再来
取り敢えず、警戒を最低限にする。同時に意識も通常の状態に完全に戻る。そして、
「申し訳ありませんでした。」
隊長さんに振り返り頭を下げる。流石に許されないだろうが取り敢えず謝るのが道理だろう。問答無用で殺そうとしたのだから。
「良いって事よ。お互い様だろ? 俺だって同じだ。頭上げてくれ。今の状況じゃ仕方ない。」
少し掠れた快活な声だ。
「な? 頭上げてくれ。お互い無事だった。誤解も解けた。それで良いだろ?」
以外と懐の深い人みたいだ。こんな状況だからこそ人の本性が出やすい。そして冷静じゃ無い。だが、この人はそうじゃ無い。落ち着いているし、襲われた事に対しても普通だと言って退けた。本心からそう思っている様でもある。
「分かった。だが、問答無用で襲い掛かったのは事実だ。謝罪はさせて欲しい。申し訳無い。」
「おぅ。まぁ、俺でも同じ事するだろうからな。あんま気にすんな。正しい選択だ。」
僅かも揺らがない。これでも観察には自信がある。敢えて素の口調で話したのだが、それでも揺らがない。普通ならば僅かなりとも反応がある筈だ。どれだけ取り繕っても必ず反応は表面に出て来る。それが本心という物で、感情という物だ。つまり、この言葉も、態度もほぼ本心からのものとなる。
「感謝する。」
しっかりと頭を下げた。それが礼儀だ。
「リュウドウだ、よろしくな。中々なもんだったぜ?」
笑って握手求めてくる。
「宜しく頼む。そちらこそ、てっきり人外なのかと思った程だ。」
しっかり応じさせて貰った。ひでぇな、と眼を眇められた。笑みは変わらない。握る手の強さ、言葉遣い、態度、雰囲気、全てが変わらない。信用出来そうだ。
「言葉遣い等はこのままでいいか? 正せと言うならそうするが。」
もうひと押ししてみる。
「こんな状況だ。言葉遣い程度に気ぃ配ってる余裕なんかねぇよ。固っ苦しいのは面倒だ。寧ろ普通に接してくれ。気が滅入る。」
心底嫌そうだ。完全に本心だ。
「ならばそうさせて貰う。此方もその方が楽だ。」
妹も問題ないようだ。
「取り敢えず移動しませんか? 何時までも此処で話して居るのは危険でしょう。」
確かにその通りだ。
「私達が前を、そちらが後ろで宜しいですか?」
驚いた。普通そこまでしない。
「良いのか、素人で初対面だか?」
俺なら無理だ。適当な理由をつけて後ろを持つ。
「素人? まぁ、問題ありません。後ろをお願いします。一応私も警戒はします。必要無いと思いますが。」
任されてしまった。
「了解した。武道館を調べたいのでそちらに行って欲しい。」
「場所が分からないのですが案内出来ますか?」
移動を開始する。
「問題無い。一応此処の学生だった。所でそちらは体育館側から来た様だが、人は見掛けたか?」
「西側からここまで来ましたが、お二人以外見ていません。そちらは?」
「取り敢えず、彼処に見える建物に行く。それと此方も二人以外は謎現象以外見ていない。」
移動しながら最低限の情報を共有し、直ぐに武道館に着いた。当然の如く誰も居ない。




