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006:やっぱり冒険者は文字が読めない

【コアルーム】


 マリーは1冊づつ本を召喚しては読み、読み終わったら図書室の本棚に並べている。冒険者は1人も来ないが、図書室が埋まるにはまだまだ時間がある。



【図書館前の荒野】


 そんなある日、合羽を羽織り頭には笠、足袋に草鞋、荷物は2つに分けてヒモで結び、肩にかけているという、いかにもな旅人風の冒険者達が2人、荒野を歩いている。

「おい、あんなのあったか?」

 広大な荒野、小高い丘の上に建物が建っている。平屋で緩やかな傾斜の屋根がある。

「海賊の巣窟にしては小綺麗だし、旅人宿があるはずもないし、こんな場所に誰が。ちょっと様子を見るか。もし南蛮寺で伴天連や伊留満が居たら賞金30円だぞ。」

「もしかしたらダンジョンかも。塔型ダンジョンにしては背が低いが、出来たてなら……こんなものか。」

 この世界、生活必需品の多くをダンジョンに依存している。

「ダンジョンなら出来たてであっても、何か貴重品があるだろう。」


 冒険者達は建物に近寄り、持っていた杖を玄関のガラス戸に叩き付ける。しかし、扉はひび一つ入らなかった。

「この透明な物が破壊できないってことは、ダンジョンだな。」

「見える範囲に怪物や罠の気配は無いな。棚に何か載っているぞ。」


 冒険者は建物に入り、本を逆さに開くが、読めなかったのか、すぐに放り出した。

「ただの紙だ。燃料にはなりそうだが。ダンジョンの産物にしては、あまり価値が無いな。」

「むしろそこの机と椅子の方が役立ちそうだ。」

 建物内はダンジョンの固有法則で火気を禁止しているため、タバコも焚き火も使えないが、ダンジョンの範囲でも屋外なら火を使用できる。冒険者達は図書館前で本を焼きながら食事を取り、キセルでタバコを一服して、椅子を担いで帰って行った。


 その後、冒険者達は、大八車を持ってきて、せっせと本や机や椅子を運び出し、本棚を叩き壊して運び出し……。

 ダンジョンの床・壁・天井など「躯体」、扉や窓「建具」は通常は破壊できないが、本棚などの家具や備品は破壊可能。とはいえ、むやみに破壊されると修復に使うエネルギーが足りなくなる。現状では補充は諦める他は無い。


 この地域の識字率は江戸時代程度ですが、江戸時代の「江戸程度」ではありません。ほとんどの一般人は自分の名前の読み書きしか出来ません。

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