコサンは教えてくれた。
姉たちはあり、私にはない『翅』で上の世界へ行ったらしい。
この部屋のいくつか隣の部屋には天井らしき部分のない、どこまで続くかわからない上方にのびる部屋がある、きっと物凄く高く上まで続いている。
側面に光石が無秩序にある、別室の天井のように密集しておらず闇の中にところどころあるそれは私にとっての「星空」
どのくらいの距離があるのか、まっすぐな穴なのかもわからない。
光の射す昼と言う時間があったとしてもその光さえ届かない程にここが深い地下なのか、ただの縦穴でなく複雑な構造なのかもわからない。
ネコサンから聞いてわかる事は姉たちは皆ここから地上へ旅立っていった。
私の前の2087は生まれてすぐに私たちの生まれる機械を破壊し旅立った。
しかし完全に壊れていなかった壊れかけの装置から生まれたのが翅のないわたし。
その後、瓦礫の下敷になりながらもその装置はまだ動いている。
2089が製造されているかは不明。
なぜ装置を破壊していったのか、それもわからない。
わからないことだらけ。
この空間のまた別の部屋にはどこに続くかわからない通路への扉がある。
その道を行けば翅がなくても別のどこかへ行けるかもしれない。
しかし、その扉は開かない。
その扉は他の天井や壁の光石と違い紅く光り、その先は危険そうな雰囲気。
直感的に。
大地を見たいわたしの願いに対するネコサンの提案、
『跳べる個体をここに召喚して上へ連れて行ってもらう』
そして、
ネコサンは寝ている間に何か特殊な能力で跳べる個体を探してた。
長い捜索の末に、
ネコサンの1億年以上前の知り合いを見つけてくれた。
ウトウトしている今からだいたい9000時間くらい前。
それから召喚の儀式。
ネコサンと人形に手伝ってもらって。
儀式は成功。
いまは椅子にもたれて、
そう。
ウトウトしてる。
とても眠い。だるい。
ベッドには人形と違う人型が横になっている。
翅持ちなわたしの姉ではない。
儀式により召喚された人型。
わたしと同じで呼吸をしてる人型、だけど、
この人型、翅ないよ…ネコサン…。
しかし、翅がないということはつまり
『願いのひとつが叶った』
これがホンモノの人なんだ。
3
嫌な夢から覚めた。そんな、気分。
ホテルの自室ではない。
嫌な夢は夢ではなかった。
真っ暗な中に不気味に視界に入った青白い能面。
そこまで思い出した。
目が渇き、頭が痛い。
いまは真っ暗ではない。
天井に蛍がたくさんいる?ような、けど光り方が違う。
強くなったり弱くなったりせず、何より動かない。
金縛りはとけている。
左右確認、意識を失う前に見た青白い顔はない。
右手で瞼をおさえ眼球を動かす、上下左右、
筋肉の動きを確認するそして
手を離しつつ瞼を開く。
不思議な翆色に光る天井。
自室ではないが夢でもない、
テレビで見た外国の地下洞窟のような景色。
背中が冷たい、硬い、痛い、体を起こしてみる。
薄暗くてわからないが横になっていたベッド?はおそらく平らな石。
そりゃ背中も痛くなる。
目が慣れてくると色々見えてくる。
さっき見た能面は、あの中のひとつだ。
たくさんならんでいる。
不気味な大量の人形。
大きさは1メートルくらいのものから3メートルを超えていそうなものまで。
シンプルな外見。
デッサン人形のような。
そうでないような。
暗くてよかは見えないが、基本骨格とそれを繋ぐゴム?か何か、人体解剖図のような球体関節人形のような。
血管や筋肉の繊維等は見えないが皮膚を剥いだ人、そういう印象のデザイン。
顔はそれぞれ微妙に異なっている。
あの中のどれかがさっき青白く光っていたんだと思われる。
泡は吹かなかったと思うけど、気絶もするよあんなの。
優先的にはここがどこなのか知りたい。
「ーーーーーーーー」
背後から声をかけられ驚き石づくりのベッドから落ちる、床もまたカタイ石だことで。
おもいきり腰を打った。
聴きなれないと言うか、聴きとれないと言うか、そんな言葉。
その正体は、女の子とヘビ?
