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8件目

 人間って死ぬ気になれば何でも出来るんだな。

 俺は魔力が少ないから札に魔力を込めるのに一般人より少し時間がかかるんだが……巨人トールの攻撃を受ける直前になんとか召喚できた。

「もぉ~危ないですねぇ~。私じゃなかったら死んでいましたよぉ~?」

 トールの拳を片手で防いだ彼女は、甘ったるそうな口調でそう言った。

 ホント、何でコイツ準上級なの?

 態度だけでいうなら中級以下でしょ。

「あぁ、おかげで助かった。エグラネル」

 1度でも契約したことのある契約者とは、2度3度の契約成功率が、初回の契約者との成功率と格段に違う。断然、複数回目の方が高いし、意外と無茶な要求でも通る。

 顔見知りの方が安心して契約できるって感じだな。

「いえいえぇ~。それよりもぉ~メアリーちゃんは敵なんですかぁ?」

「あぁ。何とか怒りを沈めて欲しいところだ」

 俺の命に関わるからな。

 心の底から早く何とかしたいと思っている。

「まずは、トールを何とかしてくれ!」

「アイアイサー!」

 準上級の天使とは思えない(言葉や行動を含めて)素早い動きでトールを撹乱(かくらん)するエグラネル。

 向こうは中級巨人種だから何の心配もないだろう。

 心配するとしたら、目の前の魔王さま(メアリーのこと)だな。

「………………ですか」

「へぇっ?」

 今、彼女が何かを言ったような気がしたんだが……小さくて聞こえなかった。

「す、すまん。もう一回、言って?」

「ネグ君のバカ! 『召喚』!」

 えぇっ!? 罵倒されたあげく、召喚までされちまったよ!?

「殺っちゃってください!」

「ブルゥゥゥ!」

 紺色の毛並みをした馬が、俺を目掛けて突っ込んでくる。

 頭に角を生やしているから、一角獣(ユニコーン)って種類の獣だな。

 俺と召喚された獣との距離は、それなりに空いてるから何とか回避できる。

 俺は、突っ込んできた一角獣を大きく右に移動してかわす。

「と、ところで、メアリー? アリスはどうしたんだよ?」

 メアリーのパートナーが、まったく見当たらない。その事が少し気になった。

 もしこれが、何かの作戦なら普通の人間は教えてくれねぇだろう。が、竜の巣の目の前でランタンを出しても何も思わなかった『天然な彼女』なら答えてくれるはずだ!

 そう確信して、アリスの居場所を聞いたんだが、

「アリスちゃんまで毒牙にかける気ですか!?」

 帰ってきた返答は、俺の斜め上の解答だった。

 ってか何の話だ!

 毒牙って何の事だよ!?

 それと、アリスちゃんまでって!? 俺は誰にも何もやってないぞ!!

「もう怒りました…………確実に仕留めます……『召喚』」

 何故かもう一体増えたし!? ってか、仕留めますってなんだよ!?

 殺す気マンマン!?

 メアリーが召喚した3つ目の契約者は、デュラハムと同じ姿の中級悪魔系だ。

 エグラネルが相手なら全然問題ないのだが……彼女は現在、巨人トールと戦っている。倒すのにもう少し時間がかかるだろう。

 俺一人なら逃げ切れる自信はあるが、気絶している姫(デュラ(男)のこと)を男として置いていけない!

 結局アリスが何処にいるかも聞き出せないし、おまけにもう一体増えるしで泣きっ面に蜂状態だ。

 ……本当に泣きそう。

「って、泣いてる場合じゃねぇ! 何とか逃げねぇと」

 せめて、エグラネルがトールを何とかして、そのあと一角獣を何とかしてもらって、最後にデュラハム2号を何とかしてもらうまでは!

「ってか、デュラハムは!? アイツは、何処にいるんだよ!?」

 すっかり忘れていたが、偵察のために走っていったきり姿を見ていない。

 ……本当に使えねぇなぁ。

 早々に『退喚(リャード)』されたか?だとしたら、マジで使い物にならなかったぞ!?

「早々に潰してください!」

「潰されたら死ぬからな!?」

「うるさいです! 悪い子には、お仕置きなんです!! 殺っちゃってください、デュクロさん!」

 デュクロと呼ばれた契約者が、俺の身長と同じくらいの斧を振りかざし、身にまとっている西洋風の鎧をガチャガチャ言わせながら、こっちに走ってきた。

 おまけにさっき召喚された一角獣も、俺に突進を何度も仕掛けてくる。

 どっちをくらってもマズイ状況になる。

 冷や汗ダラダラな状況で俺は、力一杯叫んだ。

「デュラハム! お前の姫様が大ピンチだぞ!! 早く戻ってこねぇか、バカ野郎!!!」

 すると黒い影が、デュクロの前に現れた。

「我が姫様を守れずして、死ねるはずなかろう!」

 降り下ろされた斧をランスでしっかり受け止めるデュラハムの姿が、俺の目の前にあった。

 ただ……ピンチに現れてくれたのには感謝するんだが……

「お前……今まで何してたんだ?」

 目の前のデュクロと対峙しているデュラハムに俺がそう聞くと恥ずかしそうに答えた。

「姫がピンチになるまで草むらに隠れておった。さすがに我も巨人には敵わないからな」

 ……マジで蹴りを入れてやりたかった。

 だが、デュラハムの判断は正しかった。

 同じ中級クラス何だが、種族による相性ってのがあるからな。そんでもって、悪魔系っていっても色々だからな。

「とにかく、デュクロを頼む。負けたら姫の名誉が傷つくからな。絶対勝てよ!」

「ふっ……笑止。誰に言ってることやら」

 ……ちょっとカッコいいじゃねぇかよ、デュラハムのクセに。

 とりあえずこれで、俺は一角獣にだけ集中してればいいことになった。

 攻撃して倒すのは無理だが、避け続けてればトールと戦っているエグラネルがこっちに来るはずだ。

 メアリーを倒す算段は、これでついた!

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