プロローグ~私がここにいる訳~
その人は光溢れる神殿の庭に静かにたたたたずんでいた。
紫色の空の下で紫の長い髪を風に揺らし紫の瞳を静かにこちらに向けていた。
なんで私はここに居るんだろうと私は思った。
あの日だよね原因は
「苑夜ちゃん、領域魔王位取得おめでとう♪」
あの日、ひいお祖母ちゃんがひいお祖父ちゃんと魔王位取得のお祝いをもって来てくれてた。
「良かったね。」
ひいお祖父ちゃんは私と同じ色の銀の目にいっぱい涙を浮かべてた、あいかわらず涙もろいんだから...。
「お祝いね正装にしてみたの壱菜さんに協力してもらって。」
そういってひいお祖母ちゃんが綺麗に包装されている箱を渡してくれた。
壱菜は私の母親です。
「ありがとうございます。」
その母は今、お茶準備中なのです。
「ちゃんとお礼言った?苑夜」
あ~テンラン製菓の高級菓子『海老ルン』だあ~美味しいだよね。
「ちゃんと、言ったわよ♪苑夜ちゃん、良かったら試着してくれない?ひいお祖母ちゃん見たいのよ。」
「うん。」
正装は深緑のレースのマオカラーにチャイナボタン、広がった袖のブラウスにスカートみたいにみえる足首丈のキュロットのツーピースだった。
「良く似合うわね~さすが、私の跡取りの魔王様ね~。」
ひいお祖母ちゃんは『富士山』の自然を管理している『管理魔王』だ私はその後を継ぐことになっている『管理魔王』になってからだけど。
「あのね、苑夜ちゃんお願いがあるんだけど。」
ひいお祖父ちゃんがおずおずといった。
「何、ひいお祖父ちゃん?」
「僕が異世界から渡ってきたもと魔王って言うのは知ってるよね。」
「知ってるよ。」
今はひいお祖母ちゃんの下で副官やってるよね。
「この間、元の世界の元上司に会って来たら、一度苑夜ちゃんに会いたいって言われてね、悪いけど一度会ってくれないかな?」
ひいお祖父ちゃんはワンコみたいな目をしてた。ダメ~ダメ~って感じでおねだりしているワンコっぽい。
「うーん、筋を通しておいた方がいいわね、苑夜ちゃんお願いしてもいいかしら?」
ってひいお祖母ちゃんにも言われたので行くことにした。
「菓子折り準備しておくわね。」
お母さんはのんきにいった。
そして、今日ひいお祖父ちゃんと世界を渡り
この紫色の空の世界にきたのだけど。
どうしてこの人、女装してるんだろう?
目の前の長身細マッチョな男性は明らかに身体に合ってない女神様みたいな格好してた。
お化粧はしてないけど。