こちらに話かけているのはわかってるが、言葉がわからない。身振り手振りで言葉がわからないことを伝えようとするがそれはどんなジェスチャーをしたらいいのかわからなかった。
きっとものすごく間抜けな感じになってる。
「言葉が!わからない!だから!ちょっと待った!」
と区切りごとに自分でも意味不明なジェスチャーを交え、待った!のポーズ。
間髪を入れず女の子の腕に巻き付いていたヘビが左腕に絡んできた。
直後、左腕から強烈な電気ショック。
ヘビは左腕から頭に移動、その間続く激しい電気ショック。
言葉にならない声を発してー。
「あ、また寝ちゃった…」
気を失う直前、冷静な女性の声が聞こえた。
4
さっきと同じ、瞼を開けたら翆の天井。
また、気絶したんだな。
なかなかの電気ショックだった、さっきの。
以前、壊れたカジノマシンの修理中に感電したあの感覚の凄い版って感じだった。
こめかみをおさえる。
「あたま、いてぇ…」
「起きた?」
声に反応し、俊敏に飛び起き身構えた。
もう油断しない。
ってかここは地獄の何丁目だ…。
俺はいっぺん死んだのか!?
さっきと同じ女の子だ、けど聴きとれた。
「言葉わかるのか?」
石のベッドに半身隠しながら質問。
「わかるようになったのはあなたのほう」
おう、意味がわからない。
女の子は俺の左腕を指差し、
「ネコサン、説明、説明」
気づかなかったがまださっきのヘビが巻きついていた。
咄嗟に振り払おうとしたが頭上まで這い上がって、
そして何かが頭の中に響く。
感電のような痺れとともに何かが見える、
この生き物の視点からのものなのかそんな映像や
彼女がこの生き物に語りかける声。
そして彼女が行う黒魔術的事をしている様子。
かくかくしかじか、メルヒェン。
この女の子に召喚というマジカルな事をされ、ここは謎の地下空間。今に至る事がわかった。
科学では解明されてない不思議、バンザイ。
だが、
「ゴメンと謝るのもおかしいんだけど、俺にはそのハネもないし、飛べないし、その生き物のことも知らないんだけど…」
「一億年以上前の知り合い。とネコサンが言ってる」
「過去1年の怪現象の正体はこの召喚のためのものってことでOK?」
「…たぶん、…そうかも。儀式の影響かも。わからない。」
首を傾げつつ。
「で、もとの場所に帰りたいと言ったら帰れる?」
「きっと帰れる…とネコサンが言ってる」
きっと…
帰れない気しかしない。
2年前まで冒険家みたいな放浪生活してた身。
現実だけど知らない世界にいるってファンタジー。
楽しもう。
適応力の高さは主人公に大事な要素だ。
ある日突然妖精なり喋るメカなりと出会って変身したり巨大ロボのパイロットになったりして世界征服を目論むのになぜか地域密着型な悪の組織と闘うことになるがなんの疑問も持たず流されるヒーローのように、俺もとりあえず流されよう。
小5の頃まで憧れてた事だ。
将来の夢は【正義の味方】
「優先的にはそのどんだけ上にあるかわからない地上をめざせばいいって事でOK?」
「OK!」
無表情っぽいが親指をぐっと立て、ナイスなポーズだ。
このポーズは異世界共通なのだろうか。
可愛い。
ここが地下、目的は地上への到達。
上を目指す方法、
この別の部屋からどこまで続くかわからない真っ暗な上へ飛ぶ。
俺は飛べない。
紅く光る怪しい扉を無理やり開けてその先へ進む。
こっちしか選択肢がない。
どんな不思議にあっても抜群の適応力で切り抜ける、
漫画やアニメの主人公なら誰でもできる主人公伝統芸だ。
小中学生の主人公にもできることくらい、俺にもできる。根拠もない謎の自信が湧いてきた。
魔術で召喚されたんなら空を飛ぶ魔法くらいあったり、ここへの召喚特典で何か特殊な能力が付与されていたりしてるんじゃないかなど瞬時に考える。
状況がわかったようでわからない中、腹の虫が鳴く。
「とりあえず何か食いながら自己紹介でもして上へ行く方法を考えよう」
「OK!」
ビッと親指を立てて得意気な表情。
『OK』以外の返事はないが表情が少し変わった気がする。
俺の流されるままはとりあえずそれでいい。
まず情報。
ここがどこか、過去ではなさそうだから、未来か異世界か異星か、それ以外か。
状況の把握を最優先、色々聞きたいことしかない。
彼女は人形の群れに何かを告げると数体が動き出した。
「今日はご馳走もってきてもらうから期待して」
こんな地下世界のご馳走、どんなもんなのか。
心躍る。
しかし、この期待は見事に裏切られた。
「…アッポォ」
これは本当に食べ物…なのか?
JCG 002 超古代生物と超地下空間と出会いとご馳走
いやあ、書物って本当に難しいですね〜。
伝えたい情報量が多いのにそれをどうしたらいいのかがまだまださっぱり。
徐々にね、上手くなっていけたらと頑張ります。