豪邸
「うわあ、大きい。」
エリザは思わず声を上げてしまった。エリザの背丈の二倍ほどもある玄関がそこにはあった。室内は豪華絢爛な装飾品が飾ってあり、シャンデリアからの明かりが
煌びやかさをより強調させていた。セミラミスは二人を風呂に案内し、
二人は長旅の汗を流した。食事も豪華で二人は食べるのもしばし忘れ、
見とれてしまっていた。
「どうした、遠慮は要らないぞ」
「すみません、つい見とれてしまいました。いただきます。」
料理を口にすると、エリザはあまりのおいしさに言葉を失ってしまった。
「どうした、口に合わないか? 」
セミラミスの言葉でエリザは我に返り
「いえ、あまりのおいしさに驚いてしまいました。」
と言うので精一杯だった。
「ところで二人は旅の途中と見受けるが、どこから来たのか話してもらえないか。」
二人は今までのいきさつをこの騎士に話した。セミラミスは話を聞き終えると
「そうかエレイン大聖堂を目指しているのか。それは長旅になるな。それならば
まず近くにあるエクトールの港町を目指すのが良いだろう。まあ朝早く出れば
昼頃にはそこに着くだろう。」
セミラミスはワインを飲み干すと
「それにしても元の世界に帰るか。世の中には摩訶不思議なことがあるものだなあ。」
とつぶやいた。エリザ達はふかふかのベッドの上に横たわると深い眠りに着いた。
次の日、エリザ達が目を覚ますと、すでに朝食の準備がされていてエリザのバスケットには食べ物や飲み物がたくさん詰め込まれていた。二人は朝食を食べ終わるとセミラミスに
「昨日は助けていただいただけでなく止めていただきありがとうございました。」
と挨拶をした。セミラミスは
「道中、気をつけてな」
と一言言って、二人を送り出した。