地下探索(3)
「はいっ!! お兄っ!! 質問があります。良いですかっ!!」
唐突にそんな事を言い出す。物凄く無駄に元気いっぱいだ。
「今度は何が聞きたいんだ? あー、後な、俺は先生じゃ無いぞ?」
何だかそんな気分になるのだ。
「どーして鎌使わないの? 武器あった方が良いと思うんだけど。」
「あぁ、そんな事か。」
確かに不思議ではあるのだろう。普通の感性であれば人間は弱く脆い。その為、武器を持つ=存在として強い、みたいな構図が出来ているからな。酷い偏見なのだが………。
「何故俺が武器を持ち歩かないのかだが、単純に武器がデカ過ぎるから、だ。鎌は屋内での取り回しの悪さが極まっているからな。鎌以外にも長獲物であれば大概は等しく同じ事が言える。ここまで良いか?」
ちょっと長くなるから、区切りつつ説明するとしよう。
「ほほぉ~、なるほどぉ。つまり振り回せないと…。じゃーさ、アニメとかだと剣とか普通に振り回すけど、あれは駄目なんだ?」
「そういう事になるな。閉鎖空間で動きが制限される上に満足に振れないからな。基本的に長獲物は先端に威力が乗るから、満足に振れない状態は逆に自身の隙に繋がり、弱点を晒す事になる。アニメは平然と振り回しているが、現実離れしているから間に受けるな。」
現実は何時も虚しいものだ……。
「ただ、“突く”動作は別だぞ? あれは閉所では、リーチの差でアドバンテージが得られるし、単純な動作な分行動に自由度が得られるし、行動を実行する際も速い。その分対策も取り易いが…。」
完全に点で攻めるせいで、相手より速度で優ればほぼ無力化出来る。間合いの内側の入るのも有りだな。専守防衛で体力を削るのも有りだ。
「…ふんふん。対策は後で聞くとして、結局の所、屋内に向いた武器っていうのは、反対の短い武器って事?」
「そういう事だな。だからナイフ持たせてるだろ? ナイフならば十分に“突く・切る”という動作が出来るだろ。出来る動作が増えるという事は取れる行動・選択肢が増える事に繋がる。十全な行動を取れるという事は隙を無くし、弱点を補う事に繋がる。隙を無くし、弱点をカバー出来れば、損傷を小さくし生存率を高める。ここまで良いか?」
「うん。詰まり、屋内では動き易い方が有利って事だよね。それならナイフじゃ無くても警棒みたいなヤツの方が有利な気がする。」
顔を伏せつつ思案顔。
「一概に全てがそうとは限らないが、そうなる。“打つ・突く”動きが出来る棍・短杖はアドバンテージを取り易い。DOT面では兎に角優秀で短期制圧に向いている。」
「即効性があるってことだね。“打つ・突く”動きで部位破壊と行動の自由度を持ちつつ、刃物とは違い防御もし易い。とユーことだっ!!」
ズビシッ!! と音が付きそうなドヤ顔だ。
「良く出来たな。反対にナイフはどうだ?」
「遅効性がある。“切る・突く”動きで出血を強いつつ、俊敏性を損なわない!!」
「そうなる。ただ、出血は意識して止血出来る為、基本オマケ程度にしておく。一撃離脱を基本戦術とし、相手を出血と疲労で削るのが堅実だ。」
「なるほどっ!! 参考にします!!!」
ムフーッ!! と擬音が出そうだ。気合いが有るのはいいが、囚われ過ぎない様に注意しておく。
「あくまでも参考程度にしておけよ? 今の説明が全てでは無いし、絶対でも無い。要は時や場所、状況に応じて最適化する事が大切だぞ。」
「分かった。固定観念に囚われず経験を積む事、だね。」
中々理解が早く助かるが、早すぎないか?元々極度のコミュ症で自宅警備員なんだが…。
「ところで、一番聞きたいことが未だだった。聞いていい?」
「? なんだ?」
何だか嫌な予感が…………。
「何で取り回しの悪い“大鎌”なんて使ってるの? 剣とか刀とかの方が良くない?」
………………ゴフッ!?
胸を抑え膝を付く。
(だ、大丈夫だ。傷は浅いぞ、俺。)
「わざわざ無手で戦わなくても良くない? 危ないし、武術習った訳でも無いのに…。」
ガハァッ!?
致命傷かもしれない。メディィィック!!
(お兄ちゃん、ちょーー可愛いよぉ♡)
「ん、んん、ぅん。………それで、何か理由あるの?」
おぉ、神よ。何故斯様な試練を御与えに成るのか。
幾ばくも無く御身の御元に征くやもしれません………。
「…り、理由はある。後で説明するから、今は探索に集中しようか。」
「うん、分かった。」(お兄ちゃん、膝プルプルしてる。可愛いよぉ♡ 襲っていいかなぁ♡)
………神よ、御身の御元へと導き給え。
あぁ、俺、無神論者だったわ………………。
続・説明回だょ!!
飽きずに読み続けてね?
by.優




