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紫世界の魔王様  作者: 阿野根の作者
紫世界の魔王様
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幕間 元紫世界の魔王様の事情

「ハアー、緑茶が美味しいなぁ。」

僕は、静岡名産茶『夏の緑』を味わって言った。

「あなたほど、緑茶が似合わない魔王の副官はいないわ。」

御不二ちゃんに言われちゃったよ。

申し遅れました、僕は、五十嵐フェレス富士山の管理魔王、五十嵐御不二の副官で夫です、そして元紫世界の魔王してました。

「苑夜ちゃんソックリの深緑の髪と銀の目が合わない。」

まぁ、顔だちは御不二ちゃんのが似てるよ。

「苑夜ちゃんならお茶飲んでも何しても可愛いのに~。」

そりゃ、苑夜は女の子だし可愛いよね。

「苑夜ちゃんに仕事教えるの楽しみにしてたのに~。」

仕方ないじゃ無いか。

「このムダ美形!あなたのせいで私の跡継ぎが!」

何、言いたいのかと思ったよ、この頃、話しててもそればかりだね。

「だって、苑夜ちゃん、紫世界の魔王だもん、もともと。」

言ったらどんな手を使っても阻止しようとしたでしょう?

あの世界の意志の巻き付かれ具合だとムダだけど、あの執着すごいよね。

「このクソバカ!」

御不二ちゃん、お下品だよ。


...思い出すなぁ。


僕が世界に違和感を覚えたのは世界魔王として生まれた直後からだった。

「良くわからない、なんで?」

力は使えるのに馴染まない世界の意志、僕はもういやになって、まだ幼かったレーホヘルト様の事も考えずに自分の有り余る空間力を使ってこの『明正和次元』に高飛びした、世界の意志に糸が切れていくのを感じながら僕は意識を失った。


「大丈夫ですか?」

助けてくれたのは、富士山の管理魔王の御不二ちゃんだった、白い長い髪、水色の瞳...なんて綺麗何だろうって思ったよ、紫じゃ無い空を寝たまま見上げて...。

僕は、レジェンド魔王(自然発生した魔王、苑夜は逆に親がいる遺伝的魔王かな、家の息子と孫は遺伝しなかったけどね。)な彼女の副官に雇って貰えた。

そして、まあ色々あって結婚して子ども生まれて...今に至ると。


苑夜が生まれた時、御不二ちゃんは喜んだよ~待望の跡継ぎが生まれたって、レジェンド魔王は力強いけど、遺伝的魔王の安定感ある力には負けるって言ってたし...。

でも、僕も気がついた...。

「この子は、紫世界の世界魔王だ。」

って、だって生まれたとたん紫世界の意志が巻き付いたもん、何本かだけど...。

僕は、きっと苑夜を生み出す為に見逃がされたんだって気がついた瞬間だったよ。


「ひいおじー、どこいくの?」

あの日、僕はレーホヘルト様の事が気になって会いにいこうって決心したら、まだ幼かった苑夜が足に絡み付いてきた...可愛いなぁもう。

「ひいおじーはね、お出かけするの。」

ニコニコして抱き上げた。

「えんもいっしょにくー。」

舌足らずの可愛い声でおねだりされた。

「...行こっか。」

いつも、いつも、いつも女性陣に可愛い苑夜を独占されてた僕の理性は、その時負けた。

「くー。」

僕は苑夜と一緒に紫世界に渡った。


「レーホヘルト様?」

レーホヘルト様は僕が最後に会った神殿の庭の椅子に同じ姿勢で腰かけていた、身体は成長してたけどね。

「レー?」

苑夜が小首を傾げた、可愛いすぎ。

「...........フェ、.....レ.....ス.......?」

しばらく話してないのかレーホヘルト様はかすれた声を出した。

「...大丈夫ですか?」

僕は自分のしたことを棚に上げて聞いた。

「闇の魔王!!アンタ!!」

言ったのは光の精霊のおばちゃんです、レーホヘルト様は...反応ないの?

「こあいの~。」

苑夜が僕にしがみついて泣き出した。

「あ~、ごめんね、ってどこの子よ。」

光の精霊のおばちゃんはオロオロした。

「僕のひ孫の五十嵐苑夜だけど、大丈夫だよ~、怖くないよ~。」

僕はまだ泣いてる苑夜の背中をトントンとなだめながら言った。

「何で、アンタばっかり幸せなの?レーホヘルト様は大変な思いをされて、光の制御をされてるのに!」

光の精霊のおばちゃんは叫んだ。

確かに幸せだけどさ。

「..........黙っ......て......わた.......話す....。」

やっぱりかすれた声で言った。

「なんでも、うらみごと聴きますよ。」

今のレーホヘルト様の状態、不味い気がするし。

「その........子.......世...界.....魔王?......次代..の........。」

わかります?

「.......お...い.....で.........。」

レーホヘルト様は無表情な顔で苑夜に手を伸ばした。

「やー!こあい~。」

ますます泣き出した苑夜を連れて、僕は明正和次元に戻った。(何泣かしてるのと御不二ちゃんには怒られました。)


その後、行く機会があるときはいつも何故か苑夜が来て、あんなに泣いたのに。

「くー。」

って言ってついてきた、段々レーホヘルト様も人間(神様だけど)らしくなって来た。

「苑夜ちゃん、いらっしゃい。」

でも、何で女装?何で女言葉?

「レー、きたー。」

あ、苑夜、ひいおじーじゃ無くてレーホヘルト様に抱いてもらうの?ひいおじーさびしいよー。

「良かったですね、レーホヘルト様」

光の精霊のおばちゃんはニコニコして僕の足を踏んづけた、痛いよ。

「苑夜ちゃんがずっとそばにいればいいのに。」

それはまだ、無理ですよレーホヘルト様。

「レー、えん、いるよ。」

小首を傾げた、可愛いー。

「苑夜ちゃんー。」


抱き潰さないでくださいね、レーホヘルト様。


この、たまに光の神殿訪問は苑夜が、小学生に上がるまで続いた、さすがに学校行ったらいけないよね、僕は定期的にその後も光の神殿訪問してたけど。


苑夜が魔王になると言う度に紫世界の意志は苑夜に絡みつく量を増やし、領域魔王位とる頃には取り返しのつかない量になっていた。


「苑夜ちゃん、魔王位取れたそうね、そろそろ会いたいわ、フェレス頼むわ。」

レーホヘルト様に言われた時、いよいよ世界魔王誕生って密かにおもってたよ。


この間、五十嵐道場に行ったときレーホヘルト様が宇水の妖怪と明るく話しているのみて僕の判断は正しかったって思ったよ


だけど、レーホヘルト様と苑夜が婚約したとき肝が冷えたよ~、御不二ちゃんも怖かったけど宇水の妖怪にされたお仕置きの方が怖かったよ~。

いまだに宇水の妖怪の前にでると体のふるえがとまりません。


「フェレス、聞いてるの?」

御不二ちゃんが何か言ってる

「今日はいい天気だな。」

美味しいお茶を飲みながら思った、仕事頑張ろっと。

明生和次元→明正和次元に訂正

間違えました、すみません。

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