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トランスジェンダーの日常

とあるTSの自分語り

性別変えたい人って何を考えてるのかの一例を綴ってみましたw


もしよろしければ見てやって下さい。

 トランスジェンダーと言う言葉を知っていますか?

簡単に書くと、生まれた時の性別では無く、違う方の性別として生きている人の事だ。


 トランスジェンダーと言っても実は色々な種類がある。

望みの性別の服装をして、その間だけ望みの性別でいるパターンを【トランスベスタイト】。

手術までは望まないが、社会的に望みの性別で生活したいパターンやを【トランスジェンダー】。

ホルモン治療や手術をして、身体的にも社会的にも望みの性別になりたいパターンを【トランスセクシャル】。

一般的にこれら全てを含めてトランスジェンダーと呼ばれている。


このうち、トランスベスタイトは自身の心の性別と体の性別が同じ異性装が好きな人もいれば、心の性別と体の性別が別だが、何らかの理由があったりそこまで自身に違和感を持っていないと言う人もいる。


 ちなみに、私は【トランスセクシャル】だ。

ココで補足として、男から女になる事をMtF(Male to Female)、女から男になることをFtM(Female to Male)という。

他にも性自認が男でも女でもない『Xジェンダー』というのがあり、MtXやFtXがあるのだが、それは割愛させてもらう。


 私は生まれた時のカラダは男だが、自身のカラダに対して強い違和感を感じており、大人のカラダに成長するにつれてそのズレが大きくなり、耐え難い苦痛を感じていた。

また、小さいころからセーラームーンになりたいと思っていて、なんで私は男のカラダなんだろうと疑問に思っていた。

小学生の低学年だったが、いつかこの体が女のカラダになるとずっと夢見てきたw


いつか割れ目が出来て来るんじゃないか?

実は半陰陽じゃないか?

バストマッサージすれば胸が大きくなるんじゃないか?

男性のアレを切り落とせばいいのか?

事故でアレだけ無くせば、仕方なく女性の形にしてもらえるんじゃないだろうか?

等々、本当にバカな事ばかり考えていた。


 でも現実はそんな小説のように簡単にカラダが変わることは無い。

どんどん毛深くなり、骨格もガッシリして、声も低くなる。

男性ホルモンの影響でどんなに抗っていても男臭いカラダになっていく…。


耐え難い恐怖だった。


私は男性ホルモンが強い方だったのだろう…。

男性的な性欲も強く、不快だった。

性欲が強くなった時は、凄く憂鬱だった。


そんな違和感をずっと持ち続けてきた。



 ココで話を少し変えよう。



 昔から、それは小学生の頃からだ。

私は当時、ニューハーフと呼ばれる人に憧れていた。

当時の私はニューハーフが職業を表すことだとは知らなかった。

多分、体を手術して男から女になれるということだけ注目していたのかもしれない。

だから、ニューハーフは手術をして男から女になった人だと思っていた。

 ※ニューハーフは職業の事で、生物学的には男性なのに女性の恰好や仕草を売りにして水商売や風俗店に従事する人を示す俗称である。(wikipediaより抜粋)


 私は小さなころから手術を認識し、この先私自身が受ける可能性があることも考えていた。

だからだろう。

インターネットが普及し始めた1998年頃の中学生の時には、ネットを通じてホルモン治療の事まで知っていたのだ。


 だが、30歳を過ぎるまでホルモン治療をすることは無かった。

怖かったのだ。


 ホルモン治療には当然リスクがある。

精神が不安定になる。

一生続けていかなくてはならない。

女性ホルモンを投与する場合、血栓症のリスクが増える。

乳がんの発症率も女性並みに上がる。

精子を作る能力が完全になくなり、戻らない。

等々…。

ホルモン治療を始めることは、不可逆な治療であり、子孫を残す機能を完全になくす必要がある。


 私は自信がなかった。

大人になるにつれ、カラダの違和感は常に持ち続けていたが、精神的にも成熟することで、この思いが本物なのかどうかを疑うようになっていた。

男性的な性欲からくる、女性化願望なのではないか?

