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大人は恋で変われない〜35歳独身男。少女漫画で恋を学んだ結果〜  作者: 音無響一


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003

「あの、良かったら……」


「え?」


「帰りの道も教えてもらっていいですか!」



ズッコケるかと思ったぞ。

そんなに心配なのか?



「私、方向音痴だから不安で……」


「そうだったんですね、それじゃもう一度説明させていただきますね」



そりゃそうだ、妄想通りのことなんて起きるわけない。

この子と俺はただの事務員とオープンキャンパスに来た学生だ。

少女漫画のような展開なんて起きるわけないんだ。








「お疲れ様でした~」

「お疲れ様です」



ふぅ、終わったな。

残業になってしまった。

今日は仕方ないか、学生の案内もしてたからな。


こんな時間だしなぁ、作るのも面倒だ、家に帰るまでのコンビニでなんか買うとするか。

家に帰るまでに3件はあるからな、どこかに入ればいいだろ。







食べたいものなんてないからなぁ。

コンビニはどこのも学生の時から食べてるから飽きてるんだ。


1番新しく出来たとこにでも行くか。

まだ行ったことなかったしな。

もしかしたらなにか起きるかもしれ……わけないだろ。


何かが起きる、出会いがある、そう思って25年以上経ってるんだ。

そろそろこの少女漫画的思考をどうにかしたいもんだ。


どうにもならんか。

もう俺は一生こんな妄想して生きていく悲しい人生なんだと諦めよう。



「いらっしゃいませ!」



元気な店員さんだな。

さっきの学生の子を思い出させるようだ。

今日は元気な子に遭遇する確率が高いのか?

こっちも元気がもらえるようでありがたい。

そんなことはいいか。

カップラーメンでも買おう。



「え?うそ……」



選んでる時にそんな声が聞こえる。

店員同士で何か話してるのか。

俺には関係ないことだな。

酒はいらないだろ、明日も仕事だしな。



「な、なんで?」


「あ、君はさっきの……」



いやいや、本当になんでだ?

なんでオープンキャンパスに来てた子が店員でいるんだ?



「また会えるなんて……これって……」

「ぐ、偶然だね」

「はい、嬉しすぎる偶然です」

「え?嬉しい?」

「い、いえ、なんでもないです!」

「なんか不思議な感覚で戸惑うよ」

「あ、あの、良かったら……連絡先教えてください!」


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