その18 管理魔王のサポート日誌1
紫世界の世界魔王が疲労困憊なので、サポートするように、お父さん、社長、会社から社命が下った。
「本当に、空が紫なんだね。」
世界を渡ってすぐに、空を見上げてつぶやいた。
私、木内胡桃は、明正和次元で管理魔王をしているの、でもお父さんが現役の管理魔王で私が継ぐはずの領域を管理してるので、まだ、修業がてらサポート業務に就いているんだ。
「木内管理魔王...よろしくお願いいたします。」
と五十嵐苑夜領域魔王じゃなくて、五十嵐世界魔王が弱々しく言った、何か、顔色悪いよ。
「五十嵐魔王!体調、悪いんじゃない?」
私が言うと五十嵐魔王ははかなげに笑った。
「休めませんから...。」
五十嵐魔王はあきらめたように言った。
「五十嵐魔王、他に魔王いないの?」
私が言うと、懐かしい人があらわれた。
「この世界では、精霊王が自然を管理してるのですが。」
ギルバート・和成・竹内さん、お父さんの親友、私の大好きなギルおじさんだ、副官なの?事務長だよね?
「え、属性種族の管理だけじゃないの?」
明正和次元ではそうだよね。
「ええ、自然全般を管理していたと、唯一残った光の精霊王(仮)がおっしゃってました。」
ギルおじさんは暗い笑みを浮かべて言った。
「光の精霊王(仮)ってなに?」
良くわかんない。
「ラームヘルトさんです。」
五十嵐魔王、あなた、もうろうとしてますね。
「もう一人位、魔王が居れば、五十嵐魔王も休めるのにね。」
私がそう言うと何か、空気中がキラキラしてるような気がした、な、なに?
本当に五十嵐魔王が倒れそうだったので
「...五十嵐魔王、今日は休みなよ。」
とすすめた。
「今後の事は会社と相談してもう少し、魔王を明正和次元から派遣してもらおうよ。」
精霊王が育ったり、出現するまで何とかしないとね。
「はい...、でも、仕事は休めません。」
五十嵐魔王が言った、倒れそうだよ。
「五十嵐さん、無理は仕事に余計ひびきますよ。」
ギルおじさんがそういって五十嵐魔王の顔を
のぞきこんだ。
「五十嵐さん、熱ありませんか?」
確かにちょっとダルそうだ。
「え?熱ですか?計ってませんよ、見たら動けないですし。」
五十嵐魔王はダルそうに言った、どこのワーカーホリックだよ、ってここのか。
ギルおじさんは五十嵐魔王の額に手を当てた。
「やっぱり、有ります。」
ギルおじさんはそういって五十嵐さんに差し入れ小袋から『体温計符』を出して渡した。
「計りなさい。」
わ、迫力あるなギルおじさん。
結局、五十嵐世界魔王は、熱が37.6℃もあり光の制御の調整が終わって出てきた、かっこいい光の神様に抱き上げられて神殿の奥に連れ去られた。
「.....病人になにもしないと思いますが、後で企業看護師の春川さんを呼んで福田病院にでも連れていってもらいましょうか。」
ギルおじさんは何か暗い感じで言った、もしかして、五十嵐魔王の事好きなのかな?
「それにしても、胡桃、いえ、木内管理魔王、大きくなりましたね。」
ギルおじさん、子供扱いはやめて、そう言えば、お父さんが『ギルバートは報われない恋の真っ最中だから、やさしくして落とせ。』って言われたな。
凄い現場だったなぁ、領域魔王の五十嵐さんよりチームのメンバー多いのに久々に大変な現場だったよ、精霊は一部を覗いて言う事聞かないし。
「胡桃、今日の報告書だ。」
ウェンロン(地竜系)主任事務員が書類をくれました、ギルおじさんの五十嵐魔王チームも帰って来てるな。
「胡桃、浄化クラゲはどうでしたか?」
あれ?胡桃って仕事中はギルおじさん普段呼ばないのに...。
「浄化率30%位でしたわ。」
環境調整師のシーリアさんがいった。
「すばらしいですね、所で、もしかして、ウェンロンさんと付き合ってますか?」
ギルおじさんはニコニコして言った。
「彼氏だけど、お父さんも公認の。」
あれ?でも、お父さん、ギルおじさん落とせっていってたような。
「今度の人事で異動ですかね、仕事やりにくいと困るし...。」
ギルおじさんがボソッと言った。
「ギル、若い人の恋路邪魔しちゃダメよ、しかも明日から、副官の宮さんが復帰するから、木内魔王チームの副官の産休代替えはいるんでしょう~。」
五十嵐魔王チームの主任事務員が言ってくれた、え?産休代替え、ギルおじさんなんだ、嬉しいな。
「...様子を見ます、木内管理魔王、明日からよろしくお願いいたします。」
ギルおじさんはそうに言って微笑んだ。
結局、ワーカーホリックの五十嵐魔王は3日、福田病院に点滴符をしに通ったそうだ、お医者さんいわく『すぐ、解熱すると無理するから、点滴符でゆっくりと休みましょう』とのこと、何でも風邪と疲労だったとか、しっかり治して復帰してね。
急がば回れだよ、かっこいい光の神様も心配してるよ。