その13光の勇者の空回り冒険記3
学びの都ドロンは沢山の塔が建ち並ぶ都会だった。
「スゲーな。」
ザッダが塔見上げて言った。
「王都とまた違う雰囲気ですね。」
マリアーヌさんがバイクから降りながら言った、オレはキャンピングカーを降りながら思った...ルムルム村に帰りたい...。
「すごいわね~。」
そのルムルム村からきたオノボリ...いやミルヌさんも駐車場からの風景を見て言った。
「で、トゥーリアさんはどこの塔にいるんだ?」
ザッダがさりげなくオレの肩を抱いて言った。
「確か、魔法使いの塔でしたね。」
マリアーヌさんがザッダの手をオレから片手ではずしながら、もう片手で『学びの都ドロン 塔巡りマップ』と言うのを見ている、駐車場に置いてあったパンフレットらしい。
「歩いて見れば何とかなるんじゃ無い?」
ミルヌさんが呑気に言った。
しかし、全然何とかならなかった。
朝から歩いて、案内所に聞いて、通りすがりのおっさんに聞いてやっと昼頃ついた。
「やっと、ついたね。」
ミルヌさんは疲れ果てた顔をしていた、オレも疲れたよ~。
「やっほー、グラーノ、お姉ちゃん訪ねてきてくれたんだ、大きくなったね。」
オレとソックリの2番目の姉ちゃんが能天気にいった、違いは胸の大きさで分かると言われるくらい似ている。
「トゥーリア姉ちゃん。」
オレは変わらない姉ちゃんの明るさを嬉しくおもった。
「話はここまでとどいてるよ『光の勇者』に選ばれたんだって、私もついていって良い?研究になるしね。」
姉ちゃんが呑気に言った、姉ちゃんそう言うの好きそうだもんな。
「頼もうと思ってたんだ、よろしくお願いいたします。」
渡りに船だよ、嬉しいな。
「トゥーリア、おれも付いていく...。」
姉ちゃんの後ろにいた影のうすい長身の男が言った。
「姉ちゃん、その人、誰?」
恋人か何かか?
「コイツね、ストーカーよ。何処にでもついてくるし、ベッドにも入って来るし。」
と苦笑いしてトゥーリア姉ちゃんは言ったけど、それは恋人なんじゃないか?
「ストーカーではない、トゥーリアの事が好きなだけだ。」
起伏のとぼしい声で男性は言った。
「まぁ、添い寝するだけで実害はないし、便利だから、側に置いてるのよ、他の男性よけにもなるしね。」
ひどい言いぐさな姉ちゃん。
「そう言う仲に成ったら、きちんと避妊する。」
たんたんと男性は言った、いいんかいそれで。
「そう言う仲にならないから大丈夫よ。」
やっぱり、姉ちゃんひどいな、そんな姉ちゃんを男性はうっとりながめている、変態だ。
「あのー、オレはグラーノ・バリルって言うトゥーリアの弟です、あなたは?」
恐る恐る聞くと
「ジオ・ギリーダ、トゥーリアと同じ魔法使い。」
とたんたんと答えてくれた。
この人も付いてくると言うことは、魔法使いが二人もいるんだ、豪華だな。
「トゥーリア~、ジオ~、旅に出るんですって?」
元気なオバチャンが廊下を駆けてきた。
「メルミル、そうなのよ、弟に付いていこうと思って。」
姉ちゃんはニコニコしながら言った、おい、ザッダ、腰撫でるな。
「弟君って光の勇者に指名されたんでしょう、どんな力が増えたか研究したいなぁ。」
間違いない、姉ちゃんの同類だ。
「その、弟がそこにいる、グラーノ・バリルだよ。」
ハハハハって乾いた笑いを浮かべて姉ちゃんが言った。
「姉がいつもお世話になっております。」
オレも愛想笑いを浮かべて言った。
「もちろん、冗談よ~。」
必死でとりつくろってたけど多分本気だろうな。
姉ちゃんの説明だと生物学系の研究者な魔法使いなのだそうで、例の怪しいクラゲの出た沼まで一緒にいくことになった。
「グラーノ君も~、トゥーリアと一緒で人を惹き付ける何かがあるわ~。」
って言う怪しい事言われました。
このオバチャン恐い。