幕間 とある魔王の苦悩
嫌な噂を聞いた、私が熱愛する愛らしいかの魔王が婚約したと緑の夜空の中に輝く銀の星のごときうるわしき姿、抱きしめると壊れそうに柔らかい肢体、ああ、会いたい…。
「また、動画見てるん?」
「見てて悪いか」
私は部下を睨み付けた。
「五十嵐苑夜魔王が異世界の光の神と婚約したと言う噂を組合で聞いただす」
きっとでたらめだ。
「そうなん、よかったわ、うちの大将に捕まらはんで~。」
「私は、危険人物か!?」
ただの恋する男のつもりだが。
「サーフルはん、濃すぎるねん、いがらしちゃんは、まだよう育ってへんしなぁ。」
何を言う、五十嵐魔王の術を使う時のキリッとした眼差しは大人の女の魅力で溢れてるし、何と言っても普段の気の抜けた時の可愛いさと来たら、何時間、愛でても飽きない自信がある。
「サーちゃん、もたもたしてる内にトンビに油揚げさらわれちゃったねー。」
ハハハって笑われた、何だ、それは...。
「直ぐに真相を確かめる、日本に行く。」
そうすれば、不安が解消されるはずだ、あわよくば、五十嵐魔王を抱き締められるかもしれない。(この前、無理矢理抱き締めたら、五十嵐魔王の副官に抗議されたが。)
「無理、今すぐは絶対に無理!もう少し仕事すれば何とか。」
副官に言われた。
「そうか、では、すぐに仕事を回せ!」
待っててくれ、五十嵐魔王、直ぐに行く、だからはやまるな、私がいる。