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4話 剣術

 俺は朝食を済ませてから、いつも鍛錬を行っている、家から10分ほど離れた林の中にある広場へ向かった。広場に着くと、ロイは木剣を持ち素振りをしていた。

 「おっ!ようやく来たか」

 「うん。おまたせ」


 ロイと合流してから今日の鍛錬を開始した。まずは身体の関節をほぐしてから、次に体内の魔力操作、魔力を練る練習、素振り、身体の部位ごとに負荷をかけた特訓、組み手、最後に木剣を用いた試合を行う。


所定の位置に着いて互いに模擬刀を構えた。


 俺とロイの剣術は父から教わっている『木王流』なので基本的な構えは同じだ。そう、基本は。


 構えは同じだが、俺の剣術は正統な木王流なのに対して、ロイは王都での鍛錬の影響のせいか木王流に少しアレンジが加わった剣術になっている。


 俺は左利きで、ロイは右利きだ。その為、構え自体は同じなので向かい合うと鏡写しのようになる。


 「始めるか!先に来ていいぞ!」

 ロイは毎回、試合のときに先手で攻めてくることを俺に勧めてくる。


 「おさきにどうぞ」

 ここ1年程、俺は相手の動きに合わせてカウンターを撃ち込む戦法に嵌っているので、毎度の事だが先手はロイに譲る。


 「ほんとにいいのか?遠慮なく行くぞ?」

 ロイはニヤニヤ笑みを浮かべながらそう言う。

 「毎回このやり取りして飽きないの?」

 「お前がいつ受け身に飽きるか分からないから、毎回聞いてやってるんだよ」

 ロイの顔は、まだにやけずらだ。

 「はいはい、お気遣いありがとうございます」

 面倒くさくなってきたので、俺は適当に話を流した。


 「わるかった、わるかった。冗談はこれくらいにして、そろそろ行くぞ!」

 「うん。来ていいよ!」


 次の瞬間、模擬刀を撃ち込んで来てはいないが、ロイから尋常ではない気配が放たれる。

 ロイの全身に魔力が行き渡っているのがわかった。少し出遅れたが、こちらも魔力を操作して身体能力を強化する。


 魔力操作の練度自体は、ロイよりも俺の方が上だと思う。

 でも、それとは別でロイと俺では元々の身体能力に大きな差があるから、互いに魔力で強化した状態でもロイの方が身体能力が高い。

それに……魔力による身体強化とは別で、ロイ自身の気配には凄みがある。


 やはり、———戦闘態勢のロイは怖い。


 ロイは下段で模擬刀を構えたまま剣先を俺の目線に合わせてきた。

 これは———来る!!!

 次の瞬間には剣先が俺の目の前まで伸びてきた、これは地面を強く蹴り一瞬で距離を詰める刺突だ。


 俺は魔力で身体能力を強化した超反射で、左足を軸に右半身を90度後ろに移動させて回避する。

 こちらが回避することを読んでいたのか、ロイは自身の右足を俺の左足に引っ掛けて来た。

 「くっ!!」

 俺は体勢を崩して転倒するが、倒れざまに仕返しと言わんばかりに、ロイの左脹脛に木剣を撃ち込んだ。

 「いってー!!!」

 叫び声と共にロイはすかさず俺との距離を取った。

 どうやら、ロイは脹脛への局所的な身体強化が出来ていなかったようだ。

 「お前な!少しは手加減しろよ!!いくら身体強化してても、身体強化した腕力で木剣を思いっきり振れば痛いだろ!!」

 「常に身体全体を強化してるからそうなるんだよ。状況に合わせて、身体の部位ごとに比率を変えて強化しないと」

 「けっ!!そんな器用なことまだできねーよ!!第一、咄嗟に攻撃が当たる場所を予測するなんて、普通はそうそうできねーだろ!」


 「もう今日はやめとく?」

 「お前ばかか?ここからは俺も手加減しないからな!」

 「あの……今日は俺の誕生日だから、手加減してくれない?」

 「ダメだ。さっきのでムカついたから本気でいく!」

 そういうとロイは再び木剣を構え直した。

 さっきの比ではない、とてつもない気配。ロイの周辺の空気が揺らめいて見えるほどの魔力。


 ———純度の高い魔力がロイの身体に行き渡る。

 どんなに魔力操作で勝っていても、絶対的な魔力の質の高さ。

 俺が局所的に強化できても、それと同等クラスの純度でロイは身体全体を常に強化している。

 俺が最大の一撃を浴びせても、その一撃がピンポイントで急所に入らなければ倒せない。

 ましてや、その相手がロイのような格上の剣術使いだと、倒すのは不可能に近い。


 この差こそが———俺がロイに勝てない理由だ。


 「よっしゃ!第二ラウンド行くぞ!」

 「オッケー!」


 俺の返事とほぼ同時に、ロイの身体が俺の懐に潜り込んできた。

 「っ!!!」

 いつものことだが、ロイの本気のスピードには驚かされる。

 即座にロイから距離を取ろうと後方に飛んだが、間に合わず、ロイの一太刀を右の脛にもらってしまうが、右足への身体強化が間に合ったので、大したダメージではない。


 「さっきのお返しだ!」


 「やっぱ、やるね!」

 「当たり前だ!」


 直ぐに体勢を立て直して、次の攻撃に備えようとした時、ロイの行動に違和感を感じる。


 「…………?」


 いつもなら、そのまま追撃してくるのに、様子見と言わんばかりに、剣を中段で構えたまま仕掛けて来ない。

 しかも、魔力操作にも波が出来ており時折、身体強化が微弱になっている。


 「ロイ……もしかして体調悪い?今日の鍛錬は終わりにする?」

 「はあ?何言ってる!やめるわけないだろ!!」


 体調不良ではないのか?それとも強がっているだけか?

 まあ、本人が続行を望むなら付き合うまでだ。


 普段はカウンターに徹しているが、魔力の波が微弱になったタイミングを見計らい、ロイの隙だらけの横腹に一撃!!と見せかけて寸前で木剣の軌道を変えて、顔面に一太刀浴びせようと剣筋が伸びる。


 ロイは驚いたのか、ギョッとした顔になりながらも紙一重で避けた。


 「これでも避けるか……」


 ロイは体勢を立て直すと再び距離を置いて、こちらの様子を伺っている。

 まただ……魔力操作に波が出来ている。これは、わざとやっているのだろうか?


 さっきの回避の時には、一時的に身体操作が戻っていたから、おそらく……わざと隙を見せている?

 こっちはそんな分かりやすい罠には引っかからないけどね。あえて、その罠をさっきみたいに利用させてもらうか!


 それからというものロイに隙ができて、その隙を利用して俺が一太刀入れようとする。この繰り返しが数回行われて、結果は俺の体力切れで終了した。

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