終わりと新たな始まりへ
ミュッケ・フェスティバル最終日は、日が変わった頃に中止が決まった。フェスティバル始まって以来、初の中止決定だ。
原因は一つの争いだった。遊園地広場で激しい魔法バトルが勃発。そのために遊具は破壊。遊園地として運営出来なくなった。
フェスティバル会場から場所は離れてはいたが、危機感を募らせたミュッケ大都市の市長は中止を決めた。
ブイーオ信仰会の拠点が近いこともあり、国内の争いが悪化することを恐れての決断だった。
そして争いの中心にいた人物、四人が政府軍に捕まる。オステ国民ではなかったことが災いして、彼らの言葉を聞く者はいなかった。
しかし、密命を受けていた二人。ジュビアとエストレジャは、グリューン魔法学校校長・中央都市プルプ魔法騎士団の力もあって早くに解放された。
そして同じ現場にいたルウとヴァンもヴェス国への移送が必要であった。オステ国にいる限りヴェス国で起こした罪を問えないためだ。
そこで尽力したのは魔法騎士団。そしてエストレジャから話を聞いたガラであった。
オステ国から出された条件は一つ。今回の事件に関わった四人の入国禁止だ。二度とオステ国の地を踏めなくなったが、騒ぎを起こしたのだから当然であった。
時間はかかったが、ルウとヴァンはヴェス国へ移送されることとなった。
中央都市プルプはいまだ壊滅状態であり、ルウたちの取り調べはグリューン町で行なわれた。
プルプの大火を引き起こしたと思われる人物、アキの保護者であることから首謀者はルウと思われた。しかし、二人は何も語らなかった。
やがて証拠不十分で、プルプの大火については無罪となる。
ただグリューン町で顔を見られていたこともあり、禁書を盗んだ罪に問われてグリューン町の牢に投獄された。
同時にシエルとアキの捜索が始まる。表向きは行方不明者。しかし、プルプの大火に関わった重要参考人というのが本当の捜索理由だ。
ただミュッケフェスティバル中止から、オステ国は今まで以上に慎重になり、捜索は思うように進まなかった。
それに、魔法研究所が関わっていることを知る者はほとんどいない。彼らが事件に関わること全て揉み消された。
遊園地広場にいたロフロールも争いを起こした人物であり、魔法研究所に関わる裏切り者。
しかし、ジュビアは彼女のことを決して話さなかった。
何ヶ月かが過ぎた頃。
エストレジャは教師を辞め、ジュビアは診療所を後任に譲った。
二人はグリューン町を離れ、目的を果たすために旅立った。
同時に、ルウとヴァンも牢から姿を消した。
「行こう」
四人は手を組んだ。
中央都市プルプのことは忘れてはいない。だが、今は復讐の時ではないとジュビアは気持ちを新たに、彼らの協力を申し出たのだった。
ヴェス国中央都市プルプで行方不明になったマール。
オステ国ミュッケ大都市で行方不明になったシエル。
アグラードに連れ去られたアキ。
そして、自ら魔法研究所に行くと言ったロフロールを取り戻すために。
四人は改めて旅立つのだった。
――SPELL 2 へ――
 




