2.目覚めた場所は…
投稿したばかりでブックマークが2件も!
嬉しいので、お礼がわりに続き投稿しました。
前話の予約投稿も上手くいってて安心しました。
「うっ!痛い…右目が熱くて…痛い!!」
そういえば右目に刃物が刺さっているって言われたっけ…
誰に?…刃物!!
「嘘!!」
恐る恐る右目に手を這わせ…
「良かった~」
刃物らしき物はない。触った感じ包帯もしてなければケガした感じもしない…
「開けてみて大丈夫かな?」
怖くてずっと瞑っていた目。
いやでも開けたとたんに失明とかしたら洒落にならない!
左目はなんともなさそうだから、右目を開けない様に手で押さえながら、左目だけ開けてみる。
「えっ!?」
周りは一面、木に囲まれていた。
私が寝ていたところは柔らかい下草が生えていたが、ただの地面だ。
「ここ何処?!」
驚きのあまり飛び起きて、その際に右目を押さえていることを忘れて両目でしっかり見てしまった。とたんに襲いくる激痛。
「いったーい!!バカバカあたしのバカ!失明したらどうすんのよ~」
『それはないから安心しろ』
『痛みを感じるのはまだ体に馴染んでいないからその様に感じるだけで、直ぐに馴染みます』
「誰!?ってかどこ?」
周りを見回してみても人っ子ひとりいない。
「まさか…幽霊?…」
『違う』
『私達は精霊です。右目だけで見てごらん』
せ…精霊?!
言われるままに左目を手で押さえ見れば…
居ました!二人の超絶イケメン!!
一人は黒髪に深い藍色の瞳。もう一人は金髪に燃えるような赤い瞳。
その周りには無数の小さな光玉とティンカーベルの様な姿のものがチラホラ。
えっと…これ全部が精霊?
『光玉の様に見えるのは、生まれたての小さき者達。この者達が死にかけていた君を見つけて命を与えたから君は生き延びる事が出来たのだよ。異世界から来た娘』
はぁ…そうなんですか…ん?命を与えた?!
『お前の命となって消えたということだ』
なんと!!私ごときにそんな…いやいや、ここは命をくれた精霊さん達に感謝をして、これからの人生清く正しく美しく全力投球で生きると誓いましょう!!
『素晴らしい!期待していますよ』
ああ、金髪イケメンさんの笑顔がまぶしい…
頑張ります!ってあれ?私、声に出してます?
『俺達の力も分け与えたから声に出さずとも聞こえる』
ああ、思考駄々漏れですか…それは恥ずかしい。
『聞かれたくないと思えば聞こえませんよ』
そうですか、頑張って習得します。
ところで今さらですが…………
異世界なんですね!?
『本当に今さらだな』
いや、そのびっくりポイントが多すぎて…順番にクリア?していこうかと…
『クスクスおもしろい娘ですね』
はぁ…それはどうも…
あっ!そういえばあなた方も力をくれたって言ってましたよね?
ありがとうございます。おかげでこうして生き返る?事が出来ました。
助けてもらったお礼に何か…
『お礼など』
『お前と一緒にきた鞄なら、ここにあるぞ』
『闇の…』
『対価は貰うべきだろう光の』
あ、なんか険悪ムード。ヤバいヤバい!
なんかないかな?
ガサゴソと鞄の中を漁っていたらちょうど友達から誕生日プレゼントとして貰ったお菓子が出てきた。
ああ、そういえば今日は私の誕生日だったっけ…
異世界に生まれ直したようなものだから二度、目出度い?うーん複雑…
貰ったお菓子の包みを開けると中には色とりどりの金平糖が入っていた。
金平糖か…妖精とかって甘い物が好きって聞いた事があるけど精霊は?
『嫌いではないな』
『小さき者たちには毒になる物もありますが…』
お砂糖の塊みたいな物なんだけどダメ?
『一つ貰おう』
『私にも一つ頂けますか?』
どうぞどうぞ
こんなので命助けて貰ったお礼になるとは思わないけど。
『これは……』
『ああ、優しい甘さですね。これなら問題ないでしょう』
金髪イケメンのその一言で光玉とティンカーベル達が一斉に群がってきた。
待って待って!今あげるから。
掌に出すと一人?一つずつ持っていく。
うーん、全員に行き渡るかな?
『作り方を知っていますか?』
金髪イケメン(光のって呼ばれてたな)が聞いてくる。
大まかには…(テレビで見たけど)
『では思い出してみてください』
言われるままにテレビで見た映像を思い出してみると掌からまるでポップコーンが弾ける様に金平糖が飛び出してきた。
なんで~??
『砂糖の精霊も中に入っているからだな。少量なら砂糖も出す事ができるから、それをコイツが増幅したんだろ』
闇のと言われた黒髪イケメンさんの説明になんとなく納得。あれ?でも両方の世界で生きているからチート特典は無しって言われたのに…
『チート?…ああ、恩恵の事ですね』
そうとも言います。多分…
『管理者からは確かに何も与えられてはいない。ただ小さき者達がお前を助けるために同化したので精霊の恩恵は山ほど受けているな』
山!ですか?
『山!!だ。だからこそお前が自己管理出来るまで俺達がサポートする。右目はその証の様な物だ』
そうなんですか…証って精霊が見えるっていうのがですか?
『色です』
色?
私は鞄の中からコンパクトを取りだし覗いて見ると右目が紫色になっていた。
嘘!!左目は?
手で隠していた左目を見るとそちらは普通に黒かった。
うわ~。オッドアイにしたって何故にこのチョイス?
『私と闇の瞳の色が混ざった結果ですね』
ああ、納得。赤い瞳の光と青いってか藍色の瞳の闇で紫ね…
違和感半端ないわ。
『直に慣れる人とはそう言う生き物だ』
ですね。
『金平糖、美味しかったですよ。ありがとう』
いえいえ。こんなのお礼の内に入らないと思いますけど。
『また、くれればいい』
はいはい。仰せのままに。
ところで私はこれからどうしたらいいんでしょうかね?
『そうですね…やはり人のいる所に行くべきでしょう。最近、何人かの異世界人が現れたと聞いています』
『ああ、確かオウトとかいうところで保護しているとか』
オウト?…王都かな?王様がいる都?
『ええ、そうです』
ここから王都までどのくらいかかります?
『さあな俺達は一瞬で行けるから』
ですよね。
『確か…森を出て少し行くと町があるはずです』
そこまで行けば何とかなるかな?
『おそらく』
分かりました。その町目指して行きます!
『何かあったら遠慮なく呼ぶといい』
光のとか闇のって言うのがお名前なんですか?
『いや。俺達の名前は人には発音出来ない。お前が好きに名を付けるといい』
いいんですか?
『ええ。貴女はすでに精霊の加護を受けた愛し子ですからね。問題ありません』
良くわからないけど…
では光さんがシャインで闇さんがダークでどうでしょう?
ひねりなくて恥ずかしいけど…
『いい名です。気に入りました』
『変に畏まってなくていいな。気に入った。それで愛し子。お前の名は?』
愛し子って…私の事ですか?
『そうですよ名前を教えてくれないなら愛し子と呼び続け』
アンリです!瀬谷アンリ!!
『アンリか…わかった。ではアンリ何か困った事があったらいつでも呼ぶといい』
『近くにいる精霊達も、貴女に喜んで力を貸すでしょう。お礼は金平糖でね』
分かりました常に用意しておきます!!
『では森の出口まで案内しましょう』
こうして私は異世界の第一歩を踏み出した。