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1件目

 性懲りもなく、4作品目です!

 1つは、連載終了したのですが、……まだ、連載中のが2つも残ってます。

 でも、やっちゃいます!

 ついでに宣伝もしておきます!

 『三代目魔王の挑戦』と『独立遊撃隊『ドラグリア』』も是非(ぜひ)、読んでください!!


 では、本編の方をどうぞ!

「皆さん、入学おめでとうございます」

 少し明るめのグレーのスーツを着た男性教諭が、黒板の前に立ち俺たち新入生を前にして自己紹介を始めた。

 教諭の名前は、ロバート・ロンって言うらしい。黒板にでかデカと書かれているし間違いないだろう。

「ここでの三年間は、普通科の高校よりも、とても大変かもしれません」

 大げさに言うが、そんなことは入試を申し込んだ時点で覚悟ができている。

 少なくとも、俺はできているし、俺の場合は、同じ一年生よりも過酷になると予想される。

「では、まず始めに『召喚術』について軽く話しておきます。メモの準備をしておいてください」

 言われなくてもノートと鉛筆の準備はできている。していない奴等は、慌てて準備してるけど。

 --ガチャガチャ!

 ……このクラスには、盛大に筆箱をひっくり返している女生徒までいるらしい。まぁ、俺には関係ないが。

「す、すいません!」

 入学したての緊張からか、ペコペコと頭を上下に振って謝る彼女。

 ついでに大きな胸も上下に揺れていた。

「慌てなくて大丈夫ですよ」

 女生徒の落とした筆箱の中身を周囲の奴等が颯爽(さっそう)と広い集め、彼女から感謝の声を聞き鼻の下を伸ばしている。

 その様子を微笑ましく眺めている教諭は、軽く(せき)をしてから口を開けた。

「『召喚術』とは、契約者と被契約者の間に交わされた『契約』を履行するために呼び出す術式全般を指します」

 ロバート教諭は、黒板に書いてあった名前を消して、召喚術の簡単な図解を書き出した。

 一般常識として、小、中学校で習うモノだ。ここに入学してきた時点で誰もが知っている基本中の基本だろう。

 ロバート教諭は、黒板に書き終わったところで話の続きを始めた。

 黒板に書かれた『被契約者』の部分を指で指しながら、

「『被契約者』は、君たち一人ひとりを指し示し」

 と説明し、次に『契約者』の部分を指して、

「『契約者』を呼び出す人の事を呼びます」

 と言った。

 図解があるのと無いのとでは、理解度が違うって何かの本で読んだことはあるが、ロバート先生の説明は、分かりやすい方だろう。

 先生は、両手を教壇に乗せて続ける。

「この『被契約者』という言い方は一般的ではありません。世間一般では彼らの事を……」

 ロバート先生は、少しタメてからその単語を口にした。

 そのせいか、普段から耳にしている職業の一つでしかないのに、先生の言葉に俺は、全身が震えた。

「『召喚術者(コールマスター)』と呼びます」


 っと、春の日差しを浴びながら黙々と授業を聴いていたのがおおよそ2ヶ月前。

 今の時期、俺は……と言うより俺達は、中間テストの対策に終われていた。正確には、中間テストの追試の対策だけどな。

 召喚実験室と呼ばれるあちこちに紋章が描かれた教室がある。

 その教室の椅子に、机を挟んで座り、これで30回目となる講義を俺は彼女にしていた。

「だぁー! だから、何であそこで魔力をあげるんだよ!?」

「ふぇ!? だ、だって、魔法生物系の場合は、質のいい魔力をあげることで契約成功率が上がるじゃないですか!?」

 確かにテキスト通りならそれで間違いない。ペーパーテストなら百点満点の点数が貰えるかもしれない。

 だけど、

「お前の魔力をそのまま渡したら、相手が蒸発するわ!!」

 目の前にいる今にも泣き出しそうな顔をしている彼女は、『召喚術者(コールマスター)』の名家出身でメアリー・カールと言う。

 両親からとてつもなく凄い魔力を遺伝的に受け継いだ女性であり、俺のクラスメイトでもある。

 しかもアイドル並の可愛らしさとグラビア級のスタイルを保持しているため、学校のアイドルとして全学年に知れ渡っている。

 ただ……ただただ残念なのが、臨機応変に対応する力と召喚術に必須なもう1つの力が、(いちじる)しく(とぼ)しい。

「魔法生物系でも、『通訳(コンパイル)』が出来れば話は通じるから、お前の場合はそっちで契約を取りに行くしかねぇからな?」

 (たち)の悪いことに彼女の魔力は半端ない。いやもう、パないだな。ほんと、パない。

 ……なんでお前が追試を受けてんだよ!? ってツッコミたいほどだ。

「で、ですけど! 使えない場合はどうすればいいのですか!?」

「そんな心配は、俺だけがすりゃいいだけの話だ! お前は簡単に使えただろうが!」

 おまけにドジッ娘の素質も開花しようとしている。天然もかな? ほんと……パない…………。

「はぁ~。……いいか? 言い方が悪いかも知れねぇけど、『交渉術』なんて言葉が通じればそこまで難しいものじゃないんだ。残り1週間で、最低ランク以上の契約を1つ取ってこないといけねぇんだから……」

