第壱話~プロローグ~
雨宮は僕と距離をとるように校庭を見下ろせるフェンスまで歩いていった。
「だから私は、友達を作ることが出来ないのよ。
どんなに仲良くなっても、どんなに好きでも、あと1年しか一緒に居れない!
私と仲良くなったばっかりに友達が悲しませたくない!
それに仲良くなった友達が病気のことを知った事で他人になるのはもう嫌なの!」
それが雨宮の抱えてきた葛藤だった。
それが雨宮が自分を押し殺していた理由だった。
自分のために悲しんで欲しくない。
悲しませたくない。
友達想いで、何より友達を大切に思っているからこそ、その選択肢しか思い浮かばなかったのだろう。
たとえ校舎の屋上で独りで泣くことになっても。
あと1年しかない生涯を独りぼっちで過ごすことになっても。
でも僕は言う
「君は馬鹿?」
その余りにも友達というものを低く評価した考えにある種の怒りを覚えながら。
「自分の事で悲しませるのが嫌?自分の病気を知って他人みたいに接せられるのが嫌?
君はそんな理由でクラスの皆の好意を無駄にしたの?」
雨宮の話は間違っているわけではない
でも、雨宮の行動は間違っている。
「君はそのことを友達に言ったの?」
「え?」
「君は自分の事で悲しまないで、他人行儀にしないでってその友達に言ったの?
言ってないんでしょ?
じゃあ何で決め付けるの、ちゃんと話せば解ってくれたかもしれないのに
何でその友達を信用してあげなかったの!」
そう叫んだ時、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った・・・
修正版です