第壱話~プロローグ~
「どうして泣いてるの?」
僕が声をかけると、雨宮は動揺を一瞬表情に浮かべてすぐにいつもの無表情に戻った。
しかし雨宮の目は涙で赤く腫れていた・・・
「何?」
赤く腫らした目で力強くこちらを睨みつけながら雨宮は言った。
「何じゃないよ、何で君は泣いてるの?」
「別にいいじゃない、あなたには関係ないわ」
冷たい言葉で突き放そうとする・・・か僕もやったな。
「確かに僕には関係ないけど・・でも本当は友達が欲しいんじゃない?
自分を理解してくれる人にそばに居て欲しいんじゃないの?」
僕は確信に触れてみた。
「何でそんな事わかるのよ?」
「わかるんだよ、同じような状況にあったかもしれないから。」
「どうゆうことよ?」
「嫌なんでしょ、自分が憐みの目で見られるのが。」
僕は雨宮を言及するように一歩ずつ雨宮との距離を詰める。
「今までの友達が急に態度を変えたり、無理に理解してくれようとするのが辛いんでしょ?」
「だから友達は作らないっていってたんでしょ?」
僕と雨宮の距離はもうはたから見れば見詰め合っていると勘違いされるくらいに近づいていた。
「それが何よ!」
雨宮は叫んでいた、堪え切れなくなった涙が目の端から一筋の糸となって流れる。
それでも、雨宮の視線は僕を鋭く睨んでいた。
「私はこれでいいの、誰とも仲良くなる気はない!」
「じゃあ何で君はここで泣いてたんの?」
「・・・・」
「本当は友達が欲しかったからじゃないの?
皆と同じように遊んだりしたかったんじゃないの!」
気づけば、僕も声を荒げていた。
何がそうさせたかはわからないが、雨宮がこのまま高校生活を送るのはだめだと思った。
ここで雨宮を止めないと自分が一生後悔するような気がしたのだ。
「でも、しょうがないじゃない・・・」
しばらくして雨宮は今にも泣きそうな声で言った。
「私は・・・後1年も生きられないんだから・・・」
修正版です