 そこまで言ったところで彼女が落ち込んでいることに気づいた。

 まぁ……失敗ばっかだからなぁ…………。

「……ちょっと待ってろ。先生のとこ行ってくる」

 全く、面倒この上ない。


 職員室と書かれた引き戸をノックして、扉を開く。

「失礼します。ロバート先生はいますか?」

 呼ばれたことに気付いたロバート先生は、いつも通りの笑みを浮かべて俺を手招きした。

「すまないがこっちに来てくれ。ちょっと、手が離せないんだ」

 俺は、周囲の先生から鋭い視線を浴びせられながらロバート先生のデスクまで歩いていく。

 全く、1ヶ月前の出来事をそんなに根に持つなよ。大人げない。

「ごめんね、あまり居心地は良くないだろうから手短に済まそう」

「まぁ、簡潔に話すと、次のテストなんですが……」

 俺は次の一言で周りが盛大に騒ぎ始める予想をして、それでもビビらずに言い放った。

「『代理交渉』で下等ランクの契約を3つしてくるんで、それで勘弁してください」

 案の定、室内は蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。


 教室に戻ってくると、彼女は再び下等魔法生物に分類される『スライム』を呼び出していた。

 いや、正確に言うならスライムの『意識』を呼び出している。

 俺たち術者は、『契約者』の意識を手元に呼び出して契約を結ぶことが多い。

 場合によっては『()ぶ』必要もあるのだがそんなのは、相当な高等生物ーー例えば上級天使とか上級悪魔くらいの奴等と契約するときぐらいだ。一年生ならまずあり得ない。

 彼女の手元には、契約者の意識を具現化した青白い炎があった。

「えーとですね。今度の追試にあなたの力が必要なんで、契約してくれませんか?」

 ……ダメだこりゃ。

 まぁ、とりあえず様子見だな。

 俺はバレない様に、彼女の様子が分かる程度に引き戸を開けた。

『???』

「あっ! あのですね、追試っていうのはテストをもう一度受けることなんです。私は落ちこぼれですから、もう一回テストを受けないといけないんです……」

『????』

 彼女は、まるで反射神経でも鍛えているかのように、手をワシャワシャ振って説明していた。

 おいおい、揺れすぎだぞ?

「でも、彼は違います! 魔力がほとんど無いのに頑張ってるんです!! けど、勘違いされやすいせいか、皆から嫌われてるんです……」

 ………………いやいや、その話は、要らないだろ? なんだ? 俺が契約対象なのか?

 だったら、1発オーケーしてるけどよ。今のダンスで。

「ですから! 彼のためにも私は一人前にならないといけないのです!! そのためにも契約してくれませんか?」

『??? ……ム……リ?』

 その言葉を最後に青白い炎は消えていった。

「アハハ……また、ダメでした…………」

 終わったところでガラガラと音をたてて引き戸を引き、中に入っていく。

 すると悲しそうな顔でこっちを見て、31回目となる失敗の報告をしてきた。

 全く、たかだか31回の失敗で落ち込んでたら次の契約にも失敗しちまうぞ?

 だから俺は、真面目な顔をして彼女の瞳から目を反らさずに聞いた。

「……いい知らせと悪い知らせがある。…………どっちから聞きたい?」

「そ、それじゃあ……いい方からお願いします」

 1つため息をついてから、俺の交渉の結果を伝えた。

「ロバート先生に交渉した結果、『代理交渉』の許可が出た。今度の追試は、それで免除してくれるらしい」

「本当ですか!?」

 彼女は慌てて椅子から飛び上がった。

「あっ……ですが私……代理人さんになってくれそうな人を知りません……」

「おい! 目の前にいるだろうが!!」

 ちょっと悲しくなったぞ。

 俺は、涙をこらえて続きを話す。今度は悪い方だ。

「『代理交渉』は認めてもらえたが、難題もつけられ「あっ」たって、どうした?」

 何か重要なことを思い出したのか、彼女は手を打ってから俺の顔まっすぐ見て笑顔で告げる。

「あなたに代理を……頼んでいいですか?」

 恥ずかしそうに訪ねてくるけどね、メアリーさん……。

「……いや、そのつもりだったけど? ってか、なに。今さっきの話を聞いてた? 聞いてないだろ? 聞けよ」

 お願いですから。本当に泣いちゃうよ? 俺。

「あわわわ! 泣かないでください! 冗談ですから!!」

「いや! 泣いてねぇし!」

 鼻がちょっと詰まっただけだし。

 あと、冗談じゃなかったよね? 今の。

「まぁ、冗談もこれくらいにして……悪い方の話だ。『代理交渉』は認めてもらえたが、条件を提示された」

「じょ、条件ですか?」

 今度はちゃんと聞いてくれたらしい。……よかった。

「準上級ランクとの契約を1件してこい……だってさ…………」

 俺がロバート先生から言われた時も今の彼女のように目が点になってたんだろうなぁ。


 と言うわけで、学校の図書館で本の山に埋もれながら上級生物で話がわかってくれそうな奴を探すはめになった。

 今回は、召喚術がメインです!

 しかも、召喚術を用いたバトル出なく、召喚にこじつけるまでから話はスタートします。

 これから先、どうなっていくのか!

 楽しみに待っていてください!

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