女装するのが好きなだけなのではないだろうか?

女性が好きだから女性になりたいだけなのではないだろうか?

こんなことを考えていた。


 また、ホルモン治療を始めたとして、その場合は親に孫を見せてあげることが出来なくなってしまう。

それが申し訳なく感じていたし、私自身も子供が欲しかった。

それに、もし私が性同一性障害(GID)ではなかった場合、単純に生殖能力を壊すだけなのだから。


 ずっと葛藤していた。

20代の頃は、生殖能力を壊さない範囲で何かできないかとバストアップサプリを飲んでいた。

家の中だけで女装をして、心の安定を保っていた。


 だが、30歳の時に一度事故を起こし、もしあと数センチ違えば死んでいたと思う出来事があった。

幸い、軽い打ち身で済んだが、この後に気付いたのだ。

このまま男として死んだら絶対後悔する…と。


 そこからはGIDの診断を受けることよりも先に、ホルモン治療を独断で始めた。

3ヵ月経つと少しだけ胸が膨らみ、性欲が激減した。

6ヵ月経つと精子は作られなくなり、男性的な性欲も無くなった。

男性機能が無くなったのだ!

その時、心の底から嬉しかった。

男性的な性欲が減っていくのも嬉しかったが、もう男性ホルモンが減ってきていることに安心したのだ。


 その時になってやっと確信を持てた。

私はやはり男で生きるのが嫌だった、性自認が女で合ってたんだ!…と。


 だが、新しい問題が発生した。

え、カミングアウトとかどうしよう…。

そもそも、周りは全員男としか思っていないし、私の見た目はただのデブでガッシリしたオッサンだ…。

生来のアトピーのためお肌はボロボロで色も赤黒いし、何よりどう頑張ってもゴリラだろう。

女として生きていくことは不可能なんじゃないのか?


 トランスジェンダーには何通りかの生き方がある。

だが大きく分けると2通りだろう。

周りにオープンに生きていくのか、誰も知られないように生きていくのか。

後者はクローズドとか埋没とか言われている生き方だ。

だが、埋没して生きていくには、今の仕事を辞めないといけないし、何より女として違和感を持たれたらダメであろう…。

この界隈では元男とバレることを『リード』されると言い、バレない事を『パス』すると言う。

誰からもリードされないことを『完バス』と言うが、埋没するには完パスまではしなくても、目立たなければパスできるくらいのレベルは必要だろう。

…。

ムリじゃね?

私、ゴリラだし…。


 私に埋没という道は断たれた…。

だが、そんな事で諦めれるなら最初からこんなに悩まないし、ホルモン治療など始めはしない!

せめて、人に見られても気持ち悪くならないようにしよう、立ち振る舞いはキレイにしよう、声もなるべく不快にならないように努力しよう、お肌も限界まで努力しよう、そんな風になると決めた。

