その39光の勇者の空回り冒険記6
「あなたが、ルーリーナの女王陛下ですか?」
目の前には信じられないくらい綺麗な女性がいた。
「...で、あなた達、どちら様ですか?」
その人は綺麗な顔に怪訝そうな表情を浮かべてきいた、ずいぶん簡素な格好をしているな。
「光の勇者ご一行様だそうですぜ。」
ここまで案内状してくれた赤狼の若者が言った、何かキョロキョロしてるな...ザッダ、肩抱くな。
「ヤーシュならいないわよ、結婚式はもうすぐだけど、成年の儀はこの間したから、もう、天音皇子のものだけどね...ああ、天音政治官だったわ、ルーリーナの。」
容赦なく女王陛下は赤狼の若者に言った。
天音皇子?、ヤーシュ?誰だいったい?
「クレハ女王なんで止めてくれなかったんですかい。」
赤狼の若者は言った、クレハ女王って言うんだ。
「ヤーシュは諦めなさい、あなた、赤狼の里に彼女が3人もいるそうね。」
クレハ女王は赤狼の若者の顔を見て言った。
「オレは、若いんだ、彼女の10人や20人いてもおかしくないだろう、それに本命はヤーシュですぜ。」
開き直ったみたいだな、ザッダ、腰撫でるな。
「子どもが2人もいるそうね、別に私生活をどうこう言うつもりはないけど、ヤーシュはもう人妻よ、諦めなさい。」
クレハ女王が言った、ひ、人妻、何て言う話なんだ。
「....しかたねぇ...ヤーシュは諦めますよ。」
人妻が効いたか?そう言うと肩を落として去っていった。
「で、光の勇者ご一行様はなんのごようですか?」
クレハ女王がニコニコしながら言った、笑ってないけど笑顔って怖いよ。
「闇の魔王の情報がほしいんです。」
ミルヌさんが負けずにきいた、聞き込みだと闇の魔王の愛人だと言う噂もあるらしいね。
「闇の魔王?...ああ、苑夜ちゃんの事ね、何で教えないといけないんですか?」
クレハ女王はキゼンとして言った。
「あなたは、人間なのだから、教える義務があるのではないか?」
マリアーヌさんがザッダを下しながら言った。
「レーリィンシアの騎士様ね、レーリィンシア王国がこの国の為に何かしてくれた事があるかしら?それにここはあなた達の言う『人間』の国ではありませんわ、『人』の国ではありますけど。」
氷の微笑を浮かべてクレハ女王は言った。
「光の勇者様のお考えはどうですの?」
続けてクレハ女王が言った。
「オレは...。」
オレがいいかけた時、謁見室の扉が勢いよく開いた。
「クレハちゃん、ごめんなさい、ちょっと頼みがあるの!」
いつか会ったら名前を聞きたいと思っていたみどりの髪と銀の目の女性が...忘れても忘れられない印象深い女装男光の神様、レーホヘルト様...今日は女装してないな...と黒髪緑目の学者風の男性と入ってきた。
「苑夜ちゃん、みなさん、お探しの闇と空間の魔王は、この苑夜ですわ、もっとも、みなさんが考えてるような、世に災いを起こす魔王ではありませんけど。」
クレハ女王が神託をくだす巫女のように言った。
あの緑の女性が闇と空間の魔王?




