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055:籠城準備中(3日目朝)

【コアルーム】


 夜が明ける。図書館都市ダンジョンでは、騎士団も急遽編成された補助部隊も、慌ただしく準備を進めている。

「いよいよ今日の夕方には敵軍が来ますね。でも、このダンジョンには、確実に忍者が紛れ込んでいます。」

 なお、この世界では忍者とはほとんど言わない。忍びとか草とか呼ばれ、特に決まった呼称は無い。

「監視カメラで十分警戒しないといけないな。ダンジョンは壊せないから、破壊工作は難しいだろうが。」

「いくら敵は蝦蟇といっても、創作の自来也みたいな事は出来ないでしょうが、敵は、こちらが一番嫌なことをしてくる。と考えるべきでしょう。」



【東町】ダンジョン東側・丘陵の麓


 高さ30mの城壁。門は城壁に空いた幅・高さとも5m程度の空洞となっており、今のところ櫓どころか扉すら無い戸無門。

「とりあえずは、城壁はこんなものですね。今後内側を均すと門の内外に高低差が30m出来るので、道の幅と勾配をどの程度にするか考えなければなりませんが。将来的に、大八車や馬車を使うのか、自動車を考えるかで勾配は変わります。さすがに鉄道は要りませんが。」

「マリーさん、今は馬車どころか大八車しかありませんが。」

「馬車でも大八車でも、5%以上は避けるべきでしょう。そうなると城壁部分で600mの傾斜路が必要になり……あれ、この丘ってだいたい半径1km強で高さ130m程度ですよね。高低差130mで勾配5%って長さ2.6km……。」

 馬車や大八車には勾配は天敵。

「全然足りませんね。」

「自動車用の道路の勾配が最大12%なので、ダンジョン頂上部分がほぼ300m四方というのを考慮して自動車なら多少道を曲げて距離を稼げば何とか。でも、そもそも論として産業基盤が無いので自動車は維持出来ません。」


「現状人力頼りと。なんでこんな丘の上にあるのでしょうね。」

「最初から丘の上でした。おそらく、知識を広める、|丘の上の町《A City upon a Hill》、この世界だと河童が必ず持っている本の一説に『あなたは世界を照らす光である。丘の上の町は逃げ隠れは出来ない』とありますが、図書館都市ダンジョンは世界の規範となる存在となるはずだったのでしょう。」

「で、マスターが『司書』という単語を知らずにマリーさん召喚したと。」

「本来の設定では牛頭馬頭の司書ですね。どうやらチュートリアルを順番に進めることで基本的なダンジョンの運営方法を覚えることが出来るようになっていたようです。ミノタウロス(牡)やミノワッカ(牝)は戦力にもなりますから、今回みたいな場合も活躍したでしょう。」

 もちろん牛頭馬頭では無い。牛頭馬頭は口も内蔵も牛馬なので生牧草を好むが、最初にダンジョンマスターが冷蔵庫を開けたときには、野菜・果物・肉・魚・卵・牛乳などが並んでいた。

「馬頭に騎乗して牛頭部隊を指揮する。ですか。確かに戦場では強力ですね。」

「あのヒキガエルどもが馬を連れていないということは、馬は相当に貴重。ということです。ほんと、馬を連れてこない侵略者など皆殺しで十分です。捕虜は取りません。」

「マリー、それをすると、今後、敵が最後まで死に物狂いで抵抗して、さっさと逃げたり降伏したりしてくれなくなります。降伏するなら『総大将のみ切腹』で良いのでは? それに、もしこちらが負けても、マリーなら切腹しても生き返りますし。」

 呼び捨てにするラージャ。確かに名前付き(ネームド)モンスターは復活出来るが、相当なダンジョンエネルギーが必要。特にマリーなんて無駄に使わない能力が高いので割高になる。

「ハラキリなんて、どう考えても痛いに決まっているじゃないですか。」

 実はマリー、平然と腹を切って内臓を投げつけることが出来る精神力はある。で、何も解決していない道路の勾配。

(明日は休載です)

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