リードされても見た目以外はちゃんと女だし、あなただったら仕方ないから女としていても否定しないであげよう、と思われるようになりたいと思った。


 それからはダイエットも始めたし、振る舞いにも気をつけている。

ボイストレーニングも始めたし、アトピーでも出来るメイクのレッスンを始めた。

スキンケアも必死になってやっている。

幸いなことに、気性は荒くないので問題は無いだろう。


 その結果、最近ではたまに女として見られるようになった。

お店でポイントカードを使う時や登録する時に本名が出るのだが、ギョッとされたし、ポイントカード間違えてますよと言われたこともある。

2年がんばって続けて、やっとだ…。

…。

どれだけ私に素質が無いのかが良く分かる…。


 ホルモン治療や見た目の改善を行う事以外にもやっていることがある。

ホルモン治療を1年半続けた時に、正式にGIDの診断を受けようとしたのだ。


 1年半経ち、体の変化もある程度落ち着いてしまったが、私の性自認が女だと確信したため、もう男でいることが耐えられなくなっていた。

特に昔から男性のアレが嫌で仕方なく、邪魔とさえ思っていたのだが、もう本気で要らないと思い、ゴールデンなボールを摘出した。

だが、手術して女性の部分を作るためには必要な材料がある。

男性の袋の部分と棒の部分だ。

女性の部分はその材料を使って作るので、ボールを取ってしまうと袋がどんどん縮んでしまうのだ。


 他には腸を材料にする術式もあるのだが、私の希望する術式は男性の袋と棒を材料にする必要がある。

袋は縮んでいくが、取ってすぐ使えなくなる訳ではない。

最大で約2年くらいは材料として使用できる。

そのため、早く手術する必要があるのだ。


 手術するとして、国内で受けるのか海外で受けるのかを選択するのだが、国内では手術をやってくれるちゃんとした病院は少ないし、予約で埋まっているので最低でも1年半待ちだ。


 海外ではタイが有名だ。

有名な病院は3つある。

スポーンクリニック、ガモンクリニック、ヤンヒークリニックだ。

もちろん異常に安い値段で手術してくれる病院もあるが、日本人が手術しに行くのは大体がこの3箇所だろう。


 私はタイにするつもりだが、国内でするにしろ海外でするにしろ、最低でも1名の医師の診断書が必要になる。

(※ガイドラインに沿って進める場合は、ホルモン治療を開始する際に2名の精神科医の診断書が必要になる)

そのため、手術を受けるために診断を受け取る必要があるのだ。


 GIDは心と体の違いによる性別違和であり、性自認は本人しか分からないので「本人がGIDと言ったらGIDだ」という医者もいる。

そういう医者は診断書は1日で書いてくれる。


 だが、その場合のリスクは大きい。

もし本当はGIDでなかった場合、術後に後悔して自殺をしてしまう人が多いからだ。


 そのため、私は現在のGIDのガイドラインを決めている医師の一人に診断書を貰うために通院を始めた。


 診断書が出るまでは半年~1年かかる。

統合失調症であったり、双極性障害であったり、解離性同一性障害の場合、GIDと勘違いしている可能性もあるし、長期間望んでいる性別として過ごすことで、一過性の勘違いではないと調べるためだ。


 診断には生い立ちから現在までの自身の過去を振り返る『自分史』を作り、それに沿ってその当時どのようなことを想っていたのか、どのようなことがあったのかを話していく。


 また精神的な事以外にも、染色体や性器を調べて『性分化疾患』ではない事を確認する。


 これらすべてを終えて、やっと1人目の診断が下りるのだ。


 その後は2人目の医師の診断を受けるセカンドオピニオンがあるのだが、2人目でNGになることはほとんどない。


 ちなみに、現在の私は1人目の診断は「問題ないですね」と言われた状態でまだ完了はしていない。

な…長い…。

早く診断を終えて手術したいものだ。

(※現在は診断済みです)


 それはさておき、私のようなパターンのトランスセクシャルもいれば、全く違うパターンもある。

私のパターンは一例に過ぎない。

本当に色々あるのだ。


 だが、私のようなパターンがあるというのでも何かの参考になれば良いかなと思い、これで締めさせてもらう。


 残念ながらノンフィクションなので、この稚拙な文章を読んで下さった皆様の身近に自身の性別に悩んでいる方がいたら、貴方に迷惑をかけていないのであれば否定だけはしないであげてほしい。

大半のGIDの方はひっそりと生きていたいという方も多いからだ。

それに、GIDは自身の性別に違和感を持っているだけで、その人自身の性格や考え方等の中身は何も変わらない。

それはわかってあげてほしい。


では、機会があればまた別の事を書きたいと思う。


ご拝読ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言]  mtfさんのリアルを書いて下さり、ありがとうございます。私はまだホルモン一ヶ月目なので凄く勉強になります。  以前の記事に、女性ホルモンをとっても骨格は変わらないとありましたが、見た目で特…
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