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大人は恋で変われない〜35歳独身男。少女漫画で恋を学んだ結果〜  作者: 音無響一


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「あの、えっと……」

「どうされました?」

「いえ、なんでも……あ、そうじゃなくて……」

「大学はこの道を進んでいくとありますので、あちらに進んで頂ければ大丈夫ですよ」

「え、違くて、その……ずっと好きでした!」







はっ!

いかんいかん、妄想の世界に飛んでいってたぞ。

今は仕事中なんだ。

それにずっと好きだったとか有り得ないだろ。



「私、スマホを忘れちゃって、誰とも連絡取れないし、方向音痴だからどうしていいか分からなくて……」


「そうでしたか。道は私が教えるので大丈夫ですよ。分かりやすい道ですのでご安心ください」


「良かったぁ、ありがとうございます!」


「この道を────」


「分かりやすくありがとうございます!」


「いえいえ、楽しんでくださいね」


「はい!行ってきます!」



元気な子だな。

最初は捨て犬みたいに不安そうな顔をしていたのにな。

はは、また振り向いて手を振ってるじゃないか。

可愛らしいな若い子は。

うちの大学を受験するのか分からないが、もう会うことはないだろ。






さてと、この時間までだって聞いてたからな。

休憩もあるし帰るとするか。

3時には帰りの案内をしないとだっけな。

それまで少し書類を片付けるとしよう。

ふう、早く帰りたいな。

…………さっきのあの子の笑顔がチラつくな。

ダメだダメだ、帰ったら発散しよ。

はぁ、する前から虚しいな。








「あっ、さっきはありがとうございます!」


「あー、先程の。オープンキャンパスはいかがでしたか?」


「はい、とっても楽しめました!ここが第一希望なので、モチベーション上がりました!」


「それは良かったです。また来年お待ちしております」


「はい!ぜひ!本当にありがとうございました!」



いい笑顔だな。

元気で可愛らしいなんて素敵な子だ。

是非とも受かってもらいたいもんだ。





「あの、それで……えっと、良かったら……なんです、けど……」

「はい、どうかなさいましたか?」

「め、迷惑じゃなければ、れ、連絡先教えてください!」

「……え?」

「今日のお礼したくて、すごく心細かったから……嬉しくて!」

「いやいや、そんなことしてもらうほどのことじゃ……」

「ダメ、ですか……?」




ダメに決まってるし、またトリップするんじゃない!



「あの、良かったら……」


「え?」



本当に起こるの……か?


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