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077:家族制度

077:家族制度


【第四層群1階応接室】


 マリーと、騎士団長・岡田太郎左衛門・越前屋の4人が会議。なお、代官は入間いるまに帰った。

「え~と、社会しすてむ、だったか。」

 今ひとつ理解していない騎士団長、岸播磨介きしはりまのすけ

「はい。社会ソサイチーとは、つまり世間の仕組み。ですね。この図書館都市ダンジョンで、どういう社会を作るのが良いのか。この世界の住民である皆さんに意見を聞きたいと思います。」

「書記長様、世間の仕組みって言われても、そりゃ世間の仕組みとしか言え無いよな。他の仕組みとか言われても拙者せっしゃにはなんとも。」

 岡田太郎左衛門には他の社会システムなど想像外で、マリーの質問の意図すら分からない。

「例えば、そもそも論として家族という制度が必要かどうか。」

「同志書記長、子供が生活に必要ないろいろを覚えるには必要なのでは無いかと。」

 越前屋が答える。

「越前屋さん、子供の教育という点では、必ずしも家庭は必須では無いと思われます。例えばアリやハチやシロアリは真社会性と言って、人間より効率的な社会を作っています。人間に置き換えるなら、種男以外は去勢、女は一部が繁殖のみに専念、残りの男女が仕事をする、子供は専門家が育てる、みたいなものでしょうか。」

「虫ってそんなことしていたのですか。」

 越前屋も知らない。なお、アリやハチのワーカーは不妊雌であり雄はニート。シロアリのワーカーは幼虫。

「そういえば、虫の獣人って見たこと無いな。」

 騎士団長が言う。

「昆虫は体を大きくすることができませんから、獣人と呼べるほどの知能を持つことは出来ません。詳しく理由を説明すると長くなってしまいますから、ここでは端折りますが、虫は大きくなると息が出来なくなり、自重で潰れます。ですが、ダンジョンなら固有法則によっては虫獣人……厳密には獣では無いですが、そういうものも居るかもしれません。」

 虫は気官で呼吸するため大きさが制約され、古代の巨大トンボですら羽の幅60cmとハト程度の大きさしか無い。トンボなので尾はかなり長いが。

「そんなダンジョンは見たくないな。」

「ケモノでも、ハダカデバネズミという動物は真社会性ですが、おそらくこの辺りには居ないでしょう。」

「ハゲネズミ? どこぞに居たな。そんなサムライが。」

 秀吉では無い。騎士団長の知人でも無い。


「動物、例えば馬の場合、雄1~2頭・雌3~5頭程度の群れを作り、雌のリーダーが群れを主導し雄のボスが外敵から守るそうですが、馬獣人がどうなのかは直接聞いても答えてくれませんでした。」

 馬社会は地域や状況により異なる。馬獣人? ハルナに蹴られなくて良かったとしか。

「それは、まぁ、わたくしだってそんなこと聞かれたら困ります。獣人だと狸はかなり厳格な一夫一妻制で妾や間男は排除されます。犬は夫婦とその血縁で群れを作り、猫は母親だけが子育てをして父親は遊び歩いています。燃料商として各地を廻った経験だと、例えばカッパは男女別に生活し子を為すことは罪深いと考えているため、数が減っています。」

「サムライの場合は、家族より重要なのは家だな。子供がいなかったり、居ても不出来だったら、家そのものは親族より養子を取って継がせる。幸い、それがしの息子は優秀だが。」

 全然謙虚では無い騎士団長。

「同志書記長、餓鬼は人間や畜生や修羅と異なり親からは生まれませんから、家族はありません。」

 燃料商の越前屋が言うように、餓鬼は石から生まれる。この世界に孫悟空が居れば餓鬼と言うことになるが、さて。

「確かに、畜生は動物界、修羅は植物界ですが、餓鬼は鉱物界ですね。で、新しく生まれた餓鬼はどうやって知識を身につけるのでしょう。まさかダンジョンモンスターみたいに最初から必要な知識を持っているとは思えませんし。」

「分からないな。餓鬼を捕まえて聞いてみるくらいか